新着情報 筑波大学附属病院で陽子線治療システム2号機が治療開始 4社のコンソーシアムが陽子線治療施設を整備、20年にわたり運営をサポート
2025/09/30


- 撮影/津布久 智(はなファクトリー)
戸田建設株式会社(以下、戸田建設)、株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)、株式会社ビケンテクノ(以下、ビケンテクノ)、三菱HCキャピタル株式会社(以下、三菱HCキャピタル)の4社が推進する筑波大学附属病院陽子線治療施設整備運営事業(以下、本事業)により納入した陽子線がん治療システムが、筑波大学附属病院陽子線治療センター(以下、筑波大学)で9月29日に治療を開始しました。
本事業は、日本で初めての陽子線治療施設の更新であり、スポットスキャニング照射技術などを搭載し、加速器と回転ガントリ治療室2室を備えた陽子線がん治療システム一式と、陽子線施設の設計・建設から運転・保守・維持管理などを整備するPFI方式※1による事業です。また、限られた敷地内での施設更新のモデルケースとなります。
4社は、今後もがん治療の革新をリードする筑波大学のパートナーとして、20年にわたる運営支援を行っていきます。
- ※1PFI(Private Finance Initiative)方式:公共施設などの建設や運営、維持管理などを、民間の資金や経営能力、技術を活用して行う手法。
本事業の特徴
1. コンソーシアム4社の強みを生かした陽子線治療施設整備運営事業
陽子線治療の各分野の技術・運営ノウハウを有した4社がコンソーシアムを組み、PFI方式により施設整備と治療システムを納入しました。今後、筑波大学のパートナーとして20年にわたり施設の維持管理と治療システムの運転・保守管理を推進していきます。
2. 限られた敷地の中で、診療を継続しながら陽子線治療装置の更新を実現
既存施設に隣接した敷地に、コンパクトな加速器室と治療室の配置を実現しました。これは、限られた敷地で陽子線治療システムを更新する際のモデルケースとなります。また、既存施設の一部を継続利用するための改修工事を新施設の建設中に行いました。改修中にも診察は通常通りに行えるような施工ステップとし、新施設への移行をスムーズにできるようにしました。
3. 最適な資金調達スキームにより安定的かつ効率的な事業を推進
事業の特徴に合わせて、従来の資金調達方式にとらわれず、SPC※2を組成しない最適なファイナンススキームを構築しました。これにより、代表企業による一貫したマネジメント体制を確立し、迅速な意思決定と効率的な事業運営を実現しています。
- ※2SPC(Special Purpose Company):特別目的会社
筑波大学附属病院陽子線治療センターについて
筑波大学では世界に先駆けて、1983年から陽子線加速器を用いたがん治療を実践しています。2001年に株式会社日立製作所の陽子線治療システムを導入し、これまでに約8,450名のがん患者へ陽子線治療を提供しています。
コンソーシアムの概要
本事業は、日立ハイテクを代表企業とし、戸田建設、ビケンテクノ、三菱HCキャピタルの4社によるコンソーシアムが、それぞれの専門性を生かして施設の整備・運営にあたります。
- 日立ハイテク:陽子線治療装置等の調達業務、陽子線治療装置等の運転・保守管理業務、業務全体の管理調整業務
- 戸田建設:新陽子線棟の整備業務、既存陽子線棟の改修業務
- ビケンテクノ:新陽子線棟の施設維持管理業務
- 三菱HCキャピタル:業務全体の管理調整業務(ファイナンシャルアドバイザリー業務)
