新着情報 超高層ビル建設現場に安定した通信ネットワークを構築! ウェーブガイドLANシステムを改良した新たな通信システム

2020/07/31

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、古野電気(株)(社長:古野幸男)、PicoCELA(株)(社長:古川浩)と共同で、超高層ビル建設現場の高層階でも安定した通信ネットワークを構築できる新たな通信システムを確立しました。本システムは、当社と古野電気が共同開発した「ウェーブガイドLANシステムTM※1とPicoCELAの無線LAN接続方式を組み合わせたもので、この度、建設中の高層ビルで実証実験を行い、その有効性を確認しました。

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図1 新たに開発した通信システムのイメージ

開発の背景

「ウェーブガイドLANシステムTM」は、電波を放射するアンテナユニットに建設現場で仮設材として用いられる単管パイプ(導波管)を接続することで、LAN ケーブルを敷設することなく、建物内に堅牢で快適な無線通信環境を構築する技術です。工事の進捗に合わせて容易に拡張することが可能であることから、携帯端末やIoT機器を使用する機会が多い工事現場への適用が進められてきましたが、その出力には限界があり、超高層ビルの高層階においては、フロア全体に安定した無線通信環境を構築できないという課題がありました。

本システムの概要

新たに開発したシステムは、「ウェーブガイドLANシステムTM」とPicoCELA独自の無線LAN接続方式「無線バックホール方式」を組み合わせたものです(技術基準適合証明を取得済み)。「無線バックホール方式」は、複数のアクセスポイント間を無線接続することで、屋内外を問わず容易に無線通信環境を構築・拡張することができる技術で、縦系統(高さ)の構築・拡張に強い「ウェーブガイドLANシステムTM」と横系統(広さ)に強いPicoCELA製アクセスポイント(PCWL-0410)を組み合わせることで、広範囲に安定した無線通信環境を容易に構築することが可能となりました。

本システムの特長は以下のとおりです。

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    縦系統(高さ)への無線通信環境の構築・拡張が可能
    建設現場においては、コンクリートの床や壁により、特に高さ方向への電波送信が困難となりますが、パイプシャフトやダクトスペースなどの縦空間に単管パイプを通す「ウェーブガイドLANシステムTM」は、高さ方向への電波送信が可能であり、さらに、単管パイプの途中に中継用のアクセスポイントを接続(導波管バックホール接続)することで、更なる高層階への拡張が可能となります。

  2. 2

    横系統(広さ)への無線通信環境の構築・拡張が可能 「ウェーブガイドLANシステムTM」は縦方向に伸びた単管パイプ(導波管)のアンテナ部から各フロ アへ電波を放射するものであり、構築可能な無線通信環境には限界がありました。新しいシステム では、フロア内にも中継用のアクセスポイントを増設することで、フロア全体で通信が可能になり ます。

この度の実証実験では、「ウェーブガイドLANシステムTM」を建設中のビルに適用し、PicoCELA製アクセスポイント(PCWL-0410)の増設前後の通信環境を確認しました。増設したアクセスポイントは、1階から16階まで立ち上げた単管パイプ(導波管)の1階と10階、および16階フロアの3箇所です。いずれの場合も有線LANの接続は1階のアクセスポイントのみです。
実験の結果、アクセスポイントの増設によって16階フロアの通信環境が大きく改善し、新システムでは、フロアの殆どで無線通信が可能となることを確認しました(図2)。

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図2 16階フロア内通信状況(左:改良前、右:改良後)

今後の展開

当社は、新たに開発した本システムを現在建設中の超高層ビル(高さ210m)の地下4階から地上38階に適用し、5台のアクセスポイントで良好な無線通信を提供しています。今後は本システムを全国の作業所に展開し、工事現場に堅牢で快適な無線通信環境を構築することで、各種端末やIoT機器の使用を可能とし、さらなる安全と品質の向上を図ります。