新着情報 支圧接合による機械式継手「ボルト式鋼管矢板継手」により
杭の接続作業時間を70%短縮

2023/03/28

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷清介)は構法開発(株)(所在地:東京都墨田区、代表取締役:大西克則)、(株)進富(本社:千葉県白井市、代表取締役社長:日色大輔)と共同で、鋼管矢板の現場継手方法について従来の溶接継手に代わる合芯ボルトを使用した機械式継手『ボルト式鋼管矢板継手(以下,「本継手」)』を開発し、作業時間の短縮を実現しました。

背景

鋼管矢板の継手には一般に溶接継手が使用されていますが、雨天・強風時は作業が困難であり、熟練技能者の減少も顕在化しています。近年嵌合式の機械式継手が開発されていますが、両サイドの鋼管矢板を連結させる継手管(図-1)の拘束によって鋼管が真円から楕円に変形すると、調整に時間を費やす場合があります。

本継手の概要

本継手は、枠材(上枠、下枠)・連結プレート・合芯ボルトで構成されます(図-1)。鋼管矢板上杭に連結プレート付き上枠を、鋼管矢板下杭に下枠をあらかじめ工場で溶接した後、現場に納入することで、現場での上下の杭の接続作業を省力化することができます(写真-1~3)。合芯ボルトはボルト先端のネジ径(φ33)が軸径(φ36)より細くなる形状となっているため、鋼管の楕円変形によりボルト孔に多少のずれが生じていてもネジを締め込む力で孔位置を矯正しながらボルト挿入が可能となります。

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図-1 ボルト式鋼管矢板継手 概要図
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写真-1 下杭、下枠
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写真-2 上杭、上枠、連結プレート
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写真-2 上杭、上枠、連結プレート

実証実験

本継手を取り付けた鋼管を製作し、鋼管の接続時間の確認を行いました。また、当社施工現場において、鋼管矢板の継手部に本継手を適用しました。

  1. 1鋼管接続時間の確認

    本継手と鋼管を用いて、上下杭の接続からボルト締付完了までの所要時間を計測し、約14分(作業員1名)で接続完了できることを確認しました(写真-4,5)。これは従来の溶接接合(作業時間:約50分、作業員2名)に比べ約70%の作業時間の短縮となります。

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    写真-4 上下鋼管接続状況(工場内検証)
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    写真-5 ボルト締め状況(工場内検証)
  2. 2鋼鋼管矢板接続部への現場適用

    本継手を当社施工の鋼管矢板の現場で適用しました(写真-6,7)。鋼管矢板の打撃挿入後もボルトのゆるみや継手部からの漏水は見られず、溶接接合と同等の性能を有していることが確認できました(写真-8,9)。

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    写真-6 上下杭接続状況
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    写真-7 ボルト締め状況
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    写真-8 施工後確認①(マーキングズレなし)
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    写真-9 施工後確認②(マーキングズレなし)

今後の展開

今回の実証実験で、本継手を使用することで施工時間が約70%削減できることが確認できました。また、現場での実証実験を経て、鋼管矢板の打撃挿入後も溶接継手と同等の性能を有していることを確認できました。今後は現場適用を推進するとともに、本継手の次回施工での転用利用の可能性について検討を進めていきます。