2019年3月29日

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)は、トンネル工事における新たな安全対策として、VR(仮想現実)技術を活用した安全教育ツール「バーチャルNATM」を開発しました。
このシステムは、VR技術を活用して、トンネル工事(NATM工法※1)の3D-CG空間内を自由に行動しながら安全巡視を体験し、学習するツールです。体験者は、仮想現実の中で、事故の発生原因となりうる不安全行動、不安全状態に気づき、指摘する役割を担い学習するとともに、自らがトンネル工事で想定される災害に巻き込まれた状況を疑似体験することができます。リアリティーのある臨場体験のもとで、効率的・効果的に危険予知能力や安全意識の向上を図る教育ツールです。

※1 一般的なトンネル掘削工法の種別

図-1 主な作業場面で臨場感ある安全学習ができる「バーチャルNATM」(画面例)

1.開発の背景

トンネル工事は閉鎖された空間の中で、常時、大型重機を使用する作業形態であり、重機接触災害や肌落ち(崩落)災害などの労働災害の危険要因が多く潜んでいます。その多くは重篤災害に発展する危険性が高く、労働災害を防止するために、様々な安全対策が求められています。
近年では、VR(仮想現実)を利用した3次元の臨場感あふれる体感型の教育システムにより安全意識の向上を目指した安全対策が様々なフィールドで導入されつつあります。しかし、トンネル工事の一連の流れを体験できるシステムはありませんでした。
本ツールの開発により、労働災害の危険要因が多く潜んだトンネル工事において、効率的・効果的な安全教育の実施が可能となります。

2.安全教育ツール「バーチャルNATM」の概要

本教育システムはVR技術を活用した安全教育用ツールであり、体験者は設定されたシナリオに沿ってトンネル工事の不安全行動や不安全状態を指摘する仮想体験による学習を行うことができます。学習内容は、トンネル作業における通路編、覆工編、インバート編、切羽編の4つの作業区分で構成されています。
体験者はヘッドマウントディスプレイを装着することで実際のトンネル現場にいるような臨場感の中でトンネル内を自由に歩き回り※2、安全上の指摘項目をチェック(安全巡視)していきます。不安全箇所等を発見した場合には専用のコントローラで指摘を行い、もし体験者自らが不安全行動を行うとヒヤリハット体験やトンネル坑内で起こりうる労働災害に巻き込まれる疑似的な体験ができます。
シナリオ作成や編集には、当社の複数のトンネル工事技術者の実体験が数多く盛り込まれています。

※2:専用のコントローラを持ちながら腕を振ることで歩行

図-2 「バーチャルNATM」指摘体験
(画面例)

図-3 「バーチャルNATM」ヒヤリハット体験
(画面例)

3.特徴

①トンネルという特殊空間での作業を疑似体験

建設工事の中でも特殊な、トンネル工事の安全教育は、座学だけでは理解が難しいものです。実際の現場内で起こりうる不安全行動や不安全状態、ヒヤリハットを3D-CG空間内で疑似体験できる本システムは、若手技術者や経験の浅い坑夫(トンネル作業員)を含むトンネル工事関係者の危険予知能力や安全意識の向上に威力を発揮します。

②疑似体験の共有により客観的な指導も可能

ヘッドマウントディスプレイをつけて体験者が視覚する画像は専用PCにより常時モニターで確認できるため、第三者が疑似体験の状況をチェックすることができ、不安全行動や不安全箇所の指摘の不備などを客観的に教育するツールとして活用できます。

4.今後の展開

トンネル工事においては労働災害の撲滅を目指し、各種自動化に向けた施工機械の開発や最新安全設備の開発が進められていますが、実際にトンネル工事に従事している作業員や職員に対する安全教育の充実も非常に重要です。安全意識や危険予知能力(危険に気づく力)の向上に優れたツールの一つとして、「バーチャルNATM」を当社の全トンネル現場において活用していく予定です。