新着情報 3Dレーザースキャナを用いた
泥土圧シールドの掘削土量リアルタイム計測システムの開発

2023/10/04

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、(株)きんそく(本社:京都府京都市、代表取締役:奥野 勝司)と共同で、泥土圧シールドトンネル工事における新たな掘削土砂量計測技術「掘進土量リアルタイム計測システム(以下、本システム)」を開発しました。本システムでは3Dレーザースキャナを用いることにより、掘削土砂量を連続的、かつ正確にリアルタイムで計測管理することが可能とします。

開発の背景

シールド工法では掘進量と掘削土量をバランスさせることにより、切羽地山の土圧・水圧と対抗させ、切羽の安定を確保しています。計画掘削土量と実掘削土量に差が生じた場合、地下埋設物への影響や地表面の沈下や隆起を発生させたり、陥没事故を誘発してしまいます。そのため掘削土量の正確な計測・管理は極めて重要です。
従来、掘削土量の体積計測は掘削完了後、ズリ鋼車を坑口へ運搬するときに容積の決まった鋼車表面をレーザースキャナで計測する機器で行っておりますが、リアルタイムで計測することができませんでした。またベルトコンベア上で排出土砂の表面をスキャンしてリアルタイムに計測する機器では、ベルトコンベアの速さや不定期な土砂排出により、正確に把握することが困難でした。
今回、泥土圧シールド工法におけるベルトコンベアの上方に3Dレーザースキャナを設置し、排土される掘削土砂にレーザーを放射することで得られる点群から、流れる土砂の3D画像を作成する技術を開発しました。これにより、リアルタイムにベルトコンベア上の土砂形状を把握することで体積を計測・管理することが可能となりました。

本システムの概要

本システムは、泥土圧シールド機のスクリューコンベアから排土され、ベルトコンベアに積載された土砂を複数のレーザーセンサーが組み込まれた3Dレーザースキャナを用いて、断面積を集積し、3Dレーザースキャナ1回転分の体積を算出し、積算し計測します。(図-1参照)

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図-1 3Dレーザースキャナを用いた掘削土量リアルタイム計測システム概要

本システムの特長

本システムの土砂量計測は3Dレーザースキャナの持つ複数のレーザーセンサーのうち、誤差を少なくするため中心に近い角度の4〜5本のレーザーセンサーを使用します。ベルト面の点群と掘削土表面の点群を計測し、合成した二つの点群で囲まれた部分の断面積を算出します。(図-2、図-3参照)
同時に複数のレーザーを使用することで高速ベルトコンベアにて移動する土砂を10〜20㎜の精細なピッチで断面計測を行えるため精度の高い搬出土砂量の計測が可能となります。(図-4参照)

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図-2 レーザーセンサー計測状況図 
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図-3 一つのセンサー断面図

下写真は室内実験でベルトコンベア上を流れる土砂形状計測を行ったものです(写真-1,図-4参照)。

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写真-1 室内実験状況
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図-4 3Dレーザースキャナ画像

現場での実証

当社のシールドトンネル工事現場で本システムの実証実験を行いました(写真-2,図-5参照)。

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写真-2 現場計測状況
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図-5 3Dレーザースキャナを用いた掘削土量リアルタイム計測管理画面

今後の展開

実証での実土量と計測値の誤差は7%以内でしたが繰り返し試行し、精度を上げるため使用する3Dレーザースキャナの特性に合わせた土量計算アルゴリズムを開発することで計測精度を5%以内とすることを目指します。