新着情報 エレベーター関連工事の工期を大幅に短縮 エレベーターの工事中利用技術を開発

2024/03/01

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、本設エレベーターを工事中利用し、生産性を高めると共に、エレベーター関連工事の工期短縮を図る技術を開発し、現在施工中のTODA BUILDING新築工事に適用しました。
本技術は、本設エレベーターの機械室を移設可能な仮設のユニットとし、建物の工事の進捗に合わせて上階に移設していく技術であり、本設エレベーターを工事用として、低層階の施工段階から利用することができます。その結果、低層階の仕上げ工事への貢献、加えて一般的に工事用に別途設けられる工事用エレベーターを減らし、本来は必要な工事用エレベーターの解体作業や、その後のレール取付け等の後工事を削減することで、エレベーター関連工事の短縮、さらには本設エレベーターの早期稼働が可能です。

開発の背景

通常の建築工事では、工事期間中にフロア間で資材を運ぶために、工事用エレベーターを使用します。このエレベーターは工事が充分に進んだ段階で解体し、本設エレベーター(建物の完成後に使用されるエレベーター)へ切り替えを行いますが、以下のような課題がありました。

  • 工事用エレベーターを解体後、本設エレベーターへの切り替え工事を行うが、レール取付けや機械設置等の作業を含めると、超高層建物では3ヶ月以上の工事期間が必要となる。
  • 本設エレベーターへの切り替え工事が終了するまで、床の仮設開口を塞ぐことができず、エレベーターシャフトの開口付近に残工事が発生する。その結果、建物下層階での工程が遅延する等、生産性の低下をもたらしている。 また、従来から上記の課題の解決策として「本設エレベーターの工事中利用」という要素技術があり、エレベーター機械室を途中階に設置する場合がありましたが、労力やコストがかかるため、工事での活用が難しいと判断されてきました。

本技術は、本設エレベーターの機械室を移設可能な仮設のユニットとし、建物の工事の進捗に合わせて上階に移設していくことを可能とした技術であり、本設エレベーターを工事用として、低層階の施工段階から利用することができる、上記の課題を全て解決した画期的な技術です。

開発技術の概要

本技術は、以下の4つの機器から構成されています(図1)。

  1. 1機械室ユニット:ユニット化された本設エレベーターの仮機械室
  2. 2上部作業床兼揚重ユニット(以下、揚重ユニット):作業床と機械室ユニットの揚重装置を兼ねた機械装置
  3. 3伸縮梁:テレスコピック式に伸縮し、機械室ユニット及び揚重ユニットを支持する梁
  4. 4本設エレベーター:人や荷物を中にのせて上下させる「カゴ」、カゴを導く「ガイドレール」、カゴとのつり合いをとるための「カウンターウエイト」等から構成される装置
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図1 本設エレベーターの工事中利用技術の構成
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図2 本設エレベーターの工事中利用技術のフロー図

本技術は、躯体工事の進捗に合わせてこれらの機器を建物の上階に上げていき、本設エレベーターを利用できる階数を増やしていくものです。
これまでもエレベーター関連機器をユニット化したものを、タワークレーンを用いてクライミングさせる(下階から上階に移設する)工法は実施されていましたが、本技術では、新たに上部作業床兼揚重ユニットを設けることで、可能な限りタワークレーンに依存せずにクライミングを行うことを特徴としています。

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写真1 上部作業床兼揚重ユニット
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写真2 機械室ユニット
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写真3 機械室ユニットのクライミング状況

今後の展開

2024年2月下旬、TODA BUILDING新築工事において本技術の実施工を行いました。この現場での利用後にも改善を加え、更なる工期短縮と生産性向上を進めていきます。