2017年8月3日

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、吊荷旋回制御装置「ジャイアン®※1」を開発し、揚重作業の効率向上と安全性確保を実現しました。
建設工事では、鉄骨やカーテンウォール等の様々な資材をタワークレーンで揚重し、取り付ける作業が行われています。しかし、揚重作業は、強風やクレーンの動きに伴う慣性力※2によって、作業者の意思に反して吊荷が旋回してしまうケースが多く、安全性や作業効率の改善が求められています。本装置は、吊荷が風等の外力を受けても一定の姿勢を保つ受動制御を可能とし、また、吊荷を作業者の意思通りに旋回させる能動制御も可能です。
開発した旋回制御装置を使用することによって、揚重作業の安全性が向上し、また、吊荷を正確な位置に取り付けることが可能となります。本装置を適用した当社建設現場では、鉄骨(梁)1本の設置に要する時間を1/3に削減しました。

※1 ジャイ(ジャイ)ロ機構で安(アン)全に揚重作業ができることから命名。

※2 質量が慣性をもつために現れる見かけの力のこと。なお、慣性とは「止まっているものは止まりつづけ、等速度で動いているものは等速度で動き続けようとする性質」のこと。

写真1 吊荷旋回制御装置の現場適用状況

1.開発の背景と問題点

クレーンを用いた鉄骨部材・外装材の揚重や取付け作業では、強風やクレーンの慣性力によって吊荷  が旋回することがあり、以下が問題とされています。

  • ① 接触・衝突による資材の破損や品質の低下
  • ② 作業の安全性の低下
  • ③ 作業効率の低下

2.本装置の概要

本装置は、内蔵するホイール(フライホイール)を高速回転させ、そのジャイロ効果※3によって発生する高出力の旋回モーメントを吊荷の旋回用の駆動力に用いています。また、屋外の明るさに寄らず同一の色と認識できる画像処理技術とカラートラッキング手法を併用することで、吊荷を目的の位置で正確に静止させることができます(図1参照)。その一方で、風などの外乱に抵抗して吊荷の姿勢を一定に保持することも可能です。

※3 物体が高速回転すると姿勢が乱されにくくなる現象

  • ① クレーンのオペレーターは、吊荷旋回制御装置の上部に設置したカラートラッキングターゲット(赤色LED、青色LED)により、吊荷の現在の位置を確認する。
  • ② 次に、クレーンの運転室内に設置されたモニターで吊荷の取り付け予定位置を設定する。
  • ③ 制御装置は、現在の位置と取り付け予定位置が平行となるように自動で旋回し、所定の位置で静止する。

図1 吊荷旋回制御装置に組み込まれているジャイロ機構

3.今後の展開

本装置は、当社が施工中の久留米大学医学部基礎3号館建設に伴う鉄骨工事に適用し、その安全性と作業効率の向上を確認しました。今後、当社では、鉄骨工事に加え、風の影響を受けやすい外装材の取り付けにも適用し、安全性と生産性の向上につながる技術として積極的に展開していく予定です。