新着情報 多様な地震の揺れを抑制し、建物の安全性を向上! 「セミアクティブオイルダンパー」で高性能の免振建物を実現
2023/02/07
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、地震の揺れに応じて減衰性能を変化させることで従来よりも高性能な免震建物を実現する「セミアクティブオイルダンパー」を開発し、自社の筑波技術研究所内の建物に実装しました。本技術は、(株)川金コアテック、光陽精機(株)と共同開発し、2021年4月1日に大臣認定を取得しています。
開発の背景
近年注目されている長周期地震では、地震の揺れと共振した超高層建物や免震建物において非常に大きな揺れが発生することが報告されています。また、東北地方太平洋沖地震を始めとする大地震時においても同様の報告がされています。特に免震建物では、揺れが大きくなると周囲の擁壁と衝突して建物に大きな被害が生じる可能性があります。一方、免震建物の大きな揺れを抑制する対策として、免震層に設置するダンパー数を増やす(減衰を大きくする)ことが挙げられますが、中小地震時に建物の加速度が増加し、免震建物としての効果が低下してしまうことが課題でした。
セミアクティブオイルダンパーの仕組み
本技術は、オイルタンクのバルブを電気的に開閉することでオイルの流量を調整し、瞬時に低減衰、高減衰の2種類の減衰性能に切替えることが可能な高性能オイルダンパーです(写真1)。小地震から大地震まで、地震の揺れに応じて減衰性能を切替えることで、従来の免震建物に比較して地震時に建物に作用する層せん断力を約20%低減して、建物の安全性を高めることが可能です(図1)。
今後の展開
開発したセミアクティブオイルダンパーは、自社の筑波技術研究所内の建物に実装して性能を検証した後に、現在建設中の新社屋「TODA BUILDING」において適用予定です。当社では今後、免震建物をより安全、安心なものとするために、長周期地震や大地震における建物の揺れの抑制、周囲に十分なクリアランスを確保できない狭隘な敷地への適用など、セミアクティブオイルダンパーの得意とする場面で高性能免震システムの普及を図っていきます。