新着情報 ケーソン躯体構築における工程短縮と品質確保を実現 超遅延コンクリートを用いることで打継処理を不要とし翌日連続打設

2025/05/26

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、工程短縮や品質確保を目的とした「超遅延コンクリートを使用した2日間連続打設工法(以下、本工法)」を(独)鉄道・運輸機構発注のシールドトンネル発進・到達立坑工事の側壁部に適用しました。本工事は、ニューマチックケーソン工法として日本最大級の深さを有する立坑(躯体高さ約110m)を構築するものであり、工事完了後には中央新幹線の非常口として利用するために計画されたものです。 本工法は、凝結遅延剤を使用し、コンクリートの凝結時間を任意に遅延させることで、打継処理をすることなく翌日に連続打設をしても水平打継目の一体性を確保することができる施工法です。これにより水平打継目処理を削減して品質確保を図るとともに、作業の効率化と躯体構築の工程短縮に貢献しました。

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図-1 超遅延コンクリートの打設イメージ

背景

本工事は、東京都町田市において、ニューマチックケーソン工法として日本最大級の深さを有するシールドトンネル発進・到達立坑を構築するものです。このケーソンは非常に大規模で、鉄筋量も多い躯体であることから、躯体構築の工程がクリティカルパスとなります。そこで、後工程の作業者への引き渡しを確実なものにするために、躯体構築の作業において工程短縮が必要でした。また、本ケーソンは高さが約110mの躯体であり、1回の打設高さを考慮するとコンクリートの打設回数が増え、水平打継目を多数設けることになります。完成後、本ケーソンの側壁には大きな水圧が常時作用する状態となることから、側壁の水平打継目が弱点となり漏水の発生が懸念されました。以上の課題解決に向け、躯体構築において工程短縮を図りつつ、躯体の品質や耐久性を確保するための対策が求められました。

本工法の概要

本工法は、凝結時間を任意に遅延させることができる凝結遅延剤をコンクリートに添加することで、打継処理をすること無く翌日に上層のコンクリートを連続で打設することを可能にするものです。 本工法の施工の流れは以下のとおりです。

  • あらかじめ2層分の型枠と鉄筋を施工し、通常のコンクリートを打設。
  • 当日の最終層に超遅延コンクリートを打設。
  • 翌日、通常の施工方法に必要な打継処理をすること無く上層のコンクリートを打設。
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図-2 本工法と通常の施工方法の比較イメージ図

本工法の特長は以下のとおりです。

  • 水平打継目の一体性を確保することができ、水密性確保の上で弱点となる構造的な打継目を削減できます。
  • 2日間で連続して2層分のコンクリートを打設することで、躯体構築の工程を大幅に短縮することができます。

適用結果

本工事では、躯体構築の工程短縮を図るため、超遅延コンクリートを使用した2日間連続打設工法を適用しました。その結果、水平打継目処理の削減による作業の効率化とコンクリート構造物として求められる品質確保を図るとともに、躯体構築の工程を大幅に短縮することができました。

今後の展開

本ケーソンは無事に沈設を完了しました。当社は、今後も本工法を他現場に展開し、コンクリート構造物施工における工程短縮と品質確保を実現するとともに、施工の効率化・省力化を推進し、インフラ整備に貢献してまいります。