新着情報 VR技術を活用した安全教育ツールの続編を開発 トンネル工事における救護・避難訓練を対象にした「バーチャルNATM-TR」

2020/12/02

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)は、トンネル工事における安全対策の取り組みとして、VR技術(仮想現実)を活用した安全教育ツール「バーチャルNATM※1」の続編、「バーチャルNATM-TR」を開発しました。
このシステムは、VR技術を活用して、トンネル工事(NATM工法※2)の3D-CG空間内を自由に行動しながら、救護・避難訓練を受けることができるものです。体験者は、仮想現実の中で、災害発生時の救護手順や火災発生時の避難手順を学習できるとともに、トンネル坑内に設置してある各種安全設備について、設置場所・関係法令を確認することができます。本システムは、リアリティーのある臨場体験のもとで、救護・避難訓練をより効率的・効果的に実施するための教育ツールです。

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坑内設備確認編
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救護訓練編
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避難訓練編
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システム体験状況
図-1 臨場感あるトンネル安全学習が可能な「バーチャルNATM-TR」

開発の背景

トンネル工事は閉鎖された空間の中で、常時、大型重機を使用する作業形態であり、重機接触災害や肌落ち(崩落)災害など重篤災害に発展する危険性が高く、災害発生時は被災者への的確な救護活動が必要となります。また、特に坑内火災発生時には、充満する煙で視界が遮られるため、冷静で迅速な避難が求められます。
当社が開発した日本初のトンネル工事に特化したVR用安全教育ソフト「バーチャルNATM」に続いて、上記の課題に対し、VR(仮想現実)内で、リアリティーのある災害・坑内火災を体験することで、効率的・効果的に救護・避難訓練が実施できる「バーチャルNATM-TR」を開発しました。

安全教育ツール「バーチャルNATM-TR」の概要

本システムはVR技術を活用してトンネル坑内で発生する肌落ち災害や坑内火災発生時の一般的な行動手順を仮想体験の中で学習する安全教育用シナリオツールです。救護訓練編、避難訓練編のほかに、トンネル坑内の標準的な安全設備の設置場所や関係法令等を学習することができる坑内設備確認編の3シナリオで構成されています。
体験者は、ヘッドマウントディスプレイを装着し、実際のトンネル現場にいるような臨場感の中で、トンネル内を自由に歩き回り※3、肌落ち災害発生時の救護手順、坑内火災発生時の避難手順を体験していきます。肌落ち災害発生時と坑内火災発生時の対応を画面に表示される指示に従い、選択肢を選びながら行動することで、非常時の行動手順を学習することができます。また、トンネル坑内に標準的に設置されている避難用器具等の安全設備をコントローラで選択することにより、その設備における関係法令等を表示されるテロップで確認することができます。

  • ※3 専用のコントローラを持ちながら腕を振ることで歩行
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図-2 救護体験(画面例)
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図-3 坑内設備確認(画面例)

特徴

  1. 1トンネル内でのリアリティーのある疑似体験
    建設工事の中でも特殊なトンネル工事の避難訓練や救護訓練は、座学では理解が難しい面がありますが、3D-CG空間内でリアルに発生した災害、火災を疑似体験できる本システムは、訓練の質を向上させ、技術者や坑夫(トンネル作業員)を含むトンネル工事関係者に対する緊急時の行動力向上に威力を発揮します。
  2. 2疑似体験の共有により客観的な指導も可能
    ヘッドマウントディスプレイをつけて体験者が視聴する映像は専用PCにより常時モニターで確認できるため、第三者が肌落ち災害発生や坑内火災発生時の行動を、客観的な目線で教育・指導をすることができるツールとして活用できます。

今後の展開

トンネル工事における労働災害の撲滅を目指し、各種自動化に向けた施工機械の開発や最新安全設備の開発が進められていますが、坑内災害や坑内火災が発生した際の迅速な対応も非常に重要です。坑内の安全設備を学習し、救護、避難の手順を3D-CG空間内で経験することで、効率的・効果的な救護・避難訓練を実施できるツールの一つとして、「バーチャルNATM-TR」を当社のトンネル現場において活用します。また、今後、社外に向けた販売も展開していく予定です。