2018年2月19日

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)は、従来よりも低コストで実用性に優れた「ハイブリッドファイバー補強吹付けコンクリート」(特許出願済)を開発しました。
本技術は、トンネル工事等で使用される吹付コンクリートに混合する鋼繊維を、従来の棒状から円形状のリングファイバー(写真1参照)に置き換えることで、防水シート※1の破損リスク等を低減するものです。さらに、鋼繊維よりもコストが低いポリプロピレン繊維(写真2参照)を混合することで、コストの低減も実現しました。

※1:トンネル工事において、吹付コンクリート施工後、その表面に貼付けられるシート

写真1 円形状の鋼繊維
(リングファイバー:当社開発) 

写真2 併用するポリプロピレン繊維
(シムロック:共同開発*2

※2:西松建設(株)、宇部エクシモ(株)との共同開発

1.開発の背景

トンネル工事に使用される吹付コンクリートには、コンクリート片の剥落防止やひび割れの発生を抑制する粘り強さ(以下、曲げ靱性)が求められます。
対策の一つとして、従来は吹付コンクリートに棒状の鋼繊維やポリプロピレン繊維のいずれかを単体で混合していました。しかし、棒状の鋼繊維は曲げ靱性の向上効果は高いものの、先端が鋭利なために防水シート※1の破損リスクや作業員の怪我の心配が有りました。一方、ポリプロピレン繊維は安価であるものの、曲げ靱性の向上効果は棒状の鋼繊維と比較して低いという短所がありました。

表1 繊維補強吹付コンクリートの特性比較表

特性 補強繊維の種別
鋼繊維(棒状) ポリプロピレン繊維 ハイブリッド
ファイバー
曲げ靭性
コスト
防水シート破損リスク △(有) ◎(無) ◎(無)
錆びにくさ

2.ハイブリッドファイバー補強吹付コンクリートの概要

このような背景から当社では、円形状の鋼繊維(リングファイバー)とポリプロピレン繊維を混合使用することで、従来の問題点を解決し、2種の繊維の長所を活かした「ハイブリッドファイバー補強吹付コンクリート」を開発しました。

(1)特 徴

  • ①防水シートの破損リスクの解消(実用性の向上)
    鋼繊維を円形状(リングファイバー)にすることで、防水シートの破損や作業員の怪我発生のリスクを解消し、実用性を向上しました。
  • ②コストパフォーマンスの向上(ハイブリッド方式の採用)
    施工性や曲げ靱性を確保できる範囲で、安価なポリプロピレン繊維を混合使用することで、コストを抑制しました(棒状の鋼繊維を単体で使用する場合と比較してコストは約1/2となる)。
  • ③良好な施工性
    吹付け時のポンプ圧送性についても、良好な施工性を確認済みです。

(2)効果の検証
今回、本技術について、実機試験練り、および、吹付け試験を実施し、高い曲げ靱性を有することや吹付け時のポンプ圧送性に問題がなく、良好な施工性を有することを確認しました(図1、図2参照)。

図1 曲げ靱性試験の結果の例

図2 コンクリート吹付試験の状況

3.今後の展開

現在は本技術の実用化に向けた実証実験を進めています。各種性能確認をした後に現場適用し、全国展開を進める予定です。