新着情報 コンクリート表面の美観と耐久性を向上 トンネル覆工コンクリートの気泡低減技術を開発
2022/03/03
戸田建設（株）（社長：大谷 清介）と岐阜工業（株）（社長：宗像 国義）は、トンネル覆工コンクリートの側壁部に生じる気泡を低減させる技術を開発しました。
本技術は、トンネル覆工コンクリート用移動式型枠のスキンプレート（鉄板）表面に微細な凹凸を付与することで、コンクリート表面に生じる気泡を低減し、コンクリート構造物の美観と耐久性を向上するものです。今後、当社は本技術をトンネル工事等に積極的に普及・展開していきます。
開発の背景
コンクリートの表面品質は、コンクリート構造物の劣化の進行に影響を及ぼすことから、美観（見栄え）だけではなく、耐久性の観点からも重要です。トンネルの覆工コンクリートは、高い耐久性が必要とされる一方で、その断面形状（逆勾配の構造）により気泡が抜けにくいため、スキンプレートとコンクリートの界面に生じる気泡の軽減が課題でした。
本技術の特徴
本技術は、溶射皮膜※1によってスキンプレート表面に微細な凹凸を施すもので、以下の特徴を有します。
- 1スキンプレート表面と水滴の接する角度（接触角）が大きくなることで撥水性が高くなり（図2参照）、逆勾配の場合でも、スキンプレート表面の気泡がその場にとどまることなく浮上し、脱型後のコンクリート面に生じる気泡痕を抑制できる。
- 2凹凸面に剥離剤が浸透しやすくなるため、消泡効果を加えた剥離剤を塗布することで脱型後のコンクリート面に生じる気泡痕をより一層軽減できる（表1参照）。
- ※1 溶射皮膜：基材の耐腐食性、耐熱性、耐摩耗性などを向上させることを目的として、基材表面に材料（溶融またはそれに近い状態にした粒子）を噴きつけて機能皮膜を形成する表面改質技術
表1 コンクリート表面の気泡痕面積率の比較例
| 型枠（鉄板）の状況 | 溶射被膜なし 通常の剥離剤のみ塗布 |
溶射皮膜あり 消泡性を加えた剥離剤を塗布 |
| 気泡痕面積率（％） | 2.7 | 0.8 |
| コンクリート表面の状況 |
 |
 |
今後の展開
当社は、コンクリート構造物の美観性と耐久性の向上を目指し、本技術をトンネル工事等に積極的に普及・展開していきます。