新着情報 AIによる発破良否判定システム「Blast AI」を国交省PRISMで試行中 建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト

2021/03/09

戸田建設(株)(社長:今井 雅則)、(株)Rist(社長:藤田 亮)及び(株)演算工房(社長:林 稔)の3社コンソーシアムは、山岳トンネルの発破掘削工法において、発破後の飛石(発破飛石)の形状※1の3次元点群データから発破の良否をAI(人工知能)により判定する『発破良否判定システム:Blast AI※2』で、国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(通称:PRISM)※3」に応募し、採択されました(図1参照)。
中部地方整備局設楽ダム工事事務所管内で当社が施工する「設楽ダム設楽根羽線1号トンネル工事作業所」にて、本システムを試行中です。現在、AI学習用教師データを収集しており、本システムの実用性を確認しています。

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図1 Blast AIの概要

※1 爆薬のエネルギーによって切羽(トンネル掘削中の最前線)の岩塊が飛び散った後の形状

※2 2019年1月8日発表技術

※3 国土交通省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000062.html)

Blast AIの概要

本システムは、従来熟練トンネル技術者が行っていた発破後の飛石形状に基づく良否判定を自動化するものです(2019年1月8日リリース参照 https://www.toda.co.jp/assets/pdf/20190108.pdf)。
なお、今回の試行では、現場での発破後、ずり(掘削物)搬出開始までの短時間でAIの教師データである飛石形状データを取得するために、実際に現場で実績のある(株)演算工房の「ジープスキャンシステム」を採用しています(図2参照)。ジープスキャンシステムは、3Dレーザースキャナと高性能処理PCを車両に搭載し、迅速な計測と退避が実施可能な技術です。

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図2 車上3Dレーザースキャナ「ジープスキャンシステム」概要図

コロナ禍を反映した取組

コロナ禍での移動自粛、3密回避が求められる現在の厳しい条件でも、現場で発生する種々の課題に迅速に対応するために、3次元点群データ等は関係者用クラウドデータサーバで共有するほか、現場に設置したAI用PCには、戸田建設(株)本社の担当者PC及び(株)RistのAIサポート担当者PCからいつでも遠隔操作(リモートアクセス)可能なサポート体制を構築しました(図3参照)。テレワーク、在宅勤務でも対応可能です。

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図3 コロナ禍対応遠隔サポート体制概要図

年度末までの業務期間において、「発破後の3次元飛石形状」と「熟練工による良否判定結果」の対のデータを教師データとして蓄積し、AIに学習させます。2018年度開発時の実験室内模擬トンネルの教師データで学習した際は、判定正答率が約85%でした。今回の施工中トンネルにおける試行では、目標判定正答率を70%とし、得られる成果・課題を今後の開発にフィードバックさせる予定です(図4参照)。

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図4 AIモデルの判定結果PC画像イメージ

 ※ 良否判定に要する時間は約10秒程度