新着情報 鉄骨建方時にBIMモデルから製作したMRを投影

2022/01/12

戸田建設(株)(社長:大谷 清介)は、建設工事における生産性向上を目的としてBIMによる気流解析、3Dプリント出力による検証、製作物出力など3Dデータを多角的に活用して参りました。
その一貫として今回はMR(複合現実)技術を用いて鉄骨建方における精度確認の実用性を検証しました。

工事概要

工事名称 SAGAサンライズパークアリーナ新築工事
発 注 者 佐賀県
設計監理 梓・石橋・三原設計共同企業体
施 工 者 戸田・松尾・中野・上滝建設共同企業体
構造規模 鉄骨造、地上4階
建築面積 16,796.25㎡
延床面積 34,025.00㎡
工  期 2020年3月19日~2022年10月4日予定

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3Dツールを使った様々な施工上の課題解決の実施

当社は本物件の施工上の課題解決にあたり以下の項目について3Dデータを多角的に活用して参りました。

  1. 1BIMから温熱シミュレーションによる気流解析の実施
  2. 23Dプリントにて鉄骨工区分担範囲の見える化
  3. 3軒天井及びエントランス天井の多面体定義、外皮小口パネルなどの製作図面出力

これらの一貫として今回MR技術を用いて鉄骨建方時における精度確認の実用性を検証しました。

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(1)BIMから温熱シミュレーションによる気流解析
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(2)3Dプリントにて鉄骨工区分担範囲の見える化

今回はSAGAサンライズパークアリーナ新築工事作業所の佐賀県主催の親子現場見学(2021年12月18日・19日)においてMR投影を行い、最先端の建築技術に触れる機会を提供しました。

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写真1 親子見学会でのMR体験

具体的には、仕上げ壁位置や扉・窓などを投影することで参加者の方々に対して建物の完成イメージや工事の進捗状況の説明を行うことが出来ました。
建築業界では作業の効率化、生産性の向上が求められる中、設計期間をいかに短縮できるかがポイントになってきています。そのためにはスケルトンをベースにした課題解決を行い徐々に詳細度を上げながら細部をまとめて課題解決の速度を上げていくことが必要となります。
また、課題解決を行うためにはBIMを使ったプロジェクトマネジメントが出来る体制づくりが不可欠となります。

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写真2 MR上で鉄骨外観の出来形を検証
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写真3 MR上で鉄骨内観の出来形を検証

現場と3Dモデルの座標を合わせる過程での課題

延べ面積 約34,000㎡の大規模建築物をMR投影するに当たってはデータ量も多くなるため、如何にアプリに取り込めるデータ量に収めるかが最初の課題でした。
この課題については、データ欠落の発生が出てしまうものの、アプリ開発者であるDataMesh社の技術でカバーすることが出来ました。
次に実際の建物との位置合わせや微調整などをどのように行うかという課題がありました。
何度か現場で投影検証しながら建築系座標とゲーム系座標ではXYZの押さえ方が違うということを考慮してMRの位置調整を行いました。
また、QRコードのみで位置が確定するため投影したいポイントでの調整が課題となりましたが、QRコード内にはクロスラインを追記し床や柱面にクロスポイントをあらかじめ記入してもらうことで、20ケ所の検証箇所での読み込み精度を高めることが可能となりました。
現在のMR技術では、最新のiPad Proの機能をもってしても5~6メートルの範囲内での精度しか確保できていないこともあり、今後においては将来、MR機器自体の精度が上がることでより実用性が増し、設計から施工まで幅広く利用できることを期待しています。

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写真4 QRコードによる位置合わせ

事例動画

動画1 外部 敷地境界架線盛替にかかわる動画
動画2 内部 鉄骨出来形・仕上げ確認にかかわる動画

DataMesh(株)概要(https://www.datamesh.co.jp/

創業以来、世界最先端のデジタルツイン技術を提供してきました。直近では、Microsoft Partner of the Year Award 2020 Mixed Reality部門において、確かな実績を評価いただきアジアから史上初めてFinalistにノミネートされました。また、(株)NTTドコモ主催の“docomo 5G DX AWARDS 2021”にて最優秀賞を受賞しました。これまで、建設業界においてBIM/CIMの推進を支援し、施工工程管理の効率化の実現を通じて、昨今の社会課題を解決するための取り組みを強化しています。