2025/06/23

戸田建設（株）（本社：東京都中央区、社長：大谷 清介）は、山岳トンネル覆工コンクリート目地部におけるモルタル片のはく落による事故リスク低減を目的に、付着モルタルの視認性を大幅に向上させる凹凸付き面木「TA面木」（Trim Assist[=整形補助]面木）を開発しました（図-1）。
山岳トンネルの内面に施工される覆工コンクリートには、約10mごとに施工区間の継ぎ目となる打継ぎ目地がトンネル横断方向に設けられます（図-1(a)）。この目地部では、コンクリート打設時に面木（継目の角を取るための三角形状の型枠材）と先に打設された覆工との隙間に、モルタル分が付着することがあります（図-1従①）。従来、このモルタル分が仕上げ作業で見落とされることで、供用中にはく落して通行車両を損傷させるリスクがありました。そこで新開発の「TA面木」は、目地部に用いる面木の形状を改良し、先に打設された覆工と接する面に凹凸を付けました（図-1(b)）。これにより、付着したモルタル分の表面に凹凸が生じて視認性が向上し、型枠脱型後の仕上げ作業時に見落とされずに確実にモルタル分を除去できるため、供用中のトンネルの安全性が向上します。

図-1　覆工コンクリート目地部におけるTA面木の概要と効果

山岳トンネルの覆工コンクリートの目地部では、施工時に付着したモルタル分や、ひび割れにより生じたコンクリート片が供用中にはく落し、通行車両に接触するリスクが懸念されています。このうちモルタル分は、コンクリート打設時に、幅6cm程度の三角形状の硬質ゴム製面木と、先に打設された覆工コンクリートとの隙間に付着するもので（図-1従①）、通常は脱型後の仕上げ作業で除去されます。しかし、表面が平滑になるため分かりづらく見落とされることがあり、その結果供用中に乾燥収縮や振動などではがれ、モルタル片となってはく落することがありました。

「TA面木」の効果を確認するため、当社施工の新名神高速道路宇治田原トンネル東工事（発注者：西日本高速道路（株））と木与第１トンネル工事（発注者：国土交通省中国地方整備局）にて実証実験を行いました。その結果、目地部に付着したモルタル分の表面に想定通りの凹凸が生じ、視認性が向上することが確認されました（写真-1）。

今後は、目地部のモルタル片はく落防止対策として「TA面木」の適用を拡大させていきます。また、面木をさらに改良し、モルタルの付着自体を抑制する技術の開発にも取り組む予定です。当社は引き続き、施工時および供用時のトンネルの安全性向上を目指して技術開発を進めてまいります。