2009年11月9日
戸田建設(株)
積水化成品工業(株)
経緯
戸田建設(株)(社長:井上 舜三)と積水化成品工業(株)(社長:小野 惠造)とは、格子状の発泡スチロールブロックを用いた軽量盛土技術「EPラティス工法」(E xpanded P olystyrol)に関する共同開発の一環で、実物大性能確認公開試験を11月6日に実施しました。
「EPラティス工法」は、格子状の発泡スチロールブロックとその格点部に配置した柱部材からなる複合構造により軽量盛土を構築する新技術であり、大幅なコスト縮減及び適用性拡大を主目的としています。既に設計方法などの技術体系の整備を完了しており、今回の実物大供試体を用いての試験により諸性能を実証したことで、本工法の技術整備をほぼ確立できたことから、今後、本工法の本格的な適用を睨み、関係方面に強くアピールしていきます。
EPラティス工法の説明
軟弱地盤上に安定した盛土構造を構築する際、地盤改良などによる地盤補強を最小限に抑えることができ、有効性を発揮する技術として軽量盛土工法があります。既往の軽量盛土工法には、軽量性の高い順に、発泡スチロールブロックを用いた工法、気泡モルタルを用いた工法、軽量盛土材を用いた工法などがあり、一般に軽量性に比例してコストが割高となる傾向があるため、計画地盤の強度や圧密沈下特性等に基づき必要となる軽量性を検討して、最も経済的となる工法が選定されているのが実状です。
EPラティス工法は、発泡スチロールブロックの軽量性に着目し、そのコスト縮減及び適用性拡大を目的として、格子状の発泡スチロールブロックとその格点部に配置した柱部材からなる複合構造を基本とした新しい軽量盛土工法です。盛土に作用する上載荷重などの鉛直荷重は柱部材で受け持ち、地震時などによる水平荷重については柱部材と格子状発泡スチロールブロックとの複合構造により構造安定性を確保します。これにより、従来の発泡スチロールブロックのみによる場合の軽量性には及ばないものの、気泡モルタルを用いた場合よりも軽量であり、かつ経済的となる軽量盛土工法を実現しました。
本工法の一般的な施工方法は、まず盛土底部に鉄筋コンクリート床版を構築し、その上に格点部に有孔があいた2連十字型の発泡スチロールブロックを格子状に並べ、鉛直方向に積層して中空の盛土体を構築します。その後、格点に貫通した有孔に鋼管などの強度性能に優れた部材を挿入し、コンクリートなどで発泡スチロールブロックと一体化します。最後に、盛土体の上部に鉄筋コンクリート床版を構築して、この複合構造体を上下床版で挟み込んだサンドイッチ状の盛土体を完成させ、側部には盛土体の防護を目的とした側壁パネル部材を設置します。なお、上下床版と柱部材とはピン結合として、柱部材に大きな曲げモーメントの発生を抑制することを前提としています。
- 本工法の特長
- 1.コストの縮減:柱部材との複合構造であるため、発泡スチロールブロックに大きな強度性能を有する必要がなく、かつ中空率を約1/2にできるため、材料単価の低廉化および使用数量の減少によるコスト縮減が図れます。
- 2.優れた軽量性:盛土部の比重は、気泡モルタルを用いた工法の約1/2である0.3程度に抑えられるため、軟弱地盤などへの対応性も大幅に向上させることができます。
- 3.施工性の向上:大型建設機械が不要であるため、施工性がよく、気泡モルタルを用いた工法と比較して、約20%の工期短縮が図れます。現地に設備プラントを設置する必要もありません。
- 4.維持管理性の向上:盛土に作用する上載荷重などの鉛直荷重を柱部材で支持する構造であるため、供用後に盛土部が沈下する恐れがなく、メンテナンス性に優れています。
実物大性能確認試験の概要
「EPラティス工法」の諸性能を確認するために、実物大の供試体による試験を実施しました。試験の規模は高さ約5m の盛土をイメージし、試設計に基づき必要となる仕様を満たしたもので施工試験を行ない、完成した供試体を使って強度性能及び耐震性能確認を目的とした静的載荷試験及び振動試験を実施しました。その結果、所期の施工精度及び構造性能を確保できる ことを実証しました。11/6(金)の公開試験では、工法全般に関する説明のほか、その試験状況及び発泡スチロールブロックの製造ラインなどをご見学いただきました。
EPラティス工法:実物大性能確認試験状況

写真-1 性能確認試験状況
(左上及び左中:EPブロック1段目配置、左下:グラウト充てん、右:施工完了後の載荷試験全景)
- 試験規模(平面形状4m×4m、 高さH=約5m)

図-1 試験規模概要図
- 適用イメージ例

図-2 道路盛土への適用イメージ
以上
