2013年10月23日

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、ビル外壁部の放射線量を測定する壁面放射線量測定システム「さー兵衛」を開発しました。屋上から吊りさげた測定装置を壁面に沿って上下させながら測定するシステムで、従来と比べ作業員の被ばく量の低減、作業時間の短縮、費用の削減が可能になります。

また今回の開発により、当社が目指していたトータル除染システムも確立しました。今後は除染の企画・調査から除染作業、放射性物質の拡散防止、放射性廃棄物管理まで当社独自のソリューションをワンストップで提供していきます。

写真1 福島県内のビル屋上で測定システムをセット
(全パーツを工具レスで組立)

写真2 電動昇降し、自動測定する「さー兵衛」

図1 トータル除染システムの各種対応技術

1.現状の放射線量の測定方法における課題

福島県内や放射性物質が拡散したと考えられる地域では、様々な風評被害を被っており、テナントビルなどでは未だに入居前に放射線量の測定データの開示が求められることがあります。

放射線量に関しては、空間線量率や対象物表面汚染密度を確認するため、それぞれに適した測定機器を用い、所定の位置において一定時間に決められた回数の測定を行います。特に、外壁面の放射線量については、壁面から1cm程度に測定器を設置する必要があります。壁面全体を調査する場合には、仮設足場を全面に組むか、ゴンドラを用いて外周面を順次走査する必要があり、多くの日数や費用を必要としていました。そこで今回、放射線量を測定する方法について省力化を狙った装置を考案しました。

2.外壁放射線量測定システム「さー兵衛」の特徴

このシステムは、当社の技術専門員が現地に機材を持ち込み、工具無しで機材を組み立てること(組立て時間12分程度)で、事前準備の負担を軽減し、放射線量の測定をスムーズに行えるようにしています。各測定ポイントで一定時間(10秒毎に10回測定し、その平均値が測定値)停止して測定を行い、データは装置内に自動で蓄積され、パソコンなどで測定データを管理し、報告書などに活用していきます。このシステムは外壁劣化診断ロボットで実績のある㈱オキナヤ(埼玉県熊谷市 社長:藤間憲一)が製作を担当しています。

この開発された技術により、事前準備(ゴンドラのセッティングや外部足場の組立て)を大幅に低減し、従来の測定時間と終了後の片付けの短縮、トータルコストの低減が図られました。

  • 1.測定装置は60cm/秒で昇降し、各ポイントまでの移動時間を短縮(ゴンドラと比較して半分程度)
  • 2.小型・軽量のため、重機や搬送トラックが不要となり、搬送・設置・測定等に関する費用を軽減
  • 3.組み立てに工具が不要で、かつ100V電源での操作が可能なので、大きな電源や仮設対応は不要
  • 4.測定データはCSVテキストフォーマットで加工出来るため、必要なデータのみ取り出し、短時間での報告書作成が可能
  • 5.従来、汚染面と近接した状態で作業員が測定作業を行うため、当測定システムを使用することで作業員の被ばくを軽減

写真3 「さー兵衛」測定装置内部

写真4 測定システム 組立て状況

3.今後について

放射能測定が後回しとなり、既存建物の安全性が確認できないために稼働率が低下しているテナントビルなどを中心に、放射線量を短時間・低コストで測定可能な壁面放射線量測定システム「さー兵衛」を提案していく考えです。

また、トータルソリューションとして除染の企画・調査の段階から廃棄物の運営・管理までサポートできる技術を確立したことで、福島県を含む被災地の自治体や企業に対し、復興支援を行いながら今まで以上に、当社の放射能汚染対応技術を積極的に提案していく考えです。

以上