新着情報 2車線規模のプレキャスト覆工の実大施工実験に成功 山岳トンネル覆工コンクリート施工の品質・安全性・生産性向上へ前進
2025/06/18
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、西松建設(株)(本社:東京都港区、社長:細川 雅一)、ジオスター(株)(本社:東京都文京区、社長:堀田 穣)と共同で開発した山岳トンネル用プレキャスト覆工コンクリートによる2車線規模の実大施工実験を行い、実現場に適用できることを実証しました(写真-1)。
山岳トンネルの覆工コンクリートは従来、現場打ちで構築しますが、3社は品質・安全性・生産性の向上を目指し、プレキャスト覆工の開発を進めてきました※1。今回の実験で、実大規模でも安全かつ円滑な施工が可能であることを実証し、実用化に向けて大きく前進しました。

- ※1当社プレスリリース 山岳トンネルの品質や施工性を画期的に改善-新設トンネルの覆工コンクリートのプレキャスト化を模擬覆工で検証
https://www.toda.co.jp/assets/pdf/20181130.pdf[PDF:397KB]
開発の背景
山岳トンネルの覆工コンクリートには、施工区画の継ぎ目である目地部でのうき・はく離や漏水、狭隘な空間での打設作業、強度発現までの養生時間など、品質・安全性・生産性に関する様々な課題があります。従来の現場打ちによる施工法ではこれらの課題解決が難しいため、3社は抜本的な解決策としてプレキャスト覆工の共同開発を進めてきました。
本技術の概要
本技術は、1m幅のトンネル断面リングを3分割したプレキャスト部材として工場で製作し、現場に搬入して、以下の手順で施工します(写真-1、図-1)。
- 1組立:架台上で2リング分のプレキャスト部材を、リングごとに左右を反転させ、継手位置が千鳥配置に なるよう組み立てる。
- 2架台縮小:ジャッキにより架台を縮小し、2リング分を自立させる。
- 3移動:H形鋼レール内のベアリング(鋼球)で摩擦を低減して、2リング分をウインチで移動させる。
- 4連結:先行リングと鋼棒で連結する。
- 5裏込め:一定の区間ごとに覆工背面の空間へモルタルを注入する。
※ 以降、①~⑤を繰り返す。
本技術では、組立作業を坑外の広い空間で行うため、坑内で行うよりも安全に施工できます。また、架台の中央には重機やダンプトラック等が通行できる空間を確保しているため、掘削と同時施工が可能です。
これまでに、内空幅3m規模の模擬実験により本技術の成立性を確認し※1、さらに(国研)土木研究所との共同研究を通じて従来の現場打ちの覆工と同等の耐荷力を有することを確認しています。

実大施工実験
今回の実験では、2車線規模のプレキャスト覆工を4リング分使用し、組立から移動、連結までの一連の作業を行いました(写真-1)。その結果、全作業を安全かつ円滑に行えることを確認しました。
実験は(株)エムケーエンジニアリング分校工場(石川県加賀市)で実施し、発注機関や研究機関などから約30名の視察を受けました(写真-2)。



今後の展望
今後は、実際の現場への本技術の適用を推進し、さらなる改良に取り組むことで、山岳トンネル工事における覆工コンクリート施工の品質・安全性・生産性の一層の向上を目指してまいります。