新着情報 建物解体時の環境負荷を低減 水素と酸素で構造物を切断する「マスカットH(エイチ)工法™」を開発

2021/12/08

戸田建設(株)(社長:大谷 清介)は、日酸TANAKA(株)(社長:佃 淳一)、岡谷酸素(株)(社長:野口 行敏)とともに、コンクリート構造物の解体工法である「マスカット工法®※1に環境負荷低減要素を追加した「マスカットH工法™」を開発し、土木工事現場に適用しました。
「マスカット工法®」は可燃性ガスとして水素系混合ガスを使用しますが、「マスカットH工法™」は水素ガスのみとすることで、燃焼時は水のみ発生し二酸化炭素が発生しません。
また、「マスカット工法®」の適用範囲は、鉄筋コンクリート造などの(他にCFT造、SRC造などの鋼材とコンクリートで構成される)構造物としていましたが、今回、新たに地下トンネルにおいてSMW※2山留壁の解体・撤去工事へ適用し、適用範囲の拡大を図りました。2020年10月配信のニュースリリース「新TODAビル計画に伴う解体工事(東京都中央区)への適用」を発表※1して以来、4例目の工事実績となります。

  • ※1 「コンクリート構造物を無振動でガス切断」
     https://www.toda.co.jp/news/2020/20201013_002836.html
  • ※2 SMWとは、ソイルセメント柱列壁(土とセメント系懸濁液を混合攪拌して地中に造成する壁体)のこと。
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写真1 マスカットH工法™の施工状況(SMW山留壁を切断)

開発の背景

近年の建設工事においては、新たに建造することに先立ち、既存構造物を除去する解体工事が必要なケースが増加しています。しかし、鉄筋コンクリート造のような堅牢な躯体の解体工事では、作業に伴う周辺環境への工事振動が課題の一つとなっています。また地下部分では狭い空間での作業となるため、基礎の構造体断面が大きいにもかかわらず大型機械の採用が制限されることもあり、これらの課題を解決できる工法開発が求められています。
そこで当社は、ガス切断による解体工法である「マスカット工法®」を開発し、地下の鉄筋コンクリート構造物における解体作業の効率化や周辺環境に及ぼす影響の低減を図りました。
さらに今回、近年求められている温室効果ガス排出量低減の課題に対応すべく、可燃性ガスを水素ガスのみとし、燃焼時に二酸化炭素を排出しない「マスカットH工法™」を開発しました。

本工法の概要

本工法は、可燃性ガスに水素ガスのみを使用し、特殊な金属粉を混合し燃焼させることで、コンクリートを融解させて構造物を切断する技術です。
水素ガスのみを使用した場合は、切断炎の目視確認がしづらく取り扱いが難しいという課題がありました。しかし、「マスカットH工法™」の開発にあたり適切なガス分量を検証し、特殊な金属粉を混合燃焼させることで切断炎の目視確認が可能となり、水素ガスによる切断作業を実現しました。

適用状況

今回、本工法を適用したのは、トンネル立坑(地下30m)の仮設SMW山留壁の切断撤去工事です。仮設SMW山留壁撤去工事は、一般的にブレーカーなどを取付けた重機を用いてH形鋼周囲のソイルセメントをはつり、さらにハンドブレーカーを用いた手はつり作業により、H形鋼表面に付着したソイルセメントを完全に除去した上でH形鋼をガス切断します。この方法では、ソイルセメント除去作業に非常に手間と時間を要することから、工期が長くなる課題がありました。
そこで、本工事では「マスカットH工法™」を使用して、ソイルセメントとH形鋼を同時に切断し撤去することで、従来の方法より作業工程を半分以下に短縮することができました。また、今回のような地下トンネルなどの閉鎖空間では、ガス切断により粉塵が発生するため十分な換気が必要ですが、専用の排気設備を併用することで安全な作業環境を実現しました。

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写真2 撤去対象のSMW山留壁
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図1 SMW山留撤去工事の概要図

今後の展開

当社は、世界が目指す「1.5℃目標」達成のため様々な取り組みを実践しています。その一環として、建設工事における水素エネルギーの利用拡大にも取り組み、水素社会の実現に貢献していきます。今後も「マスカットH工法™」を様々な現場へ積極的に適用し、解体作業による工事振動の低減および工期短縮を図り、地球環境にも配慮した工事を進めていきます。