新着情報 超高強度CFT柱で大空間を実現 Fc150N/㎟級超高強度コンクリートを使用したCFT柱の施工法の確立

2022/11/10

戸田建設株式会社(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、設計基準強度(以下Fc)150N/mm2級超高強度コンクリートを使用したコンクリート充填鋼管柱(以下CFT柱)の施工法を確立しました。本技術の開発により、地震に対する安全性を確保しながら、柱断面の縮小や柱本数の削減※1が可能となり、これまで以上に、自由でゆとりある大空間を実現することができます。

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写真1 CFT柱実大試験体

※1 一般的なCFT柱に対して約2倍の軸耐力向上が図れますので、同じ柱断面で負担できる床面積が増大し、結果として柱断面寸法の縮小や柱本数の削減を実現できます。

開発の背景

鋼管内にコンクリートを充填したCFT柱は優れた耐力や耐火性を有しているため、様々な大型建築物に適用されています。当社はすでにFc150N/mm2級超高強度コンクリートと780N/mm2級鋼材を使用したCFT構造について、「高強度SuperCFT工法」として第三者機関の構造評定を取得しており、Fc120N/mm2の高強度コンクリートを使用したCFT柱の施工実績も有しています。 この度、現在建設中の新社屋「TODA BUILDING」(以下 、TODA ビル)においてFc150N/mm2の超高強度コンクリートを使用したCFT柱を適用することとしました。しかし、Fc150N/mm2級超高強度コンクリートは粘性が高く、CFT柱への充填性確保が難しいという問題がありました。

本技術の概要

本技術は、様々な要素実験や実大施工実験(写真1)の結果に基づいて、主に1.コンクリートの調合設計、2.CFT柱内に配置するダイアフラム他の鋼材の形状、3.コンクリート充填施工手順と方法の3点において、各種の工夫を盛り込むことで、超高強度コンクリートのCFT柱への密実な充填と、柱内コンクリートの強度を安定的に確保し、高い構造性能や耐久性を実現しています。特に通常ダイアフラム外縁に設ける空気抜き孔を、本技術では内側にも設けることによって、ダイアフラム下部へのコンクリートの充填性を向上させます。(特許出願中)。

本技術の詳細

CFT柱は、鋼管内に密実にコンクリートを充填する必要があります(写真2)。コンクリートの充填方法としては、鋼管下側に設けた圧入口からコンクリートポンプによって圧入する工法(圧入工法)と、鋼管上部からコンクリートバケットと打込みホースを使用して落し込む工法(落し込み充填工法)があります。特に鋼管内を横断するように取り付けられた板(ダイアフラム)の下部は空隙が生じやすい部分ですが、どちらの工法においても、柱内に密実にコンクリートを充填し、所定の強度を確実に発現させる必要があります。 Fc150N/mm2級超高強度コンクリートを使用したCFT柱について実施した様々な要素実験や実大施工実験による施工検証から、以下のような工夫を行うことで、密実なコンクリートの充填、確実な強度発現を実現しました。

  1. (1)シリカフュームプレミックスセメント※2に半顆粒状のシリカフューム※3を別添することで、コンクリートの強度増進および施工性、充填性が向上します。
  2. (2)通常ダイアフラム外縁に設ける空気抜き孔を内側にも設けることで(写真3参照)、ダイアフラム下部への充填性が向上します。(特許出願中)。
  3. (3)落し込み工法において、コンクリートバケットに取り付けるホース径を最適化することで、最適な打ち上がり速度の維持や、コンクリートを打ち込む際に巻き込まれる空気を減らしています。
  • ※2低発熱系のセメントに、シリカフュームを混ぜて製造したセメントで、粘性の低減が可能となり、さらに長期的な強度発現性に優れたセメントです。
  • ※3フェロシリコンや金属シリコン等を製造する際に発生した煙を集塵して得られる、セメント粒子よりも小さい球状の微粒子です。

実験の結果、材齢91日における鋼管柱内のコンクリートは、150N/mm2を超える強度を発現することを確認しました(図1参照)。また、ダイアフラム下の充填率(柱断面積に対する、空隙等の未充填部を除いた充填部の面積の割合)も95%以上を確保できることを確認しました(図2参照)

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写真2 コンクリート充填状況
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写真3 ダイアフラム形状の例
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図1 鋼管内コンクリートの圧縮強度とコア抜き取り高さ(圧入工法による施工実験結果)
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圧入工法(充填率97.6%)
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落し込み工法(充填率97.1%)

図2 ダイアフラム下充填率(一例)(黒い部分は空隙)

今後の展望

現在建設中の新社屋「TODAビル」において、2022年度に実施工を行う予定です。超高強度材料を用いたCFT構造を活用し、超高層建築物において高い耐震性を確保しながら、安全・安心で快適にご利用いただける空間を有する建物を積極的に提供してまいります。