戸田建設（株）（社長：大谷 清介）は、（独）鉄道建設・運輸施設整備支援機構および神奈川東部方面線の都市トンネル技術委員会の協力・指導のもと、外殻先行型の非開削トンネル構築技術である「さくさくJAWS（Joint All Water Shutting）工法」を高水圧下における大断面トンネル構築工事に適用しました。 「さくさくJAWS工法」は、推進工法により地中掘削を行い、先行して外殻構造部材（鋼製エレメント）を形成する地下水対応型の非開削トンネル構築技術です。

近年、特に都心部において、地上部に制約があっても地下空間を構築できる非開削技術への需要が高まっています。その目的は、ライフラインの地下化や地下鉄・地下街の整備、水害や地震への安全対策としての地下利用など多岐にわたり、それらに応じた断面の大きさや形状への対応が求められています。しかしこのような場合は、一般的に地下トンネルの構築に用いられるシールド工法や山岳工法等では対応が困難です。

本工法は、推進工法を用いた外殻先行型の非開削トンネル構築技術です。外殻先行型は、対象となる地下空間が大断面であっても、個々のエレメントの施工断面が小さいため施工時の周辺への影響を抑制することができ、都心部においても安全に施工ができます。また独自のJAWS継手を用いることで、従来工法よりも施工性および止水性に優れ、それにより矩形や円形に限らず任意な断面形状への対応を可能としました。
JAWS継手とは、推進時の摩擦を低減させるために従来品よりも継手内のクリアランスを大きく確保し、止水性能の向上のために板バネ部の機能を追加した継手です。また内部にモルタルを充填することで、鋼製エレメントの外側鋼板と同等の強度性能を確保します（図1参照）。

推進工法により小断面の継手付き鋼製エレメントを順次掘削・連結し、鋼製エレメント間の土砂を内側から除去して、継手を拘束ボルトで固定します。次に継手間および鋼製エレメント内に高流動コンクリートを打設して、トンネルの外殻構造部材を形成します。最後にトンネル内部の地山を掘削除去し、トンネル構造物を構築します（図2参照）。

1. 1地下水位下においても薬液注入などの補助工法を省略可能
2. 2鋼製エレメントを本体構造物として利用でき、それにより内部構築を省略可能
3. 3複雑なトンネル断面形状への対応や、従来工法と比べて施工延長の長距離化が図れる

• ※1本目の鋼製エレメントのこと。トンネル全体の精度の基準となるため、高い掘進精度を求められる。