2017年3月9日
戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、食品や医薬品等の生産施設を対象とした防虫対策をイントラネット上で検討できる防虫ナビゲーションシステム「防虫学校 Web版」を構築し、社内運用を開始しました。「防虫学校Web版」はこれまで当社が蓄積してきた防虫対策に関するノウハウと最新の知見をイントラネット上にまとめたもので、 “建築”と“虫の生態”という2つの観点から防虫対策を紹介している点が特徴です。これにより、近年、ますます高まりをみせる防虫に関するお客様の様々なニーズに対して、より迅速に適切な対策の提案・実施が可能となります。
図1 「防虫学校Web版」の表示画面の一例
1. 開発の背景
食や薬品の安全に対する意識の高まりとともに、食品や医薬品等の生産施設においては防虫対策の重要性が非常に高まっています。また、最近では精密機械工場や電子デバイス工場でも防虫対策が求められるケースも少なくありません。そのため、防虫に関するお客様の様々なニーズに対して、より迅速、かつ的確に対応するための仕組みを整備する必要がありました。
2. 「防虫学校 Web 版」の特徴
本システムは、防虫対策を建築と虫の生態という2つの観点から紹介している点が特徴です。建
築の観点では、細分化された生産工程(作業区域)に加え、出入口や搬出入経路等の開口部、照明、排水設備といった建物の部位に着目し、各工程や部位に起因する問題と必要な対策を知ることができます。一方、虫の生態の観点では、外見、大きさ、移動方法や発生箇所といった虫ごとの特徴をデータベースに集約することで、地域・場所に応じた留意点や対策方法を把握することができます。
また、建設中や運用時に必要な対策についても解説しており、多面的、効率的に防虫対策を検討
できるものとなっています。
表1 「防虫学校Web 版」の構成
項 目 | 内 容 | |
---|---|---|
1 | 防虫対策とは | ・防虫対策の概要と留意点 |
2 | 発生源コントロール | ・敷地の内外で虫の出現に注意が必要な場所とその対策 |
3 | バリア機能と誘引源 コントロール |
・虫が侵入しそうな部位と対策方法
・開口部の納まりなどの事例
|
4 | サニタリーデザイン | ・生産規模、人員、動線計画、清浄度区域、管理温度帯、ドライ・ウェットなどの諸要素に応じたゾーニング上の注意点と、それらに対応した構造・設備の対策方法 |
5 | 虫の生態一覧(図鑑) | ・異物混入の原因となる約100 種類の虫の生態と留意点 (イラスト付き) |
6 | 参考資料と文献 | ・防虫に関する書籍や論文 |
7 | Q&A集 | ・社内から挙げられた質問とその回答 |
表2 虫の生態一覧(抜粋)
名称 | ノシメマダライガ類 | ノミバエ類 | ヤスデ類 | ダニ類 |
---|---|---|---|---|
外見 | ![]() |
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侵入方法 | 飛翔 | 飛翔 | 歩行 | 歩行 |
体長(mm) | 8〜10 | 1〜5 | 20〜70 | 1 |
発生場所 発生要因 |
食品全般 (菓子類に誘引) |
夜間灯火 腐敗物 |
工場の緑地帯 | 春から夏にかけてコンクリート又は屋上に発生し、隙間に侵入 |
防虫対策上の留意点※ | ②③ | ① | ① | ② |
※防虫対策上の留意点 凡例
- ①:建物の内外で害虫が発生するさまざまな環境要因を発生源で対策
- ②:害虫が建物内に侵入する原因や方法・経路をバリア機能と誘引源で対策
- ③:室内で害虫を発生・誘引してしまう、さまざまな場所・環境をサニタリーデザインで対策
3. 今後の展開
当社は、本システムを積極的に活用し、お客様の施設や製品を虫の被害から守ります。