2018年4月10日

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)と(株)ケー・エフ・シー(社長:高田 俊太)、及び(有)出雲鉄工所(社長:北野 義則)は、トンネル用高性能防水シートに対応した展張装置(防水シートを広げて張る装置)「NATM-SEA(Sheet Expanding Apparatus)」を開発しました。
この装置により、従来の倍の幅と厚さの高性能防水シートを安全かつ効率的に施工することができるようになりました。また、防水シートの位置や角度の調整も可能になるため、施工精度を保つとともに防水シートの材料ロスを削減します。

図-1 NATM-SEA全体図

図-2 NATM-SEA使用状況

図-3 NATM-SEA駆動部

1.開発の背景

山岳トンネル工事ではトンネル内への漏水を防ぐために、覆工コンクリートの外側に防水シートを張ります。通常、防水シートの施工は作業架台上で人力により行われます。
通常の防水シートが幅2m、厚さ0.8mmであるのに対して、防水性を高めるために、幅4m、厚さ2mmの高性能防水シートを使用する場合、幅と重量が増すことにより通常の作業架台での人力による施工は非常に困難となります。また防水シートの幅が広くなったことで、僅かでも曲がってしまうと角度の修正が困難となり、隣接する防水シートと重なる幅が不均一になることで、溶着不良が発生するという問題がありました。このような問題を防ぐために既存の装置では重なる部分を多めにとって対応しており、防水シートの材料ロスの増加につながっていました。

2.NATM-SEAの概要と特徴

本装置は作業架台に設置したレールと、レール上を走行する駆動部で構成されています。駆動部にロール状の防水シートをセットし、レール上を移動しながら防水シートを張っていきます。駆動部には防水シートの押え棒があり、電気式シリンダにより上下動可能な2本のアームで接続されています。防水シートの位置、及び角度を調整しながら押え棒で支保工面に押さえつけ固定します。
以下に本装置の特徴を示します。

【駆動部を片側ずつ動かすことによる向きの調整】

  • 本装置の駆動部を片側ずつ動かし、アームに接続された押え棒の向きを変えることで、防水シートの向きを調整することができます。

【2本のアームによる位置・角度の調整】

  • 2本の電気式シリンダは独立して動かすことができるため、2本のアームの開閉角度を変えることにより、アームに接続された押え棒の向きを調整することができます。これにより防水シートを固定する際、防水シートを壁面の向きに合わせて、押え棒で押し当てることができます。

【電気式シリンダによるアームの上下動】

  • 2本のアームは、電気式シリンダの伸縮により軸を中心として回転する構造であるため、シリンダのわずかな伸縮でアームを上げ下げできます。
  • アームを大きく上下動することにより、拡幅断面に適用することができます。

3.実施工への適用

当社施工の道路トンネル『中国地方整備局 大寧寺第1トンネル(山口県)』において、本装置を用いて幅4m、厚さ2mmの防水シートを張る作業を実施しました。
本装置の適用により、幅と重量が増した防水シートに対して、安全かつ効率的に防水シートの位置、及び角度の微調整をすることで施工精度を保つとともに、防水シートの重なり幅の減少による材料ロスの削減が実現できました。

4.今後の展開

今後、当社のトンネル工事にて防水が求められる場合、積極的に本装置の使用を提案していくとともに、さらなる改良を行う予定です。また、一般に広く活用できるよう、新技術情報提供システム:NETISへの登録を予定しています。