2009年8月4日

社会資本施設を「長く、大切に」供用していくことが求められています。限られた予算で社会資本施設の長寿命化を図っていくためには、構造物建設時のコスト縮減と同時に高品質、高耐久化技術が必要であり、また、建設後の効率的、効果的な補修・補強技術の開発が急務となっています。
戸田建設株式会社(社長:井上舜三)は、研究開発テーマの一つとして、コンクリート構造物の高品質・長寿命化を図ることを目的とした各種技術の開発を実施しています。その一環として、高架橋やボックスカルバート等のコンクリート構造物一般を対象に、新しいポリプロピレン短繊維(資料1参照)を用いた、「コンクリート片剥落防止工法」を開発し、鉄道高架橋工事の一部において初適用しました(資料2参照)。

本コンクリート片剥落防止工法は高架橋やボックスカルバート等のコンクリート構造物一般を対象に、新しいポリプロピレン短繊維をフレッシュコンクリートに混合することで、コンクリート片の剥落を防止する工法です。
今回、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の協力を得て、九州新幹線の高架橋工事の一部に初適用し、施工後の追跡調査により乾燥収縮等によって発生するひび割れのひび割れ幅低減にも効果があることも認められました。
新しいポリプロピレン短繊維は繊維長20mm、換算直径0.53mm、密度0.91g/cm3であり、断面はコンクリートとの付着面積の増大を目的にX字とし、繊維延長方向には凹凸加工を施しています。
この新しいポリプロピレン短繊維を現場内に搬入されたアジテータ車内にフレッシュコンクリート1m3当たり700g 混入し、アジテータ車のドラムを回転させ攪拌します。その後は通常のコンクリートと同様に施工可能です。

なお、本工法は東日本旅客鉄道株式会社 土木工事標準仕様書「合成短繊維補強コンクリートによる剥落防止」に定められた以下の各基準に適合しています。

  • 打撃試験(資料3参照)
    ひび割れを発生させた試験体がハンマー打撃によって剥落するまでの回数を計測する試験において、合成短繊維を添加していない試験体と比較して、合成短繊維を添加した場合の回数が8倍以上になること。
  • 分散性確認試験
    大型アジテータ車(4.5m3)内コンクリートの前、中、後半部それぞれ1.5m3中の繊維量が理論値の80%以上であること。

技術の概要

本工法は、新しいポリプロピレン短繊維(長さ20mm、換算直径0.53mm、X字断面、標準使用量0.077vol% 700g/m3)をフレッシュコンクリートに混入することでコンクリート構造物からのコンクリート片の剥落を防止し、ひび割れ幅を低減する工法です。
以下に本技術の概要を示します。

  • 1. 新しいポリプロピレン製短繊維
    繊維とコンクリートとの付着強度向上を目的として、繊維の断面をX字にし、延長方向にはエンボス加工(凹凸加工)を施している。
  • 2. 施工性(繊維の高い分散性)
    コンクリート中の繊維の分散性(均一性)に優れ、ファイバーボールの発生がないことを確認している。
  • 3. 剥落防止効果
    東日本旅客鉄道株式会社 土木工事標準仕様書「合成短繊維補強コンクリートによる剥落防止」に定められた打撃試験等の各基準に適合し、高い剥落防止効果が認められる。
  • 4. ひび割れ幅の抑制
    新しいポリプロピレン短繊維をフレッシュコンクリートに700g/m3混入することで、無混入と比較して乾燥収縮等で発生するひび割れの幅が50%程度抑制される。

今後の展開

戸田建設(株)では、今後、各鉄道会社をはじめ、各高速道路(株)や、国土交通省、地方自治体等の発注側各企業者へ積極的な技術提案・営業展開し、コンクリート構造物一般への適用を推進する予定です。

  • 資料1

新しく開発したポリプロピレン短繊維の形状

新しく開発したポリプロピレン短繊維の形状

ポリプロピレン短繊維を混入したコンクリート

ポリプロピレン短繊維を混入したコンクリート

  • 資料2

九州新幹線高架橋工事における適用箇所(点検斜路スラブおよび地覆部)

九州新幹線高架橋工事における適用箇所(点検斜路スラブおよび地覆部)

  • 資料3

JR東日本土木工事標準仕様書に準じた剥落防止工法打打撃試験状況写真

JR東日本土木工事標準仕様書に準じた剥落防止工法打打撃試験状況写真

以上

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