Zoom UP 現場
学校法人聖マリアンナ医科大学
菅生キャンパス
リニューアルプロジェクト
(新病院棟建設工事)

地域医療を担う大規模病院の大リニューアルプロジェクト

高度先端医療に対応する特定機能病院の役割も担う地域の中核病院である川崎市宮前区北部にある聖マリアンナ医科大学では、現在キャンパス内の大学病院を始めとする主要施設の大規模なリニューアルプロジェクトが進められており、当社がこの一連の工事を手掛けている。今回はこの「菅生キャンパスリニューアルプロジェクト」の現場に訪問した。

神奈川県川崎市

病院機能を維持しながら実施する大リニューアル計画

聖マリアンナ医科大学病院のリニューアル工事は、2019年5月にスタートして2026年9月に完了する一大プロジェクトである。この期間、キャンパス内で工事区域を変えながら大きく4段階に分けて工事を進めることで、病院は通常通り運営される。
現在はステップ2(2019年6月~2022年10月)の「新病院棟」の新築工事を進めている段階である。

キャンパス全体のCG
リニューアル計画完了時(2026年)のキャンパス全体のCG。名称が記載されている場所は、今回のリニューアル計画で新築・改修される主な建物と空間。
リニューアル計画完了時(2026年)のCG
駐車場・ロータリーから見たリニューアル計画完了時(2026年)のCG。右手が現在工事を進めている「新病院棟」(2022年10月竣工予定)。

「この『新病院棟』と隣接する場所に、これまでキャンパス全域に電力や水といった重要インフラを供給していた既存建物があったのですが、まずここから延びるインフラ配管を『新病院棟』の新築工事に影響しないギリギリのところまで仮設で盛替えるという大きな仕事がありました。敷地が狭く複雑で、かつ各棟が近接しているので、BIMを活用しながら安全な配管盛替えの検討を重ねて作業を実施しました」と現場を指揮する作業所長は話す。

工事区域の外周部
盛替えたインフラ配管は工事区域の外周部に配置されている。

インフラ配管に関する事前の試掘や調査を徹底して行い、トラブルを絶対に起こさないことは、本プロジェクトを通して最重要課題のひとつである。

高低差のある地形に起因する「新病院棟」の難工事

さて、現在工事を進めている「新病院棟」は、聖マリアンナ医科大学50周年事業の一環として建設されるもので、地上12階で病床数は955床。従来よりも多くの手術室や集中治療室を備え、高齢化社会を迎える時代において、超急性期病院の機能を遺憾なく発揮する施設となる。
建物の建設地は既存建物に四周を囲まれて狭隘であり、また約17mと大きな高低差があるが、これが本工事を難しいものにしている。地盤の高い部分は建物の4階部分と接続するが、このレベルから地下に向けて約26mの掘削を行い、計7段もの地盤アンカーを打っている。

「この掘削工事で搬出した土は計12万㎥にもなりました。建築工事でこの量はほとんどなく、本社の方が現場に来た時、その光景を『土木工事のようだね』と言っていました。また基礎は杭のない直接基礎ですが、基礎・耐圧版・擁壁をマスコンクリートで構築しており、ミルフィーユ状に打設を重ねたその厚さは最大4mもあります」。(作業所長)

断面図
断面図

建物は基礎免震だが、敷地の高低差に合わせて免震層は1階レベルから4階レベルまで段状に伸びるような特殊な形状をしており、そこに鉛直方向の壁やエクスパンションが取り合ってくるという複雑さをもつ。こうした中で不都合が生じそうな部分はBIMを活用して設計と打ち合わせを行い、当社がモデルを修正しながら図面をディベロップしていくというかたちで進めている。

高い意識を持続し、目標を実現するためのモニタリング

このような難工事であること以外に、本工事の特徴としてお客さまをはじめ多くの人々の目に触れる場所で行うというポイントが挙げられる。

「キャンパス内に建っている既存建物の多くは長年当社が建設を手掛けてきたものです。この大切なお客さまである病院の関係者はもちろん、治療やお見舞いに来院される市民の方々など、ここは多くの人の目が集まる現場です。そうした方々にご迷惑をかけないことはもちろん、私としてはスマートに美しく工事を進める中で、『建設業ってこんなにカッコ良いんだ!』ということを、現場を目にする皆さんに感じていただけるような仕事をしたいと思っています」。(作業所長)

運営中の病院と面した現場
運営中の病院と面した現場

建設中の「新病院棟」の周囲には、現在使用されている建物の廊下がぐるっと取り囲んでおり、そこを行き交う人々は工事状況を興味深く見ているという。このため日々作業員の入れ替わりがある中で、現場の整頓からちょっとした行動まで、見られることを常に意識するよう喚起し続けている。

私たちが作っています

作業所長
作業所長 T・K
あたり前を積み重ね、「カッコ良い」工事を

工事はきちっとやり遂げてあたり前。でも「あたり前と思ってもらうこと」は実はあたり前ではなくて、信用をお客様からいただくには「チーム」が鍵になります。

信用を勝ち取るには「あたり前」を積み重ね続けるしかありません。それはひとりではできないので、現場の皆で途切れることがないように継続していくことが重要です。またそうした「建築屋としてのあたり前」を、一人ひとりがスマートにこなしていくことで、目にする人が「建設業ってこんなにカッコ良いんだ」と感じるような仕事をしたいと思っています。

集合写真

お客さまへのヒアリングを手掛かりに、施工者だけでなくお客様の立場でも満点の工事を実現します。

作業員さんが仕事をやりやすい環境をいかに整えるか。毎日この問題に全力で取り組んでいます。

お客さまが直接目にする外装工事の担当です。常に「見られている」という意識で仕事をしています。

上司や作業員さんから言われたことはすぐに対応する!そうしたスピード感を大事にしています。

作業員さんとよく会話すること。手戻りを発生させないこと。約束を守ることを心掛けています。

手法やコストの面で「どうすればより上手くいくのか」を常に考えながら施工計画を進めています。

病院運営に支障が出ないように騒音や振動に注意しながら、配管工事などを慎重に進めています。

自分たちが「カッコ良い」と思うところまで出来た時に高品質になる、という想いで取り組んでいます。

工事概要

工事名称 学校法人聖マリアンナ医科大学
菅生キャンパスリニューアル
プロジェクト
(新病院棟建設工事)
発注者 (学)聖マリアンナ医科大学
施工者 当社単独
工期 2019年5月~2022年10月末
(ステップ2)
概要 敷地面積:85,250,34m2(計画全体)
[ステップ2:新病院棟]
地上12階、塔屋1階
地上RCS造、一部RC造、基礎免震
延床面積:60,267.52m2
最高高さ:44.99m
用途 病院(955床)