新着情報 ロードセルとRFIDタグを活用し切羽近傍での土量計測を実現 掘削土砂運搬台車で掘削土量の過不足をリアルタイムで確認し地盤沈下を防止
2025/12/25
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、泥土圧シールド工事においてロードセル※1とRFID※2タグを組み込んだ掘削土砂運搬車(以下、ズリ鋼車)により、切羽近傍にてシールド掘進との時間のずれがなく掘削土量を計測可能な新たな掘削土量計測管理システム(以下、本システム)を開発しました。
本システムでは、計測データをズリ鋼車に設置した送信機(RFIDタグ)から後続台車に設置した受信機(RFIDリーダー)へ、さらに受信機からシールドの掘進管理システムへ送信し、ジャッキストロークに連動してグラフ化し掘削土量の変化を可視化します。本システムによりシールド掘進との時間のずれがなく掘削土量の計測を可能とすることで、土砂の過剰な取込みを防ぎ周辺地盤の沈下等の事故を防止します。
- ※1重さを検出して電気信号に変換するセンサー。
- ※2情報が書き込まれたICタグと電波によって、直接接触することなく物の判別、管理をする仕組み。データの記憶、読み取り、交信が可能となる。

開発の背景
中小口径の泥土圧シールドでは、一般的に掘削土砂をズリ鋼車に積載してトンネル坑内から搬出します。従来の掘削土量の計測では、シールド掘進終了後に発進立坑まで移動してからズリ鋼車を1両ずつ計測していました。その方法として、クレーンのフックに取付けた重量計(クレーンスケール)により掘削土砂を積載したズリ鋼車の重量を計測する方法や、ズリ鋼車に積載された土砂の高さを計測し体積を算出する方法があります。これらの計測方法では掘進距離が長くなるとシールド掘進と土量計測との時間のずれが大きくなり、シールド掘進から遅延なく掘削土量を把握することが困難となるという問題がありました(図-1)。掘削土量が過剰となると切羽周辺で地盤沈下を生じる可能性があることから、シールド掘進から遅延なく掘削土量を把握することが重要となります。
そこで当社では、ズリ鋼車にロードセルとRFIDタグを組み込むことによりシールド掘進から遅延なく掘削土量を計測できる新たな掘削土量計測管理システムを開発しました。
本システムの概要
本システムでは、計測の開始と終了の判断にRFIDを活用しています。掘削土砂の積込み中はRFIDタグとRFIDリーダーが通信を行い計測データが送られます(図-2手順1)。土砂搬出時はズリ鋼車がRFIDタグの受信可能距離を超過するとシールド掘進終了と判断され計測データがリセットされます(図-2手順2)。ズリ鋼車が切羽へ再入坑しRFIDタグの受信可能となると掘進開始と判断し計測が開始されます(図-2手順3)。この手順を繰り返すことで自動計測を可能としました。

本システムの特長
本システムの特長は下記のとおりです。
- 1シールドの掘進距離に合わせて掘削土量をシステム画面でリアルタイムに表示
- 2過去の土量の平均値や標準偏差と比較することで掘進中の掘削土量の過不足を防止
- 3シールドの口径を問わずロードセルとRFIDタグを取付けるだけでの単純な構造
現場適用結果
本システムを当社シールド工事に適用した結果、掘進開始時から掘進終了まで本システムで計測した掘削土量は、一般的な掘削土量管理の基準となる過去20リング(15m)での平均値と同程度で推移しました。このことから、本システムを使用することでシールド掘進から遅延なく掘削土量の管理が可能であることを確認しました。

今後の予定
現在、ロードセルの防水や防塵への工夫や、ロードセルのバッテリー交換のタイミングの可視化など、更なる改良を進めています。
今後も当社は、本システムを活用して掘削土量の適切な管理を行いシールド工事の安全性の向上に努めてまいります。
