Vol.14 まなびの館ローズコム 福山市中央図書館・福山市生涯学習プラザ

水に浮かぶ図書館

1階閲覧室。図書館は1辺約40mの正方形で、その中央は吹き抜けになっており、トップライトから採り入れられた自然光が乳白フィルムの貼られたガラスを経て、優しい光を閲覧室に落とす。本頁下、左から2枚目の写真で筆者が立っているのは、この写真の中央上の部分。格子天井の側面は、スギ小幅型枠の打ち放しコンクリートで仕上げられており、格子の中には、自動調光の蛍光灯が収められている。

景観・環境面への配慮

1階閲覧室、北東のコーナーで本を読む。1階の床と水盤は同じ高さで、ガラスの内外に配置された換気口(黒い部分)を通って自然換気がされている

興奮さめやらぬまま閲覧室(開架書架)に下ります。この日は日曜日だったこともあり、1・2階の閲覧室にはたくさんの人が訪れていました。25万冊の収容力を持つ閲覧室は、ガラス張りで中央公園に面していて、とても開放的。公園側の席は特に人気だそうです。
1階の窓際に近寄ると、「え?何?」。ガラスの向こうには水が……。深さ10cm程度の水盤が池のように建物を取り囲んでいるのです。そう、まるで水に浮かぶ図書館。「あぁ、このまま、ここでゆっくりしたい……」水を見ていると、時間がたつのを忘れそうです。野田さんによると、以前の建物と比べて入館者が3倍に増えたそうです。この心地よさですもの。納得です。
この水盤は、景観だけでなく、環境面の配慮でもあります。ガラスの外側、水盤との間には自然換気口があり、水の蒸散効果で冷やされた空気を建物に取り込みます。また、空調用の外気も取り入れ後、チューブによって導かれ、いったん水盤の下(地中)を通ることで、予冷されるそうです。
水は地下水が循環利用されていて、閲覧室西側のカスケード(階段状の滝)にも使われているそうです。

閲覧室西側の階段。右手がカスケード。

市民が集う癒しの空間

館内の天井を見上げると、コンクリートのワッフルのような格子梁になっています。よく見ると、コンクリートの表面がスギ板模様になっていて、温かみを感じます。ここにもこだわりがあったのかと感心しきりでした。
しばらく閲覧室にいると、ガラス張りにもかかわらずブラインドやカーテンが見当たらないことに気づきました。これは、ガラス面が北側と東側を向き、その上に2.7mもの大きな庇が設けられていることによって、午前10時以降は館内に直射日光が入らないよう配慮されているからだそうです。こうした細かい配慮のおかげで、いつでも外の緑を楽しめるんですね。
人々が集う「まなびの館ローズコム」は、公園の木々に抱かれるような、正に“癒しの空間”でした。わたしも、日常の疲れが飛んでいったような気がします。近くに行ったら、また立ち寄りたい場所です。