2008年8月29日

戸田建設(株)(社長:井上舜三)は、小口径の分割エレメントで本体構造を先行構築する非開削トンネル技術において、補助工法なしで地下水に対応できる新工法「さくさくJAWS(ジョーズ)工法」(Joint All Water Shutting)を開発しました。非開削トンネルの施工性を改善する技術として、今後、関係各方面へ積極的に提案していきます。

近年、トンネルの外殻構造部に継手付き鋼殻の分割エレメントを順次掘削・連結した後に、鋼殻内にコンクリートを打設してトンネルの外殻構造部材を形成し、内部の地山を掘削除去することでトンネルを完成させる非開削工法が実用化され、周辺地盤への影響が少ない構築法として道路や鉄道のアンダーパス工事などに適用されています。しかしながら、地下水位以下での従来の施工では、補助工法として地盤改良などによる止水対策を別途行う必要がありました。補助工法なしで地下水に対応する方法としては密閉式推進工法の適用が有効となりますが、(1)分割エレメントを介して推力を伝達するため鋼殻の応力負担が大きく補強対策が必要となる、(2)掘削機の姿勢制御に依存した施工となり施工誤差及び掘進時間が増大する、(3)分割エレメント間に未掘削部が残り後工程でジェット等を使った除去作業が必要となる、などの課題がありました。

「さくさくJAWS工法」は、従来の密閉式推進工法における課題を解決するため、施工ガイドを兼用する推力伝達部材に密閉式掘削機を固定して分割エレメントを間接けん引する方式を新たに考案し、地下水対応型の合理的な施工方法を実現しました。これにより従来の密閉式推進工法における3つの課題を以下のとおり解決します。

  • 1.推力伝達部材による分割エレメントの間接けん引で鋼殻の補強対策を省略
    推力伝達できる強度性能をもつ長方形の鋼製推力伝達部材を分割エレメントの両側に配置し、掘削機をバランスよく推進させます。分割エレメントは掘削機によるけん引となるため、従来の密閉式推進工法で必要とした鋼殻の補強対策を省略でき、コスト増大を回避することができます。
  • 2.先行エレメント掘削で貫通した推力伝達部材を施工ガイドとして活用し施工性を向上
    先行エレメント掘削により立坑間を貫通した推力伝達部材に掘削機を連結固定し、次のエレメント掘削時の施工ガイドとしての機能を発揮させます。掘削機は施工ガイドと一体となって移動するため、掘削機の姿勢制御に依存しないで施工精度を確保でき、施工の効率化及び掘削設備費の簡素化が図れます。
  • 3.隣接する分割エレメント間の未掘削部を解消
    施工ガイドを兼用する推力伝達部材は、掘削時には分割エレメントを閉合する側面部材として利用し、掘進完了後に撤去することで隣接する分割エレメント間の未掘削部分を解消し、後工程作業を省力化できます。

本工法のもうひとつの特長は、施工時にも止水性を有する継手構造にあります。この継手構造には、溶接継手タイプとモルタル充てん継手タイプの2種類があり、施工条件などに応じて適宜選択します。溶接継手は、施工時には止水材を充てんした仮設の凹凸継手を嵌合させて1本分の分割エレメントを掘進し、完了後に母材鋼板に予め設けた開先部分を自動溶接機で突き合わせ溶接して一体化します。モルタル充てん継手は、本体構造の一部となる凹凸継手をもち、施工時は止水機能を持たせた凹継手に凸継手を嵌合させ、掘進完了後に継手内の空隙を洗浄した後、凹部の変形抑制を目的として鋼殻内側から等間隔にボルト締結した状態で高強度モルタルを充てんして一体化します。溶接継手は、継手構造が簡略である反面、施工余裕が小さいため比較的短距離のトンネルに適した継手であり、モルタル充てん継手は、継手構造が重厚となりますが、継手自体に大きな施工余裕を確保できるため、比較的長距離の施工に有利となります。この2種類の継手構造は、いずれも補助工法なしで地下水に対応するという本工法の狙いを実現するとともに、母材と同程度の応力伝達性能を発揮できるため、分割エレメント鋼殻の本体利用による経済性を確保します。

「さくさくJAWS工法」の施工性能を確認するために、実物大供試体(鋼殻エレメント断面1,000mm×850mm、延長4m)を製作し、地上での施工性確認試験(試験期間:平成20年7~8月)を実施しました。この施工性確認試験では、本工法の最も大きな特長である推力伝達部材による間接けん引で分割エレメントを嵌合させるとともに、2種類の継手構造のうち、溶接継手の接合試験も併せて行いました。その結果、所期の施工性能が確保できることを実証しました。
今後、戸田建設は、今回の施工性確認試験を踏まえて本工法の実用化を推進し、社会資本整備向上に貢献したいと考えています。

図-1 分割エレメントで本体構造を先行構築する非開削トンネル技術説明図

図-1 分割エレメントで本体構造を先行構築する非開削トンネル技術説明図

図-2 従来の密閉式推進工法の課題

図-2 従来の密閉式推進工法の課題

図-3 さくさくJAWS工法の施工方法概要図

図-3 さくさくJAWS工法の施工方法概要図

図-4 「さくさくJAWS工法」の施工手順イメージ

図-4 「さくさくJAWS工法」の施工手順イメージ

さくさくJAWS工法:実物大施工性確認試験状況

写真-1 施工性確認試験状況(全景)

写真-1 施工性確認試験状況(全景)

写真-2 エレメント施工試験状況(左:施工前、右:施工中)

写真-2 エレメント施工試験状況(左:施工前、右:施工中)

写真-3 溶接継手接合試験状況(左:接合前、右:接合中)

写真-3 溶接継手接合試験状況(左:接合前、右:接合中)

以上

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