第4回審査結果

撮影:加藤 健

第4回KYOBASHI ART WALLにたくさんのご応募をいただきありがとうございました。最終回となった本公募では、国内外から総数345点のご応募をいただき、応募数は、過去最多となりました。審査を経て優秀作品1点および奨励作品2点の入選が決定いたしました。
優秀作品は、以下の予定で展示いたします。

展示場所・期間

TODAビル 建設中仮囲(北面)

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2023年8月28日(月)~2024年3月(予定)

KYOBASHI ART ROOM

東京都中央区京橋1-8-4 京橋第二ビル 4F
展示期間:2024年2月~3月(予定)

TODA BUILDING

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2024年11月以降(予定)

審査員総評

笠原 美智子(公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館副館長)
菊竹 寛(Yutaka Kikutake Gallery代表)
戸田建設株式会社 京橋プロジェクト推進部

本公募は4回目となりますが、最終回にふさわしく応募作品は質量ともに充実していました。それだけに選考は難しく、優秀賞・奨励賞に残った3作品が甲乙つけがたかっただけでなく、やむなく選考に漏れた作品の中にも秀作が多くありました。

一目で魅了されたのはネルソン・ホーさんの《編むこと、思い出すこと》です。垂らした髪を編んでいる様を和紙に朱色の岩絵具の線だけで表し、描かれたその人への愛情と仄かなユーモア漂う優しい作品に仕上がっていました。奨励賞の加藤立さんと笹埜八郎さんはすでに作風が確立している完成度の高い作品を見せてくれました。(笠原美智子)


優秀賞を受賞されたネルソン・ホーさんの作品は、アーティスト本人の経験、それによって作られる記憶、そしてそれが社会のなかでどのように居場所を生み出していくのかという人の精神のダイナミズムを感じられる作品でした。和紙、岩絵具と長い歴史を持つ素材を用いている点も興味深く感じます。展覧会ではどのようなストーリーが生み出されるのか楽しみです。(菊竹寛)

優秀作品

制作年:2022年|素材:雲肌麻紙に岩絵具|サイズ:H116.7×W91.5cm

編むこと、思い出すこと

人々は経験や記憶を持っているからこそ、情報や証拠をつなぎ合わせて、将来の見通しを予測することができるが、過去の経験を追体験し、時間と空間の感覚を作り出す手段である記憶は、どちらかというと信頼性に欠ける。記憶というのは、感情やトラウマなどの要因によって、歪んだり、捏造されたりすることが多い。人間としての私たちの存在が、この不正確で柔軟な記憶の上に成り立っているという考えに魅力を感じて描いた作品。

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ネルソン・ホー

1998年マレーシア、ペナン生まれ。2021年多摩美術大学日本画専攻卒業。メンタルヘルスやLGBTQに対する差別など現代の社会問題をテーマにした絵画、刺繍、インスタレーションなどの作品を制作している。近年の展示に、 2023年FOCUS LONDON(Saatchi Gallery/ロンドン)、2022年Memory is a Garden(GALLERY ETHER/東京)。2022年「アートアワードトーキョー 丸の内」審査員建畠晢賞。

奨励作品

Self Portrait with Blue Michigan

制作年:2023年|素材:リネンキャンバスに油彩|サイズ:H162×W130.5cm

加藤 立

1979年愛知県生まれ。人間の行為を演劇的に捉え、異化し、パフォーマンスなどで作品化している。近年の作品に、2022年『絵画の沈黙が聴こえてくる』(ANB TOKYO/東京)、2019年『I am a museum』(広島市現代美術館/広島)など。2021年第24回岡本太郎現代芸術賞入選。

無人販売の野菜たち

制作年:2021年|素材:キャンバスにアクリル❘サイズ:H112×W146cm

笹埜 八郎

1958年兵庫県生まれ。日常生活の中から、ふと心に引っかかった場面を取り上げ制作する。「なぜ気になったのか?」「他の人たちにはどう見えているだろうか?」「自分が受けた感じを誰かと共有することはできるだろうか?」などの思いを巡らせながら、様々な境界を越えた新しい世界が広がることを期待して活動している。

第3回審査結果

撮影:加藤 健

第3回KYOBASHI ART WALLにたくさんのご応募をいただきありがとうございました。本公募では、国内外から総数148点のご応募をいただき、審査を経て優秀作品2点および奨励作品2点の入選が決定いたしました。優秀作品は、以下の予定で展示いたします。

展示場所・期間

TODAビル 建設中仮囲(北面)

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2023年2月27日(月)~2024年3月(予定)

KYOBASHI ART ROOM

東京都中央区京橋1-8-4 京橋第二ビル 4F
展示期間:2023年9月~10月(予定)

TODA BUILDING

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2024年11月以降(予定)

審査員総評

笠原 美智子(公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館副館長)
金近 幸作(KOSAKU KANECHIKA代表)
戸田建設株式会社 京橋プロジェクト推進部

本公募も第3回となって認知度が増したせいか、完成度の高い作品が多かったように思います。しかし、同時に応募作品に既視感も強く感じました。その中で優秀作品2点と奨励作品2点を選出しましたが、選ばれた作品はいずれも、いまだ荒削りではあるけれども独自の世界を見せていると感じました。

優秀賞のSAKAMOTO ENTERTAINMENTさんの作品はオレンジ色が印象に残る抽象画ですが、そこに引力といっても良い強さがあるのは、彼女が曾祖母との記憶から「みかん」を題材に多くの作品を制作しているからではないかと思います。「みかん」が次にいかなる展開を見せるのか楽しみです。
奨励賞の新井佳能さんは、自分の日常生活の奥に潜む違和感や疎外感、現在の自分が存在する世界を戯画化しています。人間(自分)ががんじがらめなのに動物が自由に遊ぶ世界、真面目に世界に対峙=遊ぼうとする作者の姿勢が清々しいと思いました。(笠原美智子)

優秀賞の大竹奨次郎さんの作品は、緩やかなルールのもと「時間」「絵の具のタッチ」「奥行き(深さ)」など様々な要素が盛り込まれた抽象的な絵画です。瑞々しい感性と自然体な制作姿勢が見て取れ、今後の新たな展開にも期待したいと感じました。
奨励賞の岩竹理恵さんによる写真作品は、イメージの中で起こる視覚と認識、見ることと見えることのずれや身体的な体験を扱っており、網点の大きさを変えることで、その効果を表現しています。様々なスケールの作品展開に挑戦してもらいたいと思います。(金近幸作)

優秀作品

制作年:2022年|素材:キャンバスに油彩|サイズ:H60.6×W72.7cm

Untitled

どうしたら絵が描けるのか、何を表したいのか、何もわからないまま線を引いたり色をつけていく。そうすると混乱してくる。いろいろなことをして待っていると、タイミングがやってきて気づく。
テーマもコンセプトも目的もなく、一つの光ができてくる。

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大竹 奨次郎

1994年東京都生まれ。2020年武蔵野美術大学油絵学科卒業。卒業後の活動として、個展を毎年開催。2020年「花咲く絵画たちの光」(マキイマサルファインアーツ/東京)、2021年「花についての花 魚についての魚 街についての街」(リバーアンドコーヒーギャラリー/東京)、2022年「竜泉」(Liamgallery/東京)など。

制作年:2023年|素材:キャンバスに油彩、アクリル|サイズ:H72.7×W60.6cm

Re:Orange_Peel_Piece

オレンジ色は私の記憶に残る場面でたくさん印象に残っている。
曽祖母はみかんが大好物だった。
亡くなった時天国でもみかんが食べられるように
棺の中にみかんをたくさん入れた。
火葬後、色鮮やかだった物は全て無彩色の灰と骨になり、
顔の周りに置いたみかんの灰だけが綺麗なワインレッド色をしていた。
死してもなおオレンジ色は私たちに色を与えてくれる。

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SAKAMOTO ENTERTAINMENT

1997年熊本県生まれ。2020年多摩美術大学統合デザイン学科卒業。素材を研究し、新たな視点からものを見つめ直しデザインやアートに落とし込んでいる。2021年SHIBUYA AWARDS入選。2022年muni art award ファイナリスト、アートオリンピア入選、長亭GALLERY展入選。

奨励作品

Emergency

制作年:2022年|素材:キャンバスにアクリル|サイズ:H165×W135cm

荒井 佳能

2003年宮城県生まれ。2023年現在、東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コースに在学中。今、自分という存在は何か、自分のアートとはなにかを常々考えている。それを見つけるべく日々制作に励んでいる。

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制作年:2019年|素材:紙にインクジェットプリント|サイズ:H104×W84cm

岩竹 理恵

1982年南アフリカ共和国ヨハネスブルグ生まれ。筑波大学大学院修了後ペルーやパリ、アイスランド、台北、横浜などを転々として制作発表してきた。見ることと見えることのあいだで起こる流動的な視覚体験を平面作品の中で取り扱おうとする。近年の展覧会に、2022年「瀬戸内国際芸術祭」(宇野港周辺/岡山)、2020年「MOTアニュアル2020 透明な力たち」(東京都現代美術館/東京)など。

第2回審査結果

撮影:加藤 健

第2回KYOBASHI ART WALLにたくさんのご応募をいただきありがとうございました。本公募では、国内外から総数247点のご応募をいただき、審査を経て優秀作品2点および奨励作品4点の入選が決定いたしました。優秀作品は、以下の予定で展示いたします。

展示場所・期間

TODAビル 建設中仮囲(北面)

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2022年9月21日(水)~2024年3月(予定))

KYOBASHI ART ROOM

東京都中央区京橋1-8-4 京橋第二ビル 4F
展示期間:2023年3月8日(水)~3月18日(土)/3月29日(水)~4月8日(土)
※3/12、4/2(日)は休場

TODA BUILDING

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2024年11月以降(予定)

審査員総評

笠原 美智子(公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館副館長)
石井 孝之(タカ・イシイギャラリー代表)
戸田建設株式会社 京橋プロジェクト推進部

前回同様、今回も活動経験の豊富さ、作品の完成度に拘らず、コンセプトや視覚的インパクトに重点を置き審査し、優秀作品2点と奨励作品4点を選出しました。

優秀作品の高橋喜代史さんによる、言語をストレートに用いて、自分自身が登場するパフォーマンスを主軸とした写真作品「POSTER」は、シンプルな表現でありながら、多層的な背景を想起させ、作品が展示される屋外の仮囲という場所において、とても効果的であると思いました。

同じく優秀作に選出されたチャン・ジンウェンさんは、都市に暮らす日常生活の「孤独」をテーマに、秀逸に切り取られ身近でありながら非現実でもある風景、墨と和紙による色彩がその孤独、不安をよく表現していました。 日々何万人もが行き交う路上で、人々が作品から何を思い、感じるのか、とても楽しみです。

優秀作品

制作年:2018年|素材:写真(映像作品《POSTER》のスチール写真)|サイズ:H75×W100cm

POSTER

英語・日本語・アラビア語、3つの言語で「助けて!」と描かれた大きなポスターを、1人で貼ろうとする映像作品《POSTER》のスチール写真である。日本の難民認定問題を背景に、日本に助けを求めて難民申請をする人々の状況と、ポスターを貼るには助けが必要な状況を重ねた。遠く離れた世界の出来事と自分とを接続する試みとして、同じ言葉を翻訳・併置して異なる背景をと考えた。そして難民申請者に対し自分の住む国が非情な対応をしていても具体的な行動を起こさない/起こせない自分がいた。その状況をこそ抽象化させ、自らの姿勢としての路上行為を映像に記録した。

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高橋 喜代史

1974年北海道生まれ。札幌を拠点に国内外で活動。「言葉とイメージ」に関する映像インスタレーションや立体作品を制作している。1995年ヤングマガジン奨励賞。2000年ビッグコミックスピリッツ努力賞。2010年JRタワーアートボックス最優秀賞。2020年第3回本郷新記念札幌彫刻賞。2012年より現代美術の企画も行う。2015年一般社団法人PROJECTA設立。

制作年:2022年|素材:雲肌麻紙、墨|サイズ:H41×W41cm

冬夜

現在「孤独」を創作の核とする作品を制作している。無機質な風景を描写し、現代人の「孤独」、「記憶」、「コロナの不安感」などの感情を伝えたいと考えている。「冬夜」(とうや)は、見慣れた喫煙所をモチーフにして描写した。人がいなくても、見えない記憶や感情が存在していると考え、空間の閉鎖的な構図を利用して、物語が溢れるような場面を作りたいと思った。そして作品は、現実の世界を再現するだけではなく、現実と非現実の隙間を織り込んで、不思議な世界を表現している。

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チャン・ジンウェン

1979年台湾台中生まれ。2020年より多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍。主な展示に、2021年「東アジアのなかへ―収斂と拡散 vol.3 容器」(柴田悦子画廊/東京)、2022年「記憶容器」SICF22 EXHIBITION部門 グランプリアーティスト展(スパイラルガーデン/東京)、「伏線」(誠品画廊/台湾)などがある。

奨励作品

屋上

制作年:2021年|素材:キャンバスに油彩|サイズ:H100×W100cm

有馬 莉菜

1988年東京都生まれ。2015年東京芸術大学大学院修士課程美術研究科絵画専攻修了。 "場所"、"感覚"、"記憶"を基に、平面油彩を制作している。2011年トーキョーワンダーウォール賞。2012年シェル美術賞入選。2015年損保ジャパン日本興亜美術賞入選、テラダアートアワードTERRADA賞。以降、国内外で展示を行う。

色と揺れ

制作年:2022年|素材:画用紙にアクリル、PCに取り込みPhotoshopでレイヤーを積層|サイズ:H300×W489.2cm

諏訪 葵

1991年東京都生まれ。2022年現在、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程に在学中。人間が視覚的な現象を知覚するプロセス、「見ること」から展開するインスタレーション作品や映像作品、平面作品を制作している。

ただいま

制作年:2022年|素材:キャンバスに油彩|サイズ:H100×W72cm

中井 伸治

1977年大阪府生まれ。多摩美術大学卒業。自身の体験やイメージから物事の輪郭を直接触れられる表現を絵画や写真を通して模索している。2010年トーキョーワンダーウォール賞。2019年第2回枕崎国際芸術賞準大賞。2021年IMA next THEME#24 MEMORIESショートリスト入選。

BAKKY POSE

制作年:2022年|素材:油彩、墨、カラースプレー|サイズ:H71×W60.5cm

BAKKY

宇宙との意識のつながりを感じながら絵を描いている。創作においては、今この星で生きている自分とは違う宇宙の自分にコンタクトし、シンクロする。瞬間的・新鮮なひらめきを重要視し、身体と意識を最大限に活かした表現を心がけている。人間にはなぜ身体があり、意識があるのかを模索し、「BAKKY is art」をテーマに制作している。

第1回審査結果

撮影:加藤 健

第1回KYOBASHI ART WALLにたくさんのご応募をいただきありがとうございました。新進アーティストの支援を目的に今回初めて実施することとなった本公募では、国内外から総数222点のご応募をいただき、審査を経て優秀作品2点および奨励作品2点の入選が決定いたしました。優秀作品は、以下の予定で展示いたします。

展示場所・期間

TODAビル 建設中仮囲(北面)

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2022年2月21日(月)~2024年3月(予定)

KYOBASHI ART ROOM

東京都中央区京橋1-8-4 京橋第二ビル 4F
展示期間:2022年9月28日(水)~10月8日(土)/10月19日(水)~29日(土) 11:00~18:00
※10/2、23(日)は休み

TODA BUILDING

東京都中央区京橋1-7-1
展示期間:2024年11月以降(予定)

審査員総評

笠原 美智子(公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館副館長)
小山 登美夫(小山登美夫ギャラリー代表)
戸田建設株式会社 京橋プロジェクト推進部

審査は、活動経験の豊富さや作品の完成度にはこだわらず、コンセプト、視覚的魅力、伸び代の3点を中心として、最終的に10作品に絞り込んだ中から優秀作品2点と奨励作品2点を選出いたしました。
今回の優秀作品2点に共通しているのは、空間と時間の特殊性。コケシスキーさんの絵画作品「Hole」では、少女を取り巻く森のような自然と、クルマや遊具のような人工物、鹿の骨があり、時空をこえるスポットのような風景が展開されています。佐々木香輔さんの写真作品「space -under the ground-」では、戦時中に作られた地下壕の空間に、最新の地震計測装置が設置されている風景が広がり、時代とともに変容する地下に広がる空間が照らしだされています。どちらの作品も、京橋という街の壁面に、現実から違う世界につながる場所を提示してくれるように思います。

優秀作品

制作年:2021年|素材:キャンバスにアクリル|サイズ:H65.2×W65.2cm

Hole

瓦礫の山に立った時、その輪郭を形づくる裾広がりの形状はドレスのようだった。以来、瓦礫とドレスの対比、山のように積み重なることをテーマに制作をしている。本作では、堆積物からなる山に対しての穴であり、加えて、時間の積み重なり、同じ場所でありながら違う時間の一瞬が融合した画面を表現した。

Kokeshisky / コケシスキー

多摩美術大学デザイン科卒業後渡米。Pratt Institute(ニューヨーク)卒業、MFA取得。モーショングラフィック・デザイナーとして活動後帰国。デザイン業に従事する傍ら2005年より絵画制作を開始。2016年、制作のフィールドをファインアートに移し、初個展開催。近年はAWAJI Cafe and Gallery(東京)など、東京を拠点に作品を発表している。

制作年:2020年|素材:デジタルタイプCプリント|サイズ:H53×W79.5cm

space -under the ground-

写っているのは私たちの足元、その地下空間に設置された地震の研究装置。京都大学地震予知研究センターが管理しているもので、戦時中に旧日本軍が作った地下壕を転用し、現在は地震の予知研究に役立てられている。普段は真っ暗闇の地下空間にライトを持ち込み、光源の位置を何度も変えながら複数枚撮影。そしてそれらを重ね合わせて、1枚の画像に合成した。可視化された風景は現実には存在せず、この写真にのみ映し出される。

佐々木 香輔

1985年宮城県生まれ。2007年日本大学芸術学部写真学科卒業。2018年第41回「キヤノン写真新世紀」優秀賞。2020年第22回 「1_WALL」写真部門ファイナリスト。2021年には「ALTERNATIVE KYOTO」(京都府主催芸術祭)に参加。写真というメディアを通し、光の存在を顕在化させる表現を探求している。

奨励作品

制作年:2021年|素材:インクジェットプリント(デジタル・フォトコラージュ)|サイズ:H55×W65cm

奥山 広樹

1982年北海道生まれ。2008年多摩美術大学卒業。その後写真スタジオに就職。2010年よりフリーランスで活動を続け現在に至る。制作は発見する事と同時に己の欠如したスキマの補完であると捉え、主に写真を使った平面、絵画作品で表現を実践している。

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制作年:2021年|素材:archival pigment print|サイズ:H69×W103.4cm

戸田 沙也加

1988年埼玉県生まれ。2012年女子美術大学大学院美術専攻洋画研究領域修了。美しさと表裏一体の醜美の世界を軸に少女や動植物の形を通してペインティングで表現する。2019年からは写真シリーズとして、醜美をテーマとする絵画シリーズをスナップショットと多様なメディウムを利用して表現する方法を実験的に試みている。

招待作家

第1回作品募集に先駆けて、TOKYO CONTEMPORARY KYOBASHIによる招待作家の作品をTODAビル建設中仮囲と四季彩舎で展示。

  • TODAビル仮囲:2021年11月1日(月)~2023年11月(予定)
  • 四季彩舎:2022年2月17日(木)~2月26日(土)※2月20日(日)は除く

瀬戸 優

1994年神奈川県生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。2018年、20年の四季彩舎(東京)での個展をはじめ、グループ展、アートフェアなど出展多数。

展示作品について

自然科学を考察し「彫刻表現における自然科学との融合性」をテーマとし、野生動物をモチーフとしたテラコッタ(素焼きの土器) による実物大の彫刻作品を制作している。
本作でも生命感を最大限に引き出すための造形を模索し、彫刻の素材であるテラコッタには触覚や軌跡をダイレクトに表面にあらわしている。

《水源-ウサギ-》
制作年:2021年|
素材:テラコッタ、彩色、玉眼|
サイズ:H30×W16×D40cm

メッセージ

近年の急速なテクノロジーの進歩、SNSなどのネットワークの普及、コロナウイルスの蔓延など、我々を取り巻く環境は大きく変わってきました。
発信の方法がネット中心になる中、作家にとっては、直接の鑑賞から得られる熱量や質量、質感は大変重要です。膨大な情報に流されない、モノの本質を見抜く「目」を鍛えられたらと思います。

yutaokuda

1987年愛知県生まれ。Istituto Marangoni(ロンドン)ファッションデザインコース 卒業。2012~16年、ファッションブランドTAKEO KIKUCHIにてデザイナーとして勤務。退社後、アーティスト「yutaokuda」として活動開始。現在は、個展やアートフェアなど国内外問わず積極的に作品を発表し続けている。

展示作品について

当たり前だと思っていたことが、特別な出来事だったと気付き、感謝を作品にしたいと思いから'withgratitude'というテーマで「花」を描いている。本作では、中央区の色であるコバルトブルーを背景にし、色とりどりの花は街中にアートが芽吹く京橋の様子を表現した。墨のにじみや、 アクリル絵の具の混ざり具合から 偶然に生まれた凹凸の中からアウトラインを抽出し、生き物や花を形取っている。

《Abstract Bouquet(Cobalt Blue x Red)》
制作年:2021年|
素材:キャンバスにアクリル、顔料インク|
サイズ:H91×W91cm

メッセージ

このコンペティションでは受賞者に対して、いくつもの副賞が用意されていて、そのどれもがより多くの人々に作品を見てもらい、ファンになってもらう良い機会になるかと思います。このコロナ渦で私たち作家は展示する場所もかなり制限され、難しい条件下での活動が続いていますが、逆境をバネにこの時代を作品と共に乗り越えていきましょう。