新着情報 “ビル内移動環境計測・通知システム”を開発 自律走行ロボットと固定型センサーにより、ビル館内の計測・通知を実現

2021/11/08

戸田建設(株)(社長:大谷 清介)は、この度、ソフトバンク(株)が開発した自律走行ロボット「Cuboidくん※1」を用いて”ビル内移動環境計測・通知システム”のプロトタイプの開発を完了しました。本システムは自律走行ロボットに搭載したCO2センサーとビル内に設置されているCO2センサー(以降、固定型CO2センサー)の情報を統合させ、より実態に即したCO2濃度情報をビル管理者に提供するとともにビル内の従業員や来訪者へCO2濃度に基づく環境情報を通知するシステムです(図1)。

  • ※1 「Cuboidくん」は、ソフトバンク(株)の登録商標です。
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図1 ビル内移動環境計測・通知システム利用の様子

開発の背景

CO2濃度計測は従来、天井等に設置した固定型CO2センサーにより計測するため、人の頭の位置での環境計測ができないことや、場所の制約によりセンサーが設置されないことによる「計測の空白地帯」が発生してしまうことがありました。ビル内に設置されているセンサーの情報はファシリティマネジメント(FA)システムに反映されてビル管理者への情報提供にも用いられるため、この「計測の空白地帯」の発生はビル管理者がビルの状況を正確に把握できないという問題につながります。さらに固定型CO2センサーのみの場合、ビル内環境を誤認識してしまうという懸念もあります。例えばCO2濃度の多寡により3密状態を判定する研究開発がされておりますが、固定型CO2センサーだけでは「人が存在しないが、気流の関係でCO2濃度が高いところ」を3密状態として誤認識してしまう恐れがあります。また実際に3密状態を検知してもビル内の従業員や来訪者への通知手段が乏しく、人の行動を喚起できないという問題もあります。これらの問題を解決するため、当社は本システムの開発に着手しました。

本システムの特徴

本システムは主に次の3つの機能を特徴とします(図2)。

  1. 1CO2センサーを自律走行ロボットに搭載しビル内を移動させて計測する機能
  2. 2ビル内全体のCO2センサーの情報をクラウドシステム上で一元管理する機能
  3. 3ビル内の従業員や来訪者へ自律走行ロボット側から情報を通知する機能

まず①の機能ではCO2センサーを搭載した自律走行ロボットが固定型CO2センサーの設置されていない場所に移動して計測し、前述した「計測の空白地帯」を解消します。そして②の機能では①で得られた計測結果を固定型CO2センサーの計測結果とクラウドシステム上で統合させ、ビル管理者にWebページ等で情報提供します。この情報の中には自律走行ロボットの現在位置や走行状況も含まれます。最後に③の機能ではCO2濃度を自律走行ロボットのディスプレイを通じてビル内の従業員や来訪者に周知します。さらにCO2が高濃度で人が密集しているとクラウドシステムにて検知された箇所には自律走行ロボットが当該箇所へ急行し、CO2濃度の計測を行います。そしてCO2が高濃度と判定された場合は、その場の従業員や来訪者に音声にて換気等を促します。これにより感染拡大防止行動を張り紙などで注意喚起するよりも効果的に周知することができると当社は考えております。

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図2 ビル内移動環境計測・通知システムのイメージ図

今後の展開

本システムの更なる完成度向上に向けて、今後はソフトバンク(株)と当社が共同で開発を進めていく予定です。主にソフトバンク株式会社は自律走行ロボットの運行安全性向上を担当し、当社は3密状態認識機能の向上や、音声対話機能の追加などを担当します。