新着情報 豊富なデータとノウハウで生物多様性の再生・保全をお手伝い 筑波技術研究所内の地域性在来植物ビオトープ「つくば再生の里」を拡張

2022/03/16

戸田建設(株)(社長:大谷 清介)は、茨城県つくば市の技術研究所内の地域性在来植物※1ビオトープ「つくば再生の里」※2を拡張しました。
近年は、多くの企業で建物周辺のスペースを緑化し、生物多様性の保全・再生に取り組むケースがみられます。当社は、2019年より本ビオトープの定期的なモニタリングを実施し、地域性在来植物のみを用いた緑地の整備とその維持管理のノウハウを蓄積してきました。今回の拡張では、植物の採取地等の履歴管理を徹底するとともに既存の在来植物に影響を及ぼすことなく新たな植物を植栽し、その種類は189種となりました。この度の知見を含め、拡張後のデータを積み重ねることで、当社は、生物多様性に関するお客様の様々なニーズにお応えいたします。

  • ※1 地域性在来植物:緑化する地域に由来する在来植物のこと。
  • ※2 生物多様性の保全・再生に貢献!筑波技術研究所内に地域性在来植物ビオトープ「つくば再生の里」を整備
     https://www.toda.co.jp/tech/assets/pdf/20200327.pdf
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    写真1 つくば再生の里ビオトープ 外観
      (撮影時期:2021年8月)
後ろの建物はZEBを達成した当社のグリーンオフィス棟
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写真2 拡張後に観察された生物の一例
【整備概要】
住所 茨城県つくば市要315
戸田建設筑波技術研究所内
面積 拡張前 約200㎡(うち池の面積:約35㎡)
拡張後 約500㎡(うち池の面積:約75㎡)
 
新たに植栽
した樹種
(高木植物)ヤマザクラ、コブシ、コナラ等
(低木植物)コマユミ、ウグイスカグラ、ヒサカキ等
(地被植物)スミレ、ジャノヒゲ、チガヤ、ネジバナ等
(湿性植物)イグサ、フキ、ハリイ等

造成の背景

当社は、2010年(国連が定める「国際生物多様性年」)以前から、建物の屋上や敷地内の緑化に着目し、緑化による建物利用者の快適性や温熱環境の改善効果の検証とともに、在来種の保全や外来種の抑制に関するモニタリングを実施してきました。
近年の緑地やビオトープの整備では、生物多様性の観点から園芸種・外来種を避け、自生種や地域性在来植物を使用することが望ましいとされ、東京都環境局が示す在来種選定ガイドライン※3や(一社)日本建設業連合会の行動指針※4等においても推奨されています。
このような状況の中、当社が生物多様性の保全・再生に貢献するためには、自生種や地域性在来植物の維持管理に関するノウハウを継続して蓄積することが重要と考え、自社の敷地内に地域性在来植物ビオトープを造成しました。

「つくば再生の里」の特徴

当ビオトープは、以下の特徴を有します。

  1. 1周辺地域の水田や樹林地などから採取・調達した、地域に由来する在来植物のみで構成されたビオトープである。
  2. 2高木・中木・低木植物、地被植物、水生植物を合わせた268の地域性在来植物に対してトレーサビリティ認定※5を取得。
  3. 3樹種名や識別記号、採取地を記載した独自の植栽プレートを用いて、調達した樹木や植物を管理。
  4. 4上記の植栽プレートを設置することで、訪問者が正しい植物名と特徴を知ることができ、周辺地域の小学生の環境教育や啓発活動へつなげることが可能。
  5. 5植栽した植物の育成状況を把握するため、定期的なモニタリングを実施し、維持管理状況と関連付けたデータを蓄積。

また、多様な生物を生育・誘引する生息環境としての役割に加え、樹木によるCO2の吸収や樹木の有効利用によるCO2の固定化により、カーボンニュートラル※6にも貢献しています。

  • ※5 トレーサビリティ認定(地域性在来植物トレーサビリティ認定制度)
     地域性在来植物による適正な緑化を推進するため、(一社)生物 多様性保全協会が主催し、在来植物の採取地と採取から育成、 出荷までの履歴を認定する制度。
     「つくば再生の里」の認定番号と認定日、植栽の数は以下の通り。
     認定団体:一般社団法人 生物多様性保全協会
     認定番号:製第2019007号  認定日:2019年5月13日
         :製第2021001号  認定日:2021年9月18日
     認定数  : 268
  • ※6 カーボンニュートラル
     温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。
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写真3 植栽プレートの設置例

今後の展開

当社は、本ビオトープで得られた知見を活用し、環境に配慮した緑化を求めるお客様に対し、エビデンスに基づいたソリューションを提供できるよう、引き続き研究を進めてまいります。