新着情報 鉄筋コンクリート構造物を直流電源で加熱破砕 「マスホット工法™」を現場適用

2020/10/20

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)は、(株)千代田エレクトロニクス(社長:栗原 博)とともに、マスコンクリートの解体工法である「マスホット工法™」※1について、現在施工中である新TODAビル計画に伴う解体工事(東京都中央区)に適用しました。
本工法は、鉄筋コンクリート構造物の鉄筋を直流電源で加熱(以下、通電加熱)することで、コンクリートにひび割れを生じさせて、解体を容易にする工法です。これにより、施工効率の向上、周辺環境への配慮(騒音、振動、粉塵を大幅に低減)が期待できます。
10月13日にリリースした「マスカット工法™」と共に周辺環境へ配慮したマスコンクリート解体工法として開発していきます。

20201007_5.jpg
写真1 通電加熱破砕工法の施工状況
   (施工部位:基礎梁)
20201007_6.JPG
写真2 通電加熱後のコンクリートひび割れ発生
    (基礎梁主筋に沿ったひび割れ)
  • ※1 「マスホット工法™」登録商標出願中。特許出願中。

開発の背景

近年、新たな建造物の工事着手前に、既存構造物を除去する解体工事が必要なケースが増加しています。既存構造物の中でも、鉄筋コンクリート造のような堅牢な躯体の解体工事では、大型のブレーカーを用いる工法が一般的ではありますが、作業に伴う周辺環境への工事振動が課題の一つとなっています。さらに、地下部分では基礎の構造体断面が大きいにもかかわらず狭い空間での作業となり、大型機械の採用が制限されるなどの工事条件となることから、それらの課題を解決できる工法開発が求められています。
そこで当社らは、地下の鉄筋コンクリート構造物における解体の効率化や周辺環境に及ぼす影響の低減を目的とし、上記の課題解決に期待される工法として、通電加熱による解体工法「マスホット工法™」の開発に着手しました。

本工法の特徴

本工法は、鉄筋コンクリート構造物を対象とした解体補助工法です。鉄筋に直流電流を流して鉄筋温度を1000℃以上に加熱し、その発熱による鉄筋やコンクリートの膨張によって、コンクリートに事前にひび割れを生じさせます(図1参照)。これにより、コンクリートと鉄筋の付着強度が低下し、解体作業を容易にすることができます。
本工法の特長は以下のとおりです。

  1. 1通電加熱によりコンクリートの付着強度が1/3程度まで低下するため(図2参照)、その後の解体作業が容易になり、施工効率が向上
  2. 2解体作業時のブレーカーによって発生する振動、さらには騒音や粉塵を低減することが可能
  3. 3施工箇所の鉄筋へ電源ケーブルを接続すれば作業が可能であるため、地下部分などの狭い作業空間においても適用が可能
  4. 4使用する重機が小さくなり、圧砕における重機負荷が小さくなることで、重機作業における二酸化炭素排出量の低減が期待できる
図1 通断加熱による解体工法の概要
図2 鉄筋の引抜き抵抗の比較(実験例)

今後の展開

当社は今後、「マスホット工法™」を「マスカット工法™」と共に多くの解体現場に積極的に提案し、現場周辺の状況に応じた工法を選定し、工事現場周辺の環境改善を図ります。