2017年9月7日

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)とムネカタインダストリアルマシナリー(株)(会長:宗形 直治)は、山岳トンネル覆工コンクリート天端部の充填・締固め状況を打設スパン全長にわたって、高い精度で判定・可視化し、施工性にも優れた超薄型シート状センサ「ジュウテンミエルカ™」を開発しました(特許出願済み)。これまでのセンサは、特定点における局所的な監視でしたが、本センサを用いることで、天端部の監視精度が飛躍的に向上し、より優れた品質管理が可能となります。

図-1 超薄型シート状センサの適用方法

1.開発の背景

山岳トンネルの覆工コンクリート天端部は、セントル※1の検査窓を閉じた後に吹上げ打設を行うことから、コンクリートの充填・締固め状況の目視確認が困難でした。そのため、事前に覆工コンクリート背面の防水シート天端部にセンサを設置し、コンクリート打設時にセンサの反応を参考にして、充填・締固め状況を判定する事例が多くなっています。しかしながら、従来のセンサでは、打設スパン(例えば10.5m)の端部および中央等の特定点に限定した監視となっていました。

※1:覆工コンクリート打設用のアーチ状特殊型枠

2.本センサの特長

このような背景から、覆工コンクリート天端部全長の充填・締固め状況を可視化する超薄型シート状センサ「ジュウテンミエルカ」を開発しました。本センサは以下の特長を有します(図-2、3参照)。

(1) 広範囲をまとめて監視可能な超薄型シート状センサを実現
本センサは、1枚のシート状基材に検知部を密に配置することで、広範囲の充填・締固め状況をまとめて監視できるため、従来のセンサに比べて監視精度が飛躍的に向上します。さらに、本センサは、厚さ0.1㎜程度のシート状基材に薄膜技術を用いて厚さ0.1㎜未満の検知部※2と厚さ0.4mmの接着層(兼絶縁層)からなる超薄型(1mm未満)となっており、覆工コンクリートの断面欠損がほとんどありません。

※2:コンクリートの充填または締固め状況を捉えて信号を発信する箇所

(2) 設置作業を大幅に省力化

図-2 本センサの構造

図-3 タブレット端末の詳細画面表示イメージ

① 一括設置が可能なシート形状
本センサは、1枚のシートで複数の検知部を一括設置できるので、個別に設置作業を行う従来型に比べて大幅に作業を省力化できます。

② 貼付けが容易になる接着層を装備
センサの防水シート側に接着層兼絶縁層(剥離フィルム付き)を形成して出荷するうえ、可とう性(柔軟で自在に曲げられる性質)を有するため、起伏のある防水シートへの貼付けが容易です。

③ プリント配線によるケーブルの集約
各検知部からの信号は、シート状基材に形成したプリント配線(厚さ0.1㎜未満)を介し、端部で1本のケーブルに集約して分析機器に送信するため、従来のセンサのように検知部毎にケーブルを延伸し防水シートに取り付ける煩雑な作業が生じず、施工性が飛躍的に向上します。

(3) 2種類の検知機能による総合判定を初めて採用
本センサでは、充填または締固めの判定に適した異なる機能の検知部がシート状基材の両面にそれぞれ配置されており、2種類の検知結果を同時に取得できるため、従来のセンサにはない総合的な判定が可能となります。

〔2種類の検知機能〕

・防水シート側:
「締固め検知部」により、バイブレータ※3の振動伝播を捉えてコンクリートの締固め状況を判定します。

・コンクリート側:
「充填検知部」により、接触物質の種別(空気、ブリーディング水※4、またはコンクリート)により充填状況を判定します。

※3:コンクリート中の余分な空気を除去するために振動を加える棒状等の振動機

※4:時間とともにコンクリート上面に向かって上昇する水分

(4) リアルタイム自動判定
各検知部での監視情報は、リアルタイムに分析機器に送信され、充填・締固め状況を自動判定します。判定結果は、分析機器の簡易モニタ表示とタブレット端末の詳細画面表示(図-3参照)で確認できます。

(5) 優れたコストパフォーマンス
本センサの打設スパンあたりのコスト(手間は除く)は、従来のセンサと同程度ですが、従来のセンサより密に充填・締固め状況を監視できることに加え、センサ設置・ケーブル取付け作業を大幅に省力化できるため、コストパフォーマンスに優れます。

3.試験による効果の確認

本センサの検知性能は、モルタルを用いた室内試験(図-4~図-6参照)および実際の山岳トンネル工事においてコンクリートを対象にした現場適用試験で、従来型センサと同等以上であることを確認しています。

図-4 室内試験実施状況

図-5 充填検知部での充填物検知結果

図-6 締固め検知部でのバイブレータ稼働検知結果

4.今後の展開

本センサは、これまでのセンサとは一線を画す形状・構造であり、覆工コンクリート天端部全長における充填・締固め状況の可視化を実現するものです。現在、当社の山岳トンネル工事に適用し、信頼性向上およびコスト低減に向けて改良を重ねています。今後、トンネル以外のコンクリート構造物やその他の用途にも適用を広げるとともに、新技術情報提供システム(NETIS)へ登録後、一般に販売を開始する予定です。