新着情報 長大トンネル坑内に高安定性・長距離無線Wi-Fiネットワークを構築 無線ブリッジ接続で、設置工期・コストの削減と5km全域リアルタイム監視を実現
2026/03/10
戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)と(株)GRIFFY(本社:東京都千代田区、代表:入澤 拓也)は、安定した通信環境の提供を可能とする長距離無線Wi-Fiネットワークを共同で実用化しました。現在、当社が施工する北海道新幹線、後志トンネル(塩谷)工事の掘削区間(5km)にて通信検証を実施し、従来の通信環境構築手法と比較して、設置工期・コストの削減、およびトンネル坑内での通信距離の延長と安定性において大幅な改善を確認しました。
開発の背景
大規模なトンネル掘削工事の現場では有線LAN環境を構築する場合、掘削の進捗に伴って通信ケーブルの敷設・延伸・保守に多大な工数とコストが発生し、ケーブルの断線リスクが高いことが大きな問題でした。また、一般的な無線LANシステムでは通信距離が限られ、中継を重ねるごとに通信速度が減衰するため、切羽付近(ネットワーク末端側)での安定した高速通信環境を確保することが困難でした。これらは、遠隔臨場やリアルタイム監視、そして坑内外の作業員間の確実な情報共有といった、将来の建設現場に不可欠なDX推進の大きな障壁となっています。これらの問題に対応するため、設置工期の短縮や、メンテナンス・ネットワーク拡張の優位性を追求し、長さ5kmのトンネル掘削区間にて、Wi-Fiブリッジ接続による無線ネットワークを構築しました。

本技術の概要
本技術の主な特徴は、独自の手法に基づく安定した長距離通信、コスト効率の高さ、および現場の安全管理・効率化を実現する多様な機能にあります。
コスト効率と構築手法
一般的な長距離無線通信製品は、無指向性アンテナを利用し、またブリッジ(電波の中継)するすべてのアンテナにルーター機能を含んでいるため単価が高価になりがちです。本システムはネットワーク起点である施工ヤードに設置した屋外無線伝送装置のみにルーター機能を搭載し、トンネル坑内ではアクセスポイント(AP)機能に絞り、指向性アンテナを調整することで、過剰な機能を省き、より安価で広範囲のネットワーク環境を構築しています。
構成機器の柔軟性
現場の環境(インターネット回線確保地点からの距離など)に応じて、5GHz指向性端末、2.4GHz指向性端末および無指向性アンテナ搭載端末の3種類の端末を組み合わせて構築しています。
検証実験
内容
坑内Wi-Fi構築
一般的にトンネル坑内では、Wi-Fiアクセスポイントを100~150m前後で設置するところ、本検証では無指向性アンテナ搭載の屋外用Wi-Fi対応機器を約800m間隔でブリッジ接続※し、Wi-Fiアクセスポイントを複数箇所設け、対象区間5km全域での通信環境を整備しました。
※設置間隔は見通しや通信状況により調整
坑内無線IP通話システム構築
IP通話システムを採用し、坑内における通話・緊急放送を可能にするとともに、Wi-Fiに接続したスマートフォン端末により端末保持者がトンネル内外の制約なく通話を行うシステムを構築しました。
効果
アクセスポイントの拡張を無線化することで、以下の効果を確認しました。
- 1設置工期の大幅な短縮:これまで1週間を要していた現地での設置作業期間を、わずか1日に短縮
- 2コスト削減:トンネル全長5kmに及ぶ有線LANケーブル敷設工事が不要となり、資材および作業コストを大幅に削減
- 3切羽の映像監視と連携強化:ネットワークカメラによるリアルタイム監視を実現。IP通話システムとの併用により、現場作業員への迅速な指示を行える体制とし、安全管理を高度化
- 4通信環境の改善:現場から1km以上離れた事務所との音声通話が可能となるなど、トンネル内外での円滑な情報共有
- 5将来的な拡張性:トンネル長に応じて柔軟に環境を構築できる、高い拡張性


今後の展望
現在、既設5kmのトンネル工事区間において本システムを運用し、無線Wi-Fi環境を構築しました。今後は、隣接工区と合わせた全長10kmの長距離Wi-Fiネットワークを構築し、長大トンネル施工における標準的な通信基盤構築手法として確立することを目指します。さらに、この安定したWi-Fi環境を活用し、トンネル施工を効率化する無線装置との連携や新たな付加技術の開発を進め、建設現場のDXを加速させてまいります。
