新着情報 山岳トンネルの地山強度情報を一元管理・可視化 共通フォーマットの整備により施工の自動化・合理化を推進
2023/03/27
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、山岳トンネル施工時における地山強度の管理手法として、各メーカーのコンピュータジャンボから出力される削孔データを一元的に集約し、地山強度の3D分布モデルを作成して地山状況を可視化するシステムを開発しました(図1)。
削孔データはコンピュータジャンボのメーカー各社で出力形式が異なっており、必要なデータへのアクセスや複数現場の比較が困難であるという問題がありました。そこで独自のフォーマットを整備し、異なるデータを共通形式に変換することで、一元的な集約や比較分析、利活用を容易としました。
また削孔データより得られる穿孔エネルギーから地山強度を推定することができることを利用し、地山強度の3D分布モデルを作成して地山状況を可視化するシステムを開発しました。地山状態の把握が容易となり、状況に応じた対策を早急に講じることができ、より安全な施工が可能となります。
開発の背景
建設業界では人手不足の解消や労働環境改善の必要性からICT技術の導入促進が進められています。また昨今の社会情勢の急激な変化によりインフラ分野におけるDXの推進が急務となっています。山岳トンネル工事においてもコンピュータジャンボ等の開発により、施工時に大量のデータを取得することで広範囲の地山状況を把握することが可能になりました。
また国土交通省の直轄工事において2023年度からBIM/CIMの原則適用が予定されています。今後は施工時のデータをBIM/CIMモデルへ統合することが標準となることが予想されます。
本システムの概要
削孔データの一元化、及び穿孔エネルギー3Dモデル化の手順は下記の通りです(図2)。
- 1コンピュータジャンボから削孔データが自動出力される。データは自動的に現場事務所のサーバに保存され、Web上のドライブに同期される。
- 2共通形式変換プログラムを用いて各社の削孔データ形式を共通形式に変換する。
- 3共通形式をインプットとして、穿孔エネルギー分布3Dデータ作成プログラムを用いて穿孔エネルギーの3Dモデル描画用データを作成する。
- 43Dモデル描画用データを汎用3DCADソフトにインポートし、穿孔エネルギー3D分布モデルを作成する。
穿孔エネルギーの分布は統計的な空間補間処理で算出し、汎用CADソフト上にソリッドモデルの形で作成します。この3Dモデルは描画用データ作成時に座標変換を行うことで他のモデルに容易に組み込むことができます。またソリッドモデルを任意の断面で分割することで、3DCADソフト上の表示をカスタマイズすることができます。
今後の展望
今後はBIM/CIMの原則適用を見越して、穿孔エネルギー分布モデルのBIM/CIMモデルへの統合を検討していきます。また当社は削孔データの集積とデータベース化に取り組んでおり、この集積したデータを活用して山岳トンネルの各種施工の自動化、合理化を推進していきます。