新着情報 のり面養生シートの展張を完全自動化
展張作業時の安全性向上、作業時間を1/5に短縮

2024/06/28

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大谷 清介)は、土木工事におけるのり面保護工に適用可能な「のり面養生シートの自動展張機械(図-1)」を(株)大同機械(本社:東京都江東区、代表取締役:落合康全)と共同で開発し、福島県南相馬市にある福島ロボットテストフィールドにて検証実験を行いました。その結果、展張作業時の安全性が向上したことに加えて、作業時間を約1/5にまで削減できることを確認しました。

両社は今後建設現場での試験適用に取り組み、2025年度の本格運用を目指します。

開発背景・目的

近年、大型台風や局地的豪雨等による風水害被害が全国的に多発しています。建設現場においては、事前に養生シートを展張してのり面への雨水浸透を防止することで、のり面崩壊リスクを低減する対策を講じています。しかし、従来ののり面養生シート展張作業は斜面上やのり肩部といった高所での作業であることから、作業員の安全性確保が課題となっています。また、土のうや養生シートといった重量物運搬作業の往復、養生シート展張時には複数人で同時作業をする必要があり、効率性において改善の余地があります。

本共同開発では、展張作業に係るこれらの問題点を解決することを目的に「のり面養生シート自動展張機械」を開発し、のり面養生シート展張作業の安全性と生産性の向上を目指します。

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(図-1)自動展張機械による養生シート展張
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(図-2) 自動展張機械による養生シート設置フロー

のり面養生シート自動展張機械の概要

のり尻部に展張機を設置し、幅3.6mのロール状養生シートを連結したワイヤーロープを2台のモーターで巻き上げ、養生シートをのり肩方向に引っ張ります(図-1)。なお、展張中の風による養生シートの捲れ上がりを防止するため、ブレーキシステムを搭載しています。
自動展張機械による養生シート設置フローを図-2に示します。

検証実験

福島県南相馬市にある福島ロボットテストフィールド内の傾斜角度30°ののり面にて、現場を想定した検証実験を行い問題なく養生シートの展張が可能であることを確認しました。

これにより、転落リスクのあるのり面での養生シート等の運搬や展張作業の必要がなく、張り終える度に斜面を昇り降りしなくてよいことから、展張作業の安全性が格段に向上します。

また、人力による従来工法と比較すると、養生シート展張に係る作業時間が1/5程度にまで減少しました。

今後の展望

今回の検証実験により、のり面養生シート展張作業の安全性と生産性向上を屋外フィールドで確認することができました。

また、今回はのり肩部に単管を設置し、単管に滑車や養生シートを固定しましたが、実際の現場ではこのような単管は設置できません。そのため、今後はのり面小段に通常設置するU字溝に着目し、実現場適用に向けて自動展張機械の軽量化、養生シート固定専用部材の開発を行います。