新着情報 大型吊荷旋回制御装置「ハイパージャイアンⓇ」の開発・適用
2023/04/17
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、土木工事におけるプレキャストPC床版やプレキャストPC桁など大型の吊荷に対応できる大型吊荷旋回制御装置「ハイパージャイアン®」を開発し、当社施工の道央自動車道 江別東IC〜岩見沢IC間に位置する夕張川橋(上り線)の床版取替施工において既設床版撤去及びプレキャストPC床版架設に初適用しました。
開発の背景
これまで、強風やクレーンの動きに伴う慣性により、作業者の意思に反して吊荷が旋回してしまうケースが多く見 られ、揚重作業における課題とされていました。当社が開発した吊荷旋回制御装置「ジャイアン®」によりこの課題を克服し、安全かつ効率的な作業を実現していますが、当装置は制御能力※175t・m²までという制限がありました。このたび、当装置のフライホイール※2を2つにすることで制御能力を3.3倍(250t・m²)とする「ハイパージャイアン®」を開発し、長尺で重量のあるプレキャストPC床版やプレキャストPC桁等旋回制御が可能となりました。
- ※1制御能力(慣性モーメントIZ=重量W×長さL2/12)
- ※2回転系の慣性モーメントを利用した機構に用いられる機械要素のひとつ。遠心力によって回転運動のムラを打ち消すための部品

吊荷の制御装置の原理
内部のフライホイールを高速回転させることで得られる「ジャイロ効果」※3を利用して、吊荷の旋回を制御します。フライホイールの回転方向や傾きを変えることにより、吊荷の能動制御と受動制御を行います。
- 能動制御
- 装置内部にあるフライホイールが傾くことで旋回モーメントが発生して吊荷を旋回させることができます(図2)。遠隔リモコンにより、回したい方向への吊荷の旋回動作を能動的に制御できます。
- 受動制御
- 吊荷が強風などの力を受けても風圧力や慣性力に対する抵抗力を生み出すことで、吊荷の旋回位置を保持し、一定の姿勢を保つことが可能です。
- ※3物体が高速回転すると姿勢が乱されにくくなる現象。

道央自動車道 夕張川橋(上り線)の床版取替施工での適用結果
プレキャストPC床版の架設にハイパージャイアンを使用することにより、
- 1従来の介錯ロープを用いたプレキャストPC床版の設置位置合わせに比べて、リモコンのボタン操作だけで任意の方向に旋回させる能動制御により、設置作業が効率化するとともに安全性が向上しました。
- 2プレキャストPC床版をクレーンで移動する際、強風が原因となる意図せぬ方向への旋回を止める受動制御により、吊荷と作業員の接触や道路規制範囲外への吊荷の飛び出しを防止できました。
今後の展開
今回の施工実績を踏まえハイパージャイアンの更なる軽量化や操作方法等の改良を重ね、プレキャストPC床版等の長尺で重量のある吊荷を取り扱う工事に積極的に適用し、生産性と安全性の向上を図っていきます。
工事概要
工 事 名: | 道央自動車道 夕張川橋(上り線)床版取替工事 |
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発 注 者: | 東日本高速道路株式会社 北海道支社 |
工事場所: | 北海道江別市元野幌~北海道岩見沢市駒園 |
工 期: | 令和3年9月1日~令和6年2月17日 |