新着情報 シールドトンネルの仮壁切削工法にバサルトロッドを国内初採用 ケーソン躯体構築工事のコスト削減を実現

2025/10/03

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、玄武岩を原料とした無機系繊維で製造されたバサルトロッドを補強材として用いた仮壁切削工法※1(以下、本工法)を(独)鉄道・運輸機構が発注したシールドトンネルの発進・到達立坑工事において、国内で初めて適用しました。本工事は、ニューマチックケーソン工法として日本最大級の深さを有する立坑(躯体高さ約110m)を構築するものであり、工事完了後には中央新幹線の非常口として利用する計画になっています。

  • ※1仮壁切削工法の例:鉄筋の代替として炭素繊維補強材を仮壁に採用する工法や、 FFU(硬質発泡ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した材料)部材を仮壁に採用する方法等がある。
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バサルトロッドを用いた仮壁切削工法の概要

背景および本工法の概要

シールドトンネル工事の発進・到達立坑に設ける仮壁には、立坑の一部として土水圧に耐えられる強度と、シールド機による確実な切削性が求められます。従来、大深度大口径シールドの仮壁切削工法においては、補強材として炭素繊維ロッドが多く用いられてきました。炭素繊維は、優れた強度、剛性、耐久性を有する素材である一方、素材自体が高価であるため、より経済的かつ安定供給が可能な新たな素材の導入が望まれています。
本工法は、一般的な仮壁切削工法に使用されている炭素繊維ロッドやガラス繊維部材の代わりに、玄武岩を原料とした無機系繊維で製造されたバサルトロッドを補強材として採用しています。これにより従来工法と同等の施工性を確保しつつ、材料コストの大幅な削減を実現しました。

バサルトロッドの特長

バサルトロッドは、玄武岩を高温で溶解し、繊維状に加工したバサルト繊維を束ね、耐アルカリ性に優れたエポキシ樹脂で硬化させた補強材です。
バサルトロッドの特長は下記の通りです。

  • 炭素繊維ロッドよりも安価です。
  • 引張強度は鉄筋の2倍以上です。(下記試験結果参照)
  • 表面に凹凸加工を施すことで、コンクリートとの高い付着力を確保しています。
  • 直線状のロッドほか、90゚フックや180゚フックなど曲げ加工したロッドの製造が可能です。
  • シールド機による切削試験において、炭素繊維ロッドと同等以上の切削性を確認しています。

引張強度試験の結果

種   類引張強さ
(N/mm2
バサルトロッド 1122
(490以上)

※ ()内は鉄筋SD345の規格

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螺旋溝付きバサルトロッド
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バサルトロッド拡大写真
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90°フック
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180°フック

今後の展開

本立坑の沈設は無事完了しました。当社は、工事コスト削減の観点から、本工法の他工事への展開を進め、さらなるインフラ整備と技術革新に貢献してまいります。