サステナビリティ トップメッセージ

社会課題を見据え、未来を創造する企業グループへの取り組みを
徹底的に追求していきます
代表取締役社長
大谷 清介

価値のゲートキーパとして、協創社会を実現する「未来ビジョンCX150」

2022年度におきましては、ウイズコロナにおける変化をともないながら社会経済活動の正常化が進む一方で、世界的な金融引き締めや地政学リスクに注視が必要な状況が続きました。
建設業界におきましても、急激な物価上昇が業績に影響を及ぼすなど、厳しい経営環境となりました。
このような状況の中、今後ますます加速する社会・経済の変化に対し、ステークホルダーやマーケットの状況を適確に捉え、機動的に対応することがより強く企業に求められています。
2031年の150周年を見据え、当社グループが目指すべき姿として策定した「未来ビジョンCX150」(2021年7月)では、ステークホルダーが抱える課題が今後ますます多様化し、これまで以上に解決のスピードが求められる状況が加速していく中で、未来に実現したい社会像を「協創社会」と定義し、当社グループが最も効果的にそのような社会を実現し得る「価値のゲートキーパ―」となることを目指しています。
真に迅速に行動する機動性をもって、未来を創造し社会課題を解決する企業グループとして、今後もその方向性を徹底的に追求していきます。

「中期経営計画2024 ローリングプラン」の策定(2022年5月公表)

当社グループでは、2020年5月に「中期経営計画2024」を公表し、2024年までの5ヵ年を新たな収益基盤構築のための「変革フェーズ」と位置づけ、取り組みを進めてまいりましたが、その後の急速な環境変化に対応し、また150周年に向け策定した「未来ビジョンCX150」の実現に向けた戦略を明らかにするため、2024年までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2024ローリングプラン」(以下「ローリングプラン」)を2022年に策定し、グループをあげて、取り組みを進めております。

「ローリングプラン」の基本方針/グループ業績目標

基本方針

未来ビジョンCX150の実現

10年後(2031年)の戸田建設グループの目指すべき姿を示す未来ビジョンCX150の実現を通じて、すべてのステークホルダーに対し、真に認められる価値を提供。

事業ポートフォリオの強化

新TODAビル、浮体式洋上風力発電事業等の成長投資を推進することで、建設事業等の基幹事業を含む事業ポートフォリオ全体を強化。

グループ業績目標と実績

 2022年度における国内景気は、ウィズコロナの下で社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが進んだものの、世界的な金融引き締め政策、地政学リスクによる為替変動や物価動向等に注視が必要な状況が続きました。
 建設業界においては、官公庁工事および民間工事が堅調に推移したことから受注高は前年度を上回りましたが、収益面については資材価格の高騰などにより厳しい経営環境となりました。
 このような状況の中、2022年度における当社グループの業績は以下の通りとなりました。
 連結売上高につきましては、海外投資開発事業の増加などにより、前期比9.1%増の5,471億円となりました。営業利益につきましては、海外投資開発事業の売上総利益は増加しましたが、建築事業における市場環境の変化による鉄骨などの資材価格上昇にともない複数の工事で工事損失引当金を計上したことなどにより、売上総利益は8.5%減少し、573億円となりました。販売費および一般管理費は、人件費および減価償却費などの増加や新型コロナウイルス感染症にともなう行動制限の緩和による各経費の増加により、前期比12.8%増の431億円となりました。この結果、営業利益は前期比42.0%減の141億円となりました。このため、経常利益につきましても、受取配当金や為替差益などにより営業外収益が増加しましたが、前期比32.3%減の190億円となりました。
 当期純利益につきましては、投資有価証券売却益などにより特別利益が増加しましたが、環境・エネルギー事業において固定資産の減損損失が発生したため、前期比40.8%減の109億円となりました。
 この結果、ROEは3.5%(前期5.9%)、労働生産性(個別)は1,171万円(前期1,458万円)と低下しました。しかしながら、2022年度配当金につきましては、1株あたり27円(年間:前期26円)と増加したため、配当金総額は84億円(前期80億円)となり、昨年見直した新たな還元目標であるDOE(自己資本配当率)は2.7%(前期2.6%)、総還元性向は76.5%(前期43.2%)と前期を上回る水準となっています。
 なお、建設受注高(個別)につきましては、主に国内建築の民間工事受注が減少したため、全体では5.7%減の4,267億円となりました。今後につきましては、経済情勢は緩やかに持ち直していく傾向であるものの、世界的な金融引き締め等が続く中で物価上昇および地政学リスクについては、依然として不透明な状況の継続が予想されます。建設業においては、受注環境は堅調に推移していくものと見込まれますが、資材価格の動向と労務価格の上昇については引き続き注視していく必要があります。当社グループでは、今後、物価上昇等による業績低迷の再発を防止するとともに、環境変化に対する機敏性と組織対応力を強化し業績回復に努め、2023年度予測の達成を目指してまいります。

「ローリングプラン」の基本戦略

  • 未来ビジョンCX150と連動する「バリューユニット」を基に顧客価値を創出
  • 投資活動強化。原資として資産入替、政策保有株売却加速
  • 脱炭素化に向けCO2排出削減目標を上方修正
  • 新たに「時間当たり労働生産性」を採用し、働き甲斐改革を推進
  1. 1付加価値の向上
    業績目標の達成に向け、基幹事業および新たに特定した重点管理事業の付加価値向上により、両輪での成長を目指していきます。
    1. (1)Smart Innovationの推進(基幹事業)

       「技術を売る企業」としての価値向上を目指し、機械化施工、新技術・ICT利活用を通じた安全性・生産性の向上を図るとともに、BIM/CIM、i-Construction等を活用したDXによる新たなビジネスモデル創造を目指し、2022~2024の3ヵ年で技術研究開発投資約200億円(年約66億円)を計画しています。

    2. (2)体験価値の向上(基幹事業)

       顧客が建設物を利用するまでの「体験」をデザインし、従来の機能価値の提供を超える新たな顧客価値をつくり出す体験価値(顧客エクスペリエンス)を視野に入れることで、収益成長を目指します。
       その展開領域となるのが、CX150で示されたSmart Innovation以外の3つの領域です。それぞれの領域で、当社グループが提供する具体的な体験価値(バリューユニット)を設定し、社内外連携、オープンイノベーション等によりバリューユニットを基軸として技術・ソリューション開発を推進します。

    3. (3)重点管理事業

       重点管理事業として「新TODAビル(新本社ビル)」「海外事業」「再エネ事業」を特定し、トップマネジメントの積極的関与のもと、中長期的成長による事業ポートフォリオの強化を目指してまいります。
       新TODAビルにつきましては、これを活用したさまざまな価値創造を通じた新たな収益基盤の構築を加速しており、2024年度の竣工に向け、2023年度は投資が本格化してまいります。
       海外事業につきましては、2023年3月に組織改編により、海外における現地法人を一元的に管理する「グローバル事業統轄部」を新設しました。インドネシアTATA社の子会社化により、厚みの増した東南アジアを基軸として、経営リソースの集中により、さらなる海外事業の推進を図ってまいります。
       また、浮体式洋上風力発電事業につきましては、建設中の五島におけるプロジェクトで不具合による減損処理を行っておりますが、当事業の完遂とともに、これまでの経験を活かし、浮体式洋上風力のトップランナーとして、大型化やコストダウンといった課題にも取り組んでまいります。

  2. 2投資計画と資本アロケーション(適正配分)
     投資計画としては、成長・無形資産投資を通じた事業ポートフォリオの強化とともに、目標であるROE(自己資本利益率)8%を中長期的に確保するため、事業別ROIC(投下資本利益率)の採用や投資審査室の設置などにより資本効率の向上を図ります。
     また、投資原資として、営業利益の確保(3ヵ年累計800億円以上)をベースに、保有資産の売却(670億円)、政策保有株式の売却(100億円以上/年、時価ベース)、有利子負債の活用(D/Eレシオ0.8倍以下)を推進しております。
  3. 投資計画の進捗状況

     2022年度におきましては、ローリングプランの実現に向け、将来の収益基盤構築のための成長投資や、人財育成、ゼネコンとしての技術力向上のための研究開発投資などの無形資産投資を推進し、実績としては、全体で489億円でした。

    • 成長投資

       成長投資につきましては、2023年度は1,030億円を予定しています。その内訳は、新TODAビルへの投資が本格化する不動産開発770億円(うち新TODAビル 300億円)および環境・エネルギーなど260億円となっています。

    • 無形資産への投資

       無形資産投資につきましては、技術研究開発(135億円)に積極的な投資を行うほか、デジタル化(35憶円)や人財(10億円)への投資を進め、計180億円を予定しています。

  4. 3ESG経営の浸透
     サステナビリティ基本方針を踏まえ、ローリングプランでは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)それぞれの領域において、非財務目標の重要管理指標を再設定し、取り組みを浸透させております。Eに関しては、目標値をスコープ1+2、スコープ3と区分し明確化するとともに、原単位の目標値を設定して、各事業部・支店・作業所などの組織単位ごとに目標を定めやすくしました。Sについては、安全性ナンバーワンを目指す企業として、他社と比較可能な度数率を指標としています。Gに関しては、新たに時間当たりの労働生産性という指標を採用し、社員が働く意欲を高め得る目標として設定しています。
     各領域における取り組みとしては、Eにつきましては、環境・エネルギー事業、脱炭素化への取り組みなどを通じて環境先進企業としてのブランドを確立を目指して行きます。また、Sにつきましては、2023年度より人事制度を刷新するなど、一人ひとりが成長を実感できる”働き甲斐改革”をさらに推し進めるとともに、環境、労働安全衛生、投資、コンプライアンス等のさまざまなリスクマネジメントを強化してまいります。Gにつきましても、引き続き経営上の組織・仕組みの整備などを通じて、その実効性を高めてまいります。
     当社グループのさまざまな社会課題への取り組みは、CDPをはじめ外部の評価機関などから高い評価を得ています。

”喜び”を実現する企業グループへ

すべてのステークホルダーの“喜び”の実現を目指すグローバルビジョンの使命を果たすために、150周年を見据えて、多様な変化の時代にステークホルダーの真の満足を追求する姿が、未来ビジョンCX150です。当社グループは、サステナビリティ基本方針のもとESG経営を重視した持続的な企業活動のあり方を踏まえつつ、価値のゲートキーパーとして、協創社会の実現を目指してまいります。

代表取締役社長
大谷 清介

  • SCIENCE BASED TARGETS DRIVING AMBITIOUS CORPORATE CLIMATE ACTION
  • RE100
  • ECO FIRST
  • BOSS IKUBOSS AWARD 2016