新着情報 BIMと連携した施設管理用ARアプリケーションの運用開始

2025/12/15

戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、BIMと連携した施設管理用ARアプリケーション「TODA-AR Viewer」を、社員による完全内製で開発し、運用を開始しました。本アプリケーションは、施設内に設置したARマーカーとiOS端末を連携させ、建物の維持管理における巡回業務で活用します。

BIMモデルをもとに、壁や天井の裏側などの隠蔽部を可視化できるほか、FM管理ツールとの連携により、現場での不具合報告や情報共有を効率的に行うことができる、維持管理業務向けのアプリケーションです。

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図1-1 TODA-AR Viewerを用いた施設巡回
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図1-2 TODA-AR Viewer画面

背景

施設管理の現場では人手不足が深刻化しており、効率的な運営と品質維持の両立にはデジタル技術の活用が不可欠です。なかでも、建物情報を統合的に管理できるBIM(Building Information Modeling)は、設計や施工だけでなく、維持管理においても活用できる点で注目されています。

そこで、当社はBIMと連携した施設管理用ARアプリケーション「TODA-AR Viewer」を開発しました。 ARアプリケーションはBIMとデータ連携することで、現場でデバイスをかざすだけで、壁や天井の裏にある設備機器や配管を可視化し、点検対象を瞬時に特定できます。またBIMが持っている建物情報や設備仕様書なども取得が可能です。

さらにARアプリケーションはFM管理ツールとも連携を図り、保全履歴情報などの取得や不具合があった場合にはその場でFM管理ツール側に報告することができます。

これにより、施設巡回員のスキルに依存することなく安定した施設運営を実現し、現場負担の軽減とサービス品質の向上が期待されます。

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図2 取組の背景

TODA-AR Viewerの特徴

TODA-AR Viewerは、BIMモデルとAR技術を組み合わせて、施設管理の現場での点検・確認作業を支援するアプリケーションです。

現場での操作性や実用性を重視し、担当者がその場で建物情報を直感的に把握できるように設計しています。主な特徴は以下の通りです。

    1. 1ARマーカーによる現実空間とデジタル空間の連携

      施設内各所に設置されたARマーカーを起点にBIMモデルを重ね合わせることで(図3)、現実空間とiPadの画面が同期します。この連携により、iPadをかざすだけでBIMモデルの情報を取得できるようになります。

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図3-1  ARマーカーによる連携
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図3-2 TODA-AR Viewer画面
    1. 2隠蔽部の確認とBIM情報の閲覧

      BIMモデルの天井や壁を非表示にする(図49ことで、隠蔽部の設備機器や配管の情報をその場で確認することが可能となり、現場での点検や不具合の特定などを支援します。

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図4-1 隠蔽部の確認とBIM情報の閲覧
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図4-2 TODA-AR Viewer画面
    1. 3設備機器のハイライト表示

      隠蔽部の電気・衛生・空調設備を簡単な操作でハイライト表示(図5)できます。これにより、対象設備のルートや点検位置を直感的に把握でき、点検・巡回業務の効率向上に貢献します。

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図5-1 対象設備のハイライト表示
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図5-2 TODA-AR Viewer画面

TODA BUILDINGでは一部の空調機械室がガラス張りとなっており、内部が目視できます。

    1. 4FM管理ツールとの連携による不具合報告

      かざしたiPadからBIMモデルのオブジェクトを選択して不具合報告を行う(図6)ことで、原因部分を特定し、最小限の入力でFM管理ツールのAPIを介して報告と写真投稿が可能となるので、報告作業の効率化が図れます。

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図6-1 FM管理ツールとの連携による不具合報告
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図6-2 TODA-AR Viewer画面

今後の展望

本システムは、TODA BUILDINGにおいて、戸田ビルパートナーズ(株)をはじめとする施設管理会社の協力のもと、施設管理ツールの一つとして運用を開始します。

運用を通じて得られた知見は、維持管理分野におけるBIMの活用にフィードバックします。

また、内製化によるAR開発で得られたノウハウをもとに、施工分野などを含むさまざまな領域への展開を進めてまいります。