2019年6月28日

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、先端的ICT技術を活用して、これまでも作業所の安全確保と生産性向上を実現してきました。この度は、タブレット端末上で建機の3次元(3D)モデルと実際の建設工事現場の映像を重ね合わせて表示出来るシステム「建機AR」を開発しました。本システムを用いると、建設機械(以下、建機)を設置した際の建機周辺の状況や建機稼働時の危険箇所等を視覚的に確認することができます。そのため、建機の配置計画に掛かる時間と労力の削減を図ることができ、さらに、作業員とのイメージ共有が容易となるため、建設現場の安全確保にも繋がります。

  • ※ AR(Augumented Reality):拡張現実。人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術、およびコンピュータにより拡張された環境そのもの

図1 3Dモデル(高所作業車)設置前後のイメージ(左:設置前、右:設置後)

1.開発の背景

通常、建設現場における建機の設置計画は、仮設計画図と現場を見合わせる事で行っていますが、建設現場の状況は工事進捗に伴って刻々と変化するため、その都度、資機材の搬入経路と作業員の動線確保や危険箇所の検討等が必要でした。例えば、図面上では建機の設置が可能であったとしても、近接建物との距離や関係により、搬入経路や動線の確保ができなくなってしまう場合や建機の稼働範囲が限定されてしまう場合もあり(図2参照)、その検討と関係者への情報共有に多くの時間と手間が掛かっていることが実状でした。

図2 近接建物がある場所に設置した3Dモデル(クレーン)の一例

2.特徴

本システムは、タブレット端末上で表示させたい建機の3Dモデルを選択し、簡単な操作で実際の建設現場の映像と実物大のモデルを合成して表示することが出来ます。また、表示された3Dモデルをそのまま他の場所に移動させて設置の可否を検討することも可能です。
さらに、本システムは、実際の建機の性能を反映することが出来るため、例えば、クレーンの稼働状況に応じた吊荷の許容荷重の確認や所定荷重に応じた適切な作業半径を確認することが出来ます。 本システムの特徴をまとめると以下となります。

  • タブレット等の端末上に、実物大の建機の3Dモデルを配置できる
  • タブレット端末上で容易に操作が可能で他の専用機器が不要
  • 稼働状況に応じた吊荷の許容荷重の確認や所定荷重に応じた適切な作業半径の確認が可能
  • 表示された3Dモデルをそのまま他の場所に配置できる(設置高さも変えることが可能)(図5参照)
  • 一度に置ける建機の3Dモデル数に制限がない

図3 稼働状況に応じた吊荷の許容荷重の表示例

図4 吊荷と地盤面との境界表示例

設置高さの変更イメージ 実物大の3Dモデルをそのまま他の場所に配置することが可能(設置高さも自由に変えることが可能)

工事現場に隣接する建物の6階から地上に3Dモデルの配置を変更した際の表示画面

図5 3Dモデルの設置高さの変更イメージとその表示例

3.今後の展開

建設現場の安全確保は非常に重要な課題です。当社は「安全性No.1」をスローガンとして掲げており、建機使用時の安全確保に向けて、引き続き、本システムの建機モデルの拡充や操作性の向上等に取り組みます。さらに、本システムを自社の建設現場での使用に限定せず、今後は幅広く一般にも使えるように公開することで建設業界全体の安全性向上を目指します。