2009年8月28日

戸田建設(株)(社長:井上舜三)、西松建設(株)(社長:近藤晴貞)は、山岳トンネルの掘削方式として広く採用されている発破掘削の新技術として、「自由面発破工法」の共同開発を進めてきました。特に、発破振動・騒音および掘削余掘り量を低減する技術に重点を置いた開発を進め、試験施工において大幅な振動低減と余掘り率10%の低減を実現しました。

岩盤を対象とした山岳トンネルの掘削では、効率性・経済性に優れる理由で爆薬を用いた発破掘削が広く採用されていますが、(1)振動・騒音による周辺環境への負荷増大、(2)余掘りによる採算性低下(使用材料の増大、作業時間の増大)、といった2つの大きな課題を抱えています。
「自由面発破工法」は、これら発破掘削の課題克服を目的に研究開発を進めている発破新技術であり、既に開発済みの割岩技術(EG-Slitter)注1)を利用し、予め掘削断面の中央(心抜き)部に自由面(連続孔)注2)を形成して起爆する振動低減の発破パターン、同じく外周部にガイドホール(空孔)注3)を設けて起爆する余掘り低減の発破パターンが適用できます。

写真1 ドリルジャンボに装着したEG-Slitter

写真1 ドリルジャンボに装着したEG-Slitter

注1)EG-Slitter (Elastic Guide-rod Slitter)とは、ドリルジャンボに着脱可能な自由面形成装置であり、発破を使わない割岩工法に適用する掘削技術。

注2)掘削断面中央に位置する心抜き部(図1斜線部)に、EG-Slitter を用いて連続孔の自由面を設けることで発破効率が向上する。その結果、爆薬量が削減可能となり振動・騒音値が低減する。

注3)掘削断面最外周の装薬孔(図2)の間に、φ102mm の大口径空孔()を設けることで、装薬孔から発生・進展する亀裂が隣接孔へ連結し易くなり平滑な破断面が形成され余掘りが削減する。

図1 振動低減の発破パターン

図1 振動低減の発破パターン

図2 余掘り低減の発破パターン

図2 余掘り低減の発破パターン

「自由面発破工法」を花崗岩地山トンネルの一部区間に適用した結果、現行の発破パターンに対して40~50%の振動低減、5dB程度の騒音低減を実現し、振動騒音低減の目標の成果を得ることができました。一方、余掘り低減については、10%程度の余掘り率低減を実現しましたが、さらなる採算性の向上、掘削面の平滑化によるトンネル安定性の向上を図るために、掘削断面の最外周穿孔精度を高めることを目的とした汎用の「さし角誘導支援システム」を開発しています。
このように、自由面発破工法は、振動騒音の低減が課題となるトンネル工事のほか、発破工法を用いる全てのトンネルで課題となる余掘り低減に対しても有効な掘削技術となります。現在、平成21年9月から、「さし角誘導支援システム」を適用する試験施工を計画していますが、今後、さらに多くのトンネル工事において、本工法の適用を積極的に推進していきたいと考えています。

写真2 ガイドホール(空穴)穿孔状況(余掘り低減の発破パターン)

写真2 ガイドホール(空穴)穿孔状況(余掘り低減の発破パターン)

写真3 穿孔・装薬完了状況(振動低減の発破パターン)

写真3 穿孔・装薬完了状況(振動低減の発破パターン)

以上