新着情報 地下工事の生産性向上を目指した
新型土留め構造「コンビウォール工法」を開発

2020/08/05

戸田建設(株)(社長:今井雅則)は、抑止部材挿入式の新型土留め構造「コンビウォール工法(Comb-Integral-Wall)」を考案し、この度その有効性を実証しました。
土留め壁工法には、切梁等による「支保工式土留め壁」と支保工がない「自立式土留め壁」があり、自立式は本体構築時の施工性に優れていますが、土質条件や背面地盤荷重の影響を受けやすく、掘削深度3~4ⅿ程度となっていました。
そこで、掘削深度が大きくなっても構造的に耐えられ、且つ自立式の優位性を保つことを目的として、新型土留め構造「コンビウォール工法」を新たに考案し、実証試験を行い、その有効性を確認しました(図-1)。
本工法を適用することで、掘削深度7m程度を切梁無しで対応でき、大幅な生産性の向上とともに、概ね2割以上のコスト低減にもつながります。

新型土留め構造「コンビウォール工法」の概要

本工法は図-1 に示すように、掘削の進行に伴い背面地盤に抑止部材となる鋼材を水平に挿入して親杭と剛結させる構造とし、抑止部材は全親杭に結合します。 図-2に示すように抑止部材に作用する土荷重により、親杭に背面土圧と逆方向の曲げモーメントが作用するため、自立式土留め壁と比較し、親杭の曲げ応力および変位が低減され、掘削深度の増大が図れます。

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図-1 コンビウォール工法イメージ図
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  図-2 土留め壁の作用曲げモーメント比較

実証試験

本工法の実用化に向け、a)変位抑制効果の確認、b)抑止部材の施工方法の確立、を目的として以下の実証試験を行いました。

コンビウォール工法の性能評価試験(変位抑制効果の確認)


抑止部材挿入による変位抑制効果の確認のため、試験用に作成したコンビウォール工法(写真-1 左) と自立式土留め壁(写真-1 右)の比較を掘削深度 2mで行いました。
コンビウォール工法と自立式を比較し、親杭変位で96%減、親杭背面ひずみで31%減の効果を確認できました。

写真-1 試験実施状況(掘削深さ 2m)

抑止部材の設置方法および親杭と抑止部材の接合に係る施工試験(施工性の確立)


垂直な地盤面に水平方向に抑止部材を挿入するために、新たな工法として油圧ショベル用ブレーカーにH鋼用チャックを装填し打撃挿入を行う方法(図-2)と親杭と抑止部材との接合方法を考案し、施工試験を行い、その有効性および安全性を実証しました(写真-2、3)。

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写真-2 抑止部材挿入状況
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写真-3 抑止部材締結完了

今後の展開

今回、本工法の基本的性能を確認できたことから、今後は実現場での実証試験を重ねていくことで、 汎用性の高い新型土留め構造であるコンビウォール工法の2021年度実用化を目指していきます。