2016年11月9日

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)と(株)精研(社長:上野 俊信)は、現在施工中である和光北インター地域土地区画整理事業造成工事において、2社で共同開発した水の凍結圧力を利用した「コンクリート構造物破壊技術」を用いて、住居に近接した重力式擁壁の解体を行いました。
これまでの重力式擁壁の解体は、解体重機を用いて重力式擁壁を圧砕するため、大きな騒音・振動と大量の粉塵が発生するという問題がありました。本技術は、水の凍結膨張圧を利用して重力式擁壁に縦方向のひび割れを発生させるというもので、低騒音・低振動・無粉塵で重力式擁壁を撤去することができました。

写真1 凍結膨張による縦方向のひび割れ発生状況

写真2 解体した擁壁の撤去状況

※重力式擁壁:壁の自重で土圧に抵抗して、盛土または切土による斜面を支える壁体構造物

1.背景

本工事は、近隣建物に近接する重力式擁壁の解体工事であり、低騒音、低振動、無粉塵での解体が強く求められていました。重力式擁壁は通常より大きなマスコンクリートで、その解体にはたたいて壊すジャイアントブレーカや油圧で圧砕する方式の重機が使用されることが一般的であるため、大きな騒音・振動と大量の粉塵の発生が懸念されていました。

写真3 近接建物と重力式擁壁の関係

写真4 ジャイアントブレーカによる
鉄筋コンクリートの解体状況
(騒音・振動・粉塵が発生)

2.本技術のメカニズム

  • 水が凍結して氷になると、体積は約9%膨張し、その際に生じる凍結膨張圧は約200MPaとなります。この原理を利用し、重力式擁壁に対して縦方向に2本ずつ、横方向に0.75m間隔で配置した冷凍管内の水を、液体窒素を使って冷凍させることで冷凍管が膨張し、重力式擁壁に縦方向のひび割れを発生させます。
  • 冷凍管に扁平形状の鋼管を用いることも大きな特徴の一つで、鋼管内部の凍結膨張圧の上昇に伴って生じる、鋼管が円形に戻ろうとする復元力により、ひび割れ方向の制御とひび割れ幅を増大させることができます。

図1 凍結破砕のしくみ

3.成果

本工事では、全長21mの重力式擁壁に縦方向のひび割れを27本入れ、解体片を揚重機で撤去しました。ひび割れは1か所あたり5分程度の凍結時間で発生し、解体工事は大型重機を使用した場合と大差のないほぼ2日間で終了しました。
解体重機を一切使用しないことで、騒音・振動・粉塵が近隣の住環境に及ぼす影響を抑えながら、重力式擁壁の解体を行うことができました。

4.今後の展開

コンクリート構造物や現場造成杭の余盛りコンクリートの解体時に発生する騒音・振動・粉塵の問題は、本技術で解決できることを実証しました。今後、当社では、周辺環境に配慮した解体技術として、都市部等での大型コンクリートの解体工事を中心に、本技術を展開していく予定です。