2018年9月25日

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、鉄骨工事の作業効率と安全性の向上を実現する鉄骨梁の仮ボルト不要接合工法を開発しました。従来の鉄骨工事では、鉄骨柱と梁を接合する際に、本締め用のボルトで固定する前に仮ボルトを用いて仮固定を行っており、仮ボルトの取り付け、締め付け、撤去に多くの手間がかかっていました。本工法では、鉄骨梁に取り付けた仮ボルト不要接合治具「ガチャピン」(商標登録を出願中)を柱側の接合部に上から差し込むだけで短時間のうちに柱と梁を仮接合できることから、鉄骨建方で必要とされていた鳶工の長時間の高所作業を大幅に低減することができます。
なお、当社は鉄骨建方の自動化を目指しており、本工法はその一環として開発したものです。

写真1 仮ボルト不要接合治具「ガチャピン」使用状況

1.開発の背景と問題点

鉄骨柱と梁を仮固定する場合、『建築工事標準仕様書JASS6鉄骨工事』に準じ、仮ボルトの締め付けを行う必要があり、以下の事柄が課題とされてきました。

  • ①本締め用のボルト(本ボルト)を使用するときに、仮ボルトを撤去する必要がある。
  • ②仮ボルトの取り付け・締め付け・撤去は高所作業となり、鳶工の墜落の恐れがある。
  • ③取り付け前や撤去後の仮ボルトが落下し、下部の作業員等に激突する恐れがある。

図1 従来の仮ボルトを使用した鉄骨柱と梁接合の流れ

2.本工法の特長

写真2 仮ボルト不要接合治具
「ガチャピン」

本工法は、仮ボルト不要接合治具「ガチャピン」を用いて、鉄骨柱と梁を簡単に仮接合するものです※1。手順は下記のとおりです。

  • ①予め地上にて、鉄骨梁の上フランジにスプライスプレート(添え板)とガチャピンを「ネジ付ピン」で固定する。
  • ②クレーンで鉄骨梁を取り付け位置まで移動させる。
  • ③下図に示すように、ガチャピンの「接合ピン」を柱側接合部の上フランジのボルト穴に上から差し込む。
  • 「接合ピン」のせん断力で風や地震によって生じる水平力に抵抗します。
  • 柱や梁に上向きの力が作用すると「接合ピン」が抜け出す恐れがあるため、フェイルセーフとして「外れ止め」を設けています。
  • 様々な外力が生じた場合も「接合ピン」と「外れ止め」が抵抗し、梁が落下しないことを動的加力実験で確認しています。
  • 現場で採用する際には、JASS6※2に準じ、現場ごとに仮固定時の風荷重や積載荷重等に対して、仮ボルト不要接合治具が破損しないことを確認したうえで施工する必要があります。

※1 本工法は仮接合工法であるため、本接合にはハイテンションボルト止め、または溶接接合が必要です。

※2 10.4建方g(4)「仮ボルトの締め付けを行わない場合は、風荷重、地震荷重および積雪荷重等に対して接合部の安全性の確認を行い、その結果に応じた処置を施す」

図2 仮ボルト不要接合治具使用イメージ

3.今後の展開

本工法は、同じく当社が開発した吊荷旋回制御装置※3と組み合わせることで、鉄骨柱と梁の接合にかかる作業時間を従来の約1/3に短縮できることを実際の作業所で確認しました。今後、当社は本工法を標準化し、鉄骨造の建築工事現場に広く展開していくとともに、引き続き、鉄骨建方の自動化を目指して新技術の開発に注力いたします。

※3 当社リリース「揚重作業の効率向上と安全性確保を実現-画像処理技術を用いた吊荷旋回制御装置を開発-」
http://www.toda.co.jp/news/2017/20170803.html