2009年4月8日
戸田建設(株)(井上舜三社長)は、神奈川県藤沢市大鋸地先で横浜湘南道路立坑設置工事「戸田・奥村 JV」(発注者 国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所)を完成させました。
工事は、幅23.8m、長さ36.5m、高さ41.85mの立坑をニューマチックケーソン工法で建設するものです。
本工事において理論気圧が0.425MPaと高くなるため、二重スラブ式の高度無人化ニューマチックケーソン工法(大豊建設(株)・NewDREAM(ニュードリーム)工法)を採用し、遠隔操作による無人化掘削だけでなく、掘削機の日常点検・メンテナンスを大気圧で行うことで作業員の高圧下での作業を大幅に減少して高気圧障害防止に努めました。また、沈下完了後の地耐力試験も無人で行い地耐力を確認して大深度立坑を完成させました。
1.工事の背景
国土交通省関東地方整備局が計画している横浜湘南道路は、神奈川県南部を東西に走る主要な幹線道路である国道1号線の渋滞を緩和するための自動車専用道路で、当工事は横浜湘南道路延長約7.5kmの内、約3.5kmの区間で計画されているシールドトンネルの発進立坑を建設するものです。
工事場所は藤沢バイパスの北側に位置し、藤沢市の大清水スポーツ広場を国土交通省が借り受け、横浜湘南道路事業用地として施工を行ないました。

写真-1 施工状況全景
2.工事の特徴
- (1)高度無人化ニューマチックケーソン工法(New DREAM工法)の特徴と無人化施工
従来の無人化掘削工法では、掘削沈下作業を遠隔操作によって無人化で施工しますが、掘削機の日常点検・整備・回収作業及び地耐力試験は高気圧下での作業でした。
New DREAM工法は、作業室スラブの直上に上スラブを設けた二重スラブ構造とし、その空間を利用して掘削機メンテナンス室、エレベーター室、マンロック室を設置するものです。掘削沈下作業は従来と同様に遠隔操作による無人化施工を行いましたが、掘削機械のショベル容量を標準の0.15m3から0.30m3に替えて掘削能力の増大を図りました。また、掘削機の日常点検・整備・回収作業を掘削機メンテナンス室にて大気圧下で行うことができました。さらに、沈下完了後の地耐力試験も掘削機をメンテナンス室へ回収し遠隔地耐力試験装置の装着を行ない、遠隔操作により作業室の試験予定箇所へ移動させ無人で地耐力試験を行いました。
これらの無人化技術及び安全対策技術を組み合わせることにより、設備の故障・つり下げ鉄筋の取り付け作業等を除き高気圧作業を大幅に減少させました。また、非常用の設備として0.196Mpaから酸素減圧装置、0.294MPaからDHENOX(ヘリウム混合ガス)システムを常備し、作業環境に万全を期して作業を行いました。

図-1 掘削機回収・メンテナンス手順図

写真-2 ケーソン函内掘削状況
- (2)二重スラブ構造について
作業スラブ上に、鉄筋コンクリートで壁・上スラブを構築し二重スラブ構造にすることにより、掘削機メンテナンス室、マンロック室、エレベーター室の計5室の空間を設置しました。

図-2 二重スラブ平面図

図-3 二重スラブ断面図
3.掘削機メンテナンスシステム
掘削機メンテナンスシステムは、掘削機を掘削機メンテナンス室に回収して、大気圧下の状態で掘削機の日常点検・アタッチメントの交換・整備・修理・解体回収作業を行うシステムで、従来の無人掘削工法で発生する高気圧作業の殆どを削減することができました。このため、作業員が高気圧下での作業から解放され作業環境が向上すると共に、高気圧障害の防止に効果がありました。
作業室と掘削機メンテナンス室間を遮断しメンテナンス室内を大気圧状態にする必要があるため、遮断ゲート(以下スライドハッチ)を設置しました。スライドハッチは、油圧駆動装置により開閉を行い、通常の掘削作業では開の状態で使用し、掘削機の日常点検・メンテナンス・修理・解体作業時は掘削機をメンテナンス室に吊上げ・回収した後大気圧状態に減圧して作業を行いました。

写真-3 スライドハッチ全景(作業室内)

写真-4 掘削機回収状況(メンテナンス室内)
4.掘削管理
0.1MPaまでは搭乗操作による有人機械掘削とし、それ以降は中央監視室からの遠隔操作による無人機械掘削により掘削を行いました。掘削機の配置は、4条のレールに掘削機6台を配置し、外側のレール2条は2台の配置とし、掘削機同士の接触防止のため、接触防止システムにより統括管理を行いました。また、本工事は、ケーソン躯体に傾斜計・函体沈下計及び盤圧計・周面摩擦計等設置し、ケーソンの傾斜・沈下量及びケーソン刃口部の反力・周面摩擦力等を自動計測しました。リアルタイムに取り込んだ計測データーを掘削沈下作業に反映させ的確な掘削沈下管理を情報化施工で行い、傾斜1/1000でケーソン沈設を終えることができました。

図-4 函内掘削機配置計画図

図-5 ケーソン自動監視システムモニター
5.周辺環境への配慮
当現場周辺には大清水小、中、高校へのケーソン工事の漏気音、排気音の騒音を抑制するために、消音装置、消音ロック、防音ハウス、防音壁等を設置しました。最も近接する大清水小学校の校門に騒音・振動計を設置して常時監視しましたが、環境基準値を超える騒音・振動の発生はありませんでした。
ケーソンの外周から10m~20mの範囲に水道管φ1,000mm、φ1,800mm、下水管φ2,000mmが埋設されております。埋設管の水平・鉛直方向の許容変位量は水道管が±20mm、下水道管が±15mmですが、層別沈下計および多段式傾斜計で計測してケーソンの沈設管理した結果、埋設管周りの地盤変位量は許容値の約半分に抑えることができました。
6.まとめ
二重スラブ式ニューマチックケーソン工法により、作業員の高気圧下での作業を大幅に減少させ、情報化施工による沈下管理で、ケーソンの沈設精度は傾斜1/1000を達成致しました。
防音設備により周辺の学校への騒音・振動を最小限に抑えると共に埋設管の変位量も許容値の半分に抑え、無事故、無災害でケーソン工事を完成させることができました。

写真-5 中央管理室における遠隔操作
工事概要
| 工事名称 | 横浜湘南道路立坑設置工事 |
|---|---|
| 工事場所 | 神奈川県藤沢市大鋸地先 |
| 発注者 | 国土交通省関東地方整備局 |
| 工期 | 平成18年3月4日~平成21年3月31日 |
| 請負形態 | 戸田・奥村特定建設工事共同企業体 |
| 工事概要 | 立坑構築工(ニューマチックケーソン工) 36.5m×23.8m H=41.85m 理論気圧0.425Mpa 沈下掘削 36,350m3、コンクリート 13,818m3 鉄筋工 3,245t、CFRP炭素繊維鉄筋 42,295m 地盤改良工、立坑仮設工 他1式 工事用進入路工 1式 環境調査工 1式 |
以上



































































