新着情報 環境配慮型コンクリート「スラグリート®」の建設技術審査証明(建築技術)を取得
確認申請時の運用マニュアルを整備し、建築物への適用を促進

2023/09/27

戸田建設株式会社(東京都中央区、社長:大谷清介)と西松建設株式会社(東京都港区、社長:髙瀨伸利)は、共同開発した環境配慮型コンクリート「スラグリート®」について、一般社団法人日本建築センターの建設技術審査証明(建築技術)※1を取得しましたのでお知らせいたします。
建設技術審査証明の取得に伴い、スラグリートのJIS A 5308への適合性について、確認申請時に建築主事等が適切な判断を行えるようにするための「スラグリート確認申請マニュアル」も整備しました。建設技術審査証明の取得および確認申請マニュアルの整備により、本技術の建設分野での適用をさらに進め、脱炭素社会への実現に貢献してまいります。

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写真1 建設技術審査証明(建築技術) 審査証明書

※1 建設技術審査証明(建築技術):開発された新しい建設技術の性能を一般財団法人日本建築センターが第三者の立場から審査し、その技術が保有する性能について審査証明書を発行するもの。

スラグリートとは

スラグリート®は、高炉スラグ微粉末をセメントの代替えとして用いることで、二酸化炭素の排出量を20%~65%削減できるコンクリートです。建築・土木工事問わず、構造物全体で環境性能の高いコンクリートが選択的に適用できるよう、スラグリート®のメニューを以下のように取り揃えています。

〇スラグリートBA:
普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種を50:50の混合比率にて製造した高炉セメントA種相当のコンクリート
〇スラグリートBC:
高炉セメントB種と高炉スラグ微粉末を60:40の混合比率にて製造した高炉セメントC種相当のコンクリート
〇スラグリート70:
普通ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末を30:70の混合比率にて製造した高炉セメントC種相当のコンクリート

建設技術審査証明(建築技術)の取得について

建築構造物に使用するコンクリートは、建築基準法では指定建築材料であることが求められ、建築基準法37条第1号では、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の品質に適合することを求めています。しかしスラグリート®は、製造方法によっては以下の2点について、JISマークを表示するための要件を満たしていません。

  1. 1同一バッチに異なる2種類のセメントを混合して使用して練り混ぜる製造する
  2. 2セメントと高炉スラグ微粉末を一つの計量機で累加計量する

先に計量してある材料に別の材料を追加して、2種類の材料を合わせて計量すること

しかしながら、国土交通省からの事務連絡により、製造したコンクリートがJIS A 5308に適合したコンクリートと同等以上の性能を有すること、また、混合したセメントがJIS A 5308に引用されているセメントのJIS規格に適合していることが明らかであること等が確認できれば、JIS A 5308へ適合していると判断できることが示されています。
これについて、スラグリート®は、建設技術審査証明(建築技術)により、JIS A 5308に適合したコンクリートと同等の性能を確保できることが確認されています。また、日本国内の様々なメーカーで製造されているセメントについて、いずれのメーカーの普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種を混合しても、セメントのJIS規格に適合することを確認しています。

確認申請マニュアルの整備について

スラグリートのJIS A 5308への適合性について、最終的には建築主事等の判断によります。そこで、全国の建築主事等へ統一して説明ができるように、確認申請マニュアルを整備し、スラグリートがJIS A 5308に適合していることが明らかである項目と、建設技術審査証明と国土交通省からの事務連絡により、JIS A 5308に適合していると判断できる項目の整理および適合性チェックシートを作成しました。これにより、スラグリートを適切に建築構造物へ使用することが可能となります。

今後の展開

今回、第三者機関による建設技術審査証明の取得および確認申請時の運用マニュアルを整備したことにより、低炭素型社会の実現に向けた取組みの一つとして、建設分野の実構造物に対し環境性能の高いコンクリートを積極的に適用できるよう、これまで以上に本技術の普及・展開を図っていく予定です。