新着情報 360°画像をBIM/CIMと誰でも簡単に連携できる施工記録システムを構築 山岳トンネル工事におけるBIM/CIM活用を高度化
2025/01/31
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、(株)演算工房(本社:京都府京都市、代表取締役:林 稔)と(株)水谷精機工作所(本社:三重県桑名市、社長:水谷 康朗)の協力を得て、山岳トンネル工事におけるBIM/CIM専用ソフトの付属機能として360°画像を利用できるBIM/CIMモデルを開発し、山口県阿武町にて稼働中のトンネル工事において現場実証を行い、本システムの構築を完了しました。

開発の背景
山岳トンネル工事では一般的に、トンネル掘削後に地山と一体となり構造を安定させる吹付けコンクリートやロックボルトなどの支保工を施工した後、支保工の内側に仕上げとしてコンクリートで巻き立てる覆工を施工します。支保工は覆工後に不可視部分となるため、力学的に重要な支保工の施工記録と維持管理段階で定期的に点検される覆工の初期状態を高画質な360°画像で記録することが、完成後のトンネルを保全していくうえで重要と考えました。さらに、近年BIM/CIM活用のニーズが高まっていることから、BIM/CIMモデルに属性情報のひとつとして360°画像を連携させることが山岳トンネルの維持管理において有効であると考えました。
技術の概要とその特徴
本システムは、360°カメラを用いてトンネル坑内を一定間隔で撮影し、BIM/CIMモデル内のトンネル測点と同様の測点を画像データに与えるだけで、BIM/CIMモデルと相互にリンクした360°画像空間を誰でも簡単に構築できます。360°画像空間内はウォークスルーしてあらゆる方向から点検が可能です。また、専用のナビゲーションウインドウにより、見たい画像、測点を選択し、感覚的に操作できます。さらに、施工時(掘削時)の切羽写真、坑内変位計測データ等を即座に表示・確認することができます(図-2参照)。
特徴は以下の通りです。
- 不可視部分となる施工時の支保工を高画質な360°画像として保存可能
- 360°画像を確認しながら、付近の属性情報を同時に表示して確認可能
- BIM/CIMモデルと360°画像空間の測点情報から両者を連携させることで容易にモデルの構築が可能

導入メリット
導入メリットは以下の通りです。
- 支保工、覆工の360°画像を効率的、効果的に保存することでトンネルの維持管理に活用可能
- 掘削時の支保工健全性、湧水状況等を保存でき、覆工の画像も重ね合わせることでBIM/CIMモデルを高度化
- 施工状況や設備配置をすべて記録することで教育資料、類似工事の参考資料として活用可能
今後の展望
今後は、現場での本格運用により、システムの操作性や利便性を向上させるとともに、さらに維持管理に役立つBIM/CIMモデルの構築を目指します。さらに、トンネル内自律飛行ドローン等を活用した自動撮影を導入し、撮影作業の省力化を目指すなど、建設現場の課題をDX推進により解決して参ります。