2008年3月14日
戸田建設(株)(社長:井上舜三)は、高強度化、免震・制震化、プレキャスト化に重点を置き、グレードアップしたRC技術を超高層住宅に展開していますが、Fc130N/mm2 級の超高強度コンクリートを用いた超高強度RC柱を開発し、49階建の超高層住宅で実用化しました。
近年、都市部では、風ゆれに強く、経済的な超高層RC造住宅が数多く建設されています。戸田建設は、フレキシブルな住まい、安心できる住まい、長寿命の住まいをテーマに、高品質の超高層スケルトン・インフィル住宅を実現する「Super HRC(スーパー・エイチ・アールシー)システム」を開発して、既に19 階建から54 階建の超高層RC造住宅に適用してきました。
フレキシブル、安心、長寿命というテーマを実現するRC技術の鍵は、高強度化、免震・制震化、プレキャスト化にあります。
フレキシブルな住まいを実現するには、住戸計画の自由度を高めるために、柱と柱の間隔(スパン)を大きくすることになりますが、柱の支える床面積が増加し、柱に作用する荷重が増大するため、材料の高強度化が求められます。また、1フロアーあたりの柱の数が減るので、地震時に骨組の変形が大きくなります。そのため、地震国で、安心できる住まいの実現には、免震・制振(震)構造の採用が効果的です。さらに、長寿命の住まいの実現には、工場生産による高品質で耐久性の高いプレキャスト部材を使用することが望まれます。
戸田建設は、高強度化、免震・制震化、プレキャスト化に重点を置き、RC構造の技術改良を積み重ねて、グレードアップしたRC技術を超高層住宅に展開しています。
高強度化の面では、圧縮強度100N/mm2 クラスの超高強度コンクリートは、既に設計施工の実績があります。更なる強度の増大を図って構造実験を行い、150N/mm2 クラスの超高強度コンクリートを使用したRC柱(超高強度RC柱)を開発しました。
超高強度RC柱の開発には、超高強度コンクリートの拘束が重要なポイントになります。超高強度コンクリートは、最大圧縮強度に達した後の荷重低下が激しく、脆性的な破壊を生じる危惧があるからです。そのため、超高強度RC柱の構造実験を実施して、超高強度コンクリートの脆性的な破壊を防止するために必要な高強度帯筋の拘束量を評価しました(図1)。

図1 超高強度RC柱の構造実験
超高強度RC柱を実際の超高層建物へ適用するには、超高強度RC柱を支える地下階の部材の設計が重要になります。これは、超高強度RC柱は超高層建物の地上部分の下層階に用いられることが多く、直下の地下階には壁が多いため、同じ強度の超高強度コンクリートを使用した場合、多量の超高強度コンクリートが必要になり、経済面および施工面で大きな負担となるからです。しかし、直下の部材のコンクリート強度を超高強度RC柱より必要以上に低減すると、耐力が不足して、超高強度RC柱の保有する大きな強度を十分に発揮できなくなくなります。そのため、超高強度RC柱の実物件への適用には、その対応技術が求められてきました。
そこで、超高強度RC柱の直下の部材である柱梁接合部を周囲から拘束する新工法を開発しました。柱梁接合部を柱の周辺の梁をつなぐように斜めに補強するとともに(図2)、拘束のため、柱梁接合部の斜め部分に補強筋を配筋します(特許出願中)
新工法を用いた超高強度RC柱を対象として、構造実験を実施しました。超高強度RC柱はその保有する強度の高さを十分発揮し、変形性能にも優れていることを確認しました(図3)。
この新工法により、超高強度RC柱の直下となる地下階の柱のコンクリート強度を低減させることが可能になるとともに、地下階の梁や耐力壁のコンクリート強度を超高強度RC柱のコンクリート強度とは別に設定することができます。これにより、地下階の構造コストの低減および工期の短縮を図ることができます。

図2 超高強度RC柱の直下の柱梁接合部の補強

図3 直下の柱梁接合部に新工法を採用した超高強度RC柱の構造実験
これらの構造実験の成果に基づき、Fc130 N/mm2 の超高強度コンクリートを49階建超高層住宅に適用しました(図4)。
この住宅は、東京都中央区に建設中の晴海3丁目A1棟で、地下1階・地上49階建て、最高高さ約169m のRC造です。骨組は、フレキシブルな住空間を実現するデュアルフレーム構造を用いて、スパンの大きな住戸ゾーンを大型床スラブで支持しています。そのため、1本の柱で負担する荷重が大きくなるため、1階では、最大で設計基準強度(Fc)130 N/mm2 の超高強度コンクリートを採用しました。Fc130N/mm2 の超高強度RC柱の直下には、開発した新工法を適用しました。新工法により、柱直下の柱梁接合部のコンクリート強度はFc100 N/mm2 ですが、地下階のコンクリート強度は柱、梁、耐力壁ともFc60N/mm2 とすることができました。
Fc130N/mm2 の超高強度コンクリートの施工にあたり、まず、実大規模の模擬柱を用いた施工実験を行い、超高強度コンクリートの施工方法、強度の発現状況等を確認しました(図5)。
この施工実験の成果を活かした施工標準を作成し、この施工方法に従って、49階建て住宅の1階柱に、Fc130N/mm2 の超高強度コンクリートを打設しました(図6)。

図4 超高強度RC柱を採用した49階建ての超高層住宅

図5 Fc130N/mm2 級の超高強度RC柱の施工実験

図6 Fc130N/mm2 級の超高強度RC柱の施工
最近、首都圏や関西圏の再開発物件、地方都市のシンボルタワーとして、超高層住宅が計画されていますが、今後は、Fc130N/mm2 の超高強度コンクリートの実績を活かして、超高強度RC柱によるフレキシブルな建築空間を実現してゆきます。さらに、高強度化とともに、免震・制震化、プレキャスト化についてグレードアップしたRC技術を高性能超高層RC造住宅「Super HRC(スーパー・エイチ・アールシー)システム」のメニューに加え、超高層住宅市場に展開してゆきたいと考えています。
以上
