技術概要

博物館をはじめとして、美術館、公文書館などにある重要資料類は、アルカリ物質を嫌います。
しかし、コンクリートを使った建物では、施工直後にコンクリート中から収蔵物に悪影響を及ぼすアルカリ物質が室内に放出されます。
そのため、資料等を保管する前に、コンクリート中のアルカリ物質を除去・抑制することが求められますが、一般的な工法では、これらの処理を行うために長期の時間がかかります。
戸田建設では、施工直後のコンクリートに特殊な処理を施して、アルカリ成分の溶出・放散を促進させることで、アルカリ物質を短期間に除去する工法を保有しています。

お客様のメリット

  • コンクリートから放出される、展示・収蔵品に有害なアルカリ物質を早期に除去するので、長期の養生期間を必要とせずに、営業・使用することができます。
  • アルカリ物質を除去するためにかかる費用が少なくて済みます。
  • この特殊処理を行うことで、コンクリートを緻密で丈夫にします。

技術・工法の特徴

特徴

従来工法の問題点

打設後のコンクリートからはアルカリガスが放出されます。美術館や博物館、公文書館などに収蔵、展示される美術品や文化財などは、アルカリガス、特にアンモニアガスによって、変色したり腐食したりすることがあります。従来の方法では、室内が美術品や文化財などの資料にとって良好なアンモニア濃度になるまでには、コンクリートを打設してから長い期間(枯らし期間)が必要でした。

本工法の特徴

本工法では、アルカリガスの放散促進処理と換気・除湿処理を施すことによって、アルカリガスを効率よく除去します。
まず、コンクリート中のアルカリガスの放散を促進させます。処理を施したコンクリートの組織は緻密になり、処理後は内部からのガスの放散を抑制します。
次に、換気・除湿処理により、室内のアルカリガスを短期間に除去し、枯らし期間を大幅に短縮します。
本工法では、特に問題となるアンモニア濃度を確認しながら、効率よく処理します。

工期短縮の概要

中性化への影響

放散促進処理によって、コンクリート表層部分の中性化が懸念されため、打設後3か月のコンクリートに対してpHの測定を行いました。
その結果、コンクリートの表層においても、処理の有無によってpHの差がほとんどなく、中性化には影響しないことが確認できました。

コンクリート中性化への影響確認

特許番号

  • 特許第3194718号
  • 特許第3771150号

施工手順

事前確認

コンクリートから発生するアンモニア濃度は、コンクリートに使用される材料毎に異なります。実物件への適用にあたって、使用するコンクリートから放出されるアンモニア濃度を事前に測定します。得られたデータから必要な換気量等を計算することで効果的な実施計画を立てることができます。

モニタリング

アルカリ除去が効率的に行われるよう管理するために、アンモニア濃度のモニタリングを行います。測定には、微量ガスモニター(エアサンプラー)を用います。以下、放散促進処理、換気、除湿処理、精密化学分析の各作業においてもモニタリングを実施しています。

実物件でのモニタリング結果

エアサンプラーを用いたモニタリング

放散促進処理

コンクリートへの適切な処理により、コンクリート中のアルカリガスの放散を促進させます。

換気・除湿処理

室内の換気と温湿度を適切にコントロールすることにより、アルカリガスを短期間に除去します。

精密化学分析

竣工・引渡しの前に、第三者機関による精密化学分析を行います。アンモニアの他に、酢酸、ギ酸、ホルムアルデヒドなどの濃度を測定し、問題がないことを確認します。

技術に関するお問い合わせ

関連情報

ソリューション

実績

  • 福山市中央図書館
  • 石橋美術館
  • 米沢市上杉博物館
  • ちひろ美術館
  • 京都国立博物館平常展示館
  • 国立公文書館つくば分館
  • 石橋美術館別館
  • 府中市美術館
  • 特種製紙
  • 女子美術大学相模原キャンパス10・11号館
  • 神奈川県立近代美術館
  • 韮崎大村美術館
  • 小松市立美術館分館
  • 国立科学博物館筑波地区収蔵庫
  • 東洋文庫

論文